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幼児教育ラボ 第57弾 もりのようちえん ~セミナーレポート~

主催者の一人でもあり、最近参加させていただいている「Believers」の代表でもある熊野英一さんがFBでアナウンスしていたのを偶然見つけたので、今回57回目にして「幼児教育ラボ」に初参戦しました。
インクルーシブ教育を公教育で、と思いつつなかなか浸透しない理由として、管理教育との相関があるのでは、と最近感じています。その反動からか、義務教育以前の幼児教育に興味を抱くようになりました。
「もりのようちえん」というのはどういうところなのか、海外事例と国内事例、都会の「もりのようちえん」の実践をシェアしていきたいと思います。

「幼児教育ラボ」とは
保育者のための学び場としてたちあげた勉強会。
これからの世界を生きる子供たちと子どもに関わる大人が幸せに生きていくためにはどのような環境が必要なのか、どのような関わりをしていけばよいのかを考え、興味のあるテーマを毎回持ち込んで、ゲストスピーカーを呼んで開催。
運営メンバー 
〇わくわくbase株式会社 清宮香里(せいみー)さん
             金木祥子(かねぼー)さん
もともとは社会人向けの企業研修をしていたが、自己肯定感など土台の部分は乳幼児期に育まれるのではないかと感じ各地の幼児教育現場を視察。現在、もりの幼稚園をテーマとした保育所を運営。
〇株式会社子育て支援 熊野英一(くまちゃん)さん

「もりのようちえん」の概要

★「もりのようちえん」とは

自然体験活動を基軸にした子育て・保育、乳児、幼児期教育の総称。
自然体験活動には、都市公園、海、川、街中での自然を使った体験も含まれている。
発祥はデンマーク。そこからいろいろな国に派生し、特にドイツでは待機児童対策で広まった。
日本では、内田幸一さんが長野県に「もりのようちえん」をつくったのがはじまり。
今では100校くらい存在している。

★「もりのようちえん」が大切にしているこ
① いっぱい遊ぶ
② 自然を感じつ
③ 自分で考える

★「もりのようちえん」の活動形態
日常型とイベント型がある。
基本的には少人数。異年齢、子どもたちの主体的な活動、対話的保育を通して子どもの理解を深める。
子ども同士の会話を大切にし、活動の場所も子どもと対話して決める。
そこからなにを子どもたちが学んだかを引き出していくスタイル。

★今までに視察してきた国々
フィンランド、デンマーク、ドイツ、日本など

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「もりのようちえん」視察先

①ドイツ

「もりのようちえん」といえばドイツというくらい、数の多さでは世界的に有名。待機児童対策として発展していった。数が多いといえどもそこら中にあるというわけではなく、各町にひとつあるイメージ。

ドイツの教育システムの特長:10歳になると自分の将来を意識して学校を選ぶ
視察先:ミュンヘンから1時間くらい地方都市、ランツフートにある幼稚園。フィールドが森の中に広くあり、園舎はないがこんてなはあり雨風がしのげる。
規模:園児35名、教師5名 2グループ
特徴:保護者も保育に関わる。毎日日替わりで子どもたちが役割を持つスタイル。

園のようす
・自然の中で遊んでいた。トウモロコシ畑があって、迷路みたいにして遊んでいた次の日にはトウモロコシは刈られていたが、自発的にもぐったりトウモロコシを掘ったりしていた。ある子は30分近くトウモロコシの根っこを掘っていて、「欲しいのかな」と思って様子を見ていたところ、取れたところで満足して捨てていた。トウモロコシ刈りが楽しそうだった。

・各々の興味に没頭できるのはすごいなと思った。

・コンテナは雨露をしのぐためにある。部屋の中で絵本を読む時間あり。部屋の中でできることはたいてい外でもできるということに気付いた。

・山道は、斜面を歩けると思っている子は斜面を歩くように、無理だと思った子は道路を歩くように配慮。自分で選んで歩く。

・荷物はそりのようなものに乗せてを運んでいる。荷物をひく人は毎日変わる。

・「もりのようちえん」の子どもたちは大人に何か協力しなさい、助け合いなさいといわれることはない。そのなかで、自然発生的にお互いが何かをなしとげるために手を取り合う場面が見られた。斜面をのぼるところを手伝ったり、ひとりでは持ちきれない大きさの木を運ぶのを手伝ったりする姿がみられた。

・道具を駆使する様子がみられた。3歳くらいの子どもが小型のナイフ、とんかちを上手に使っていた。最初はハラハラしてみていたが、道具の正しい使い方は伝えているし見守っているから大丈夫だと現地スタッフが言っていた。枝切りや木の実にトンカチで釘を刺したりしていた。

・自然から学ぶ収穫祭のときには、各家庭から野菜や果物を持ってきてひとつずつ出しながら学んでいた。「これは地上?」「土の中?」という質問に対し、子どもたちが答えていくスタイル。

②デンマーク

「もりのようちえん」発祥の地。世界一幸福な国といわれている。
人口は日本の24分の1。かつ面積も狭い。

デンマークの教育システムの特長
・個人主義文化。ひとりひとりが自律することを大事にしている。
・人格形成を平等に助長させ、社会の一員としての責任と義務を遂行している。
・19歳になると自立して生活する。
・教育投資はトップクラス。
・「国づくりは人づくり」という考えがある。
視察先:完全プライベートスクール
規模:園児27名、教師5名 
特徴:森の活動は要素の一部。心の葛藤を大事にしていた。


園のようす
・園舎の中はいくつかの部屋に分かれており、子どもたちが好きな場所で自分の活動をする。外にはテラスがあり、そこでも絵を描くなどの活動をしている。

・朝になると集まって、手をつないで近くの大きな公園に遊びに行く。あえて違う子と毎日手をつないで行くよう心掛けている。

・心の葛藤が出ることも含めて園運営をしている。ある時は、いろいろな感情が出てきたときに歌をみんなで作った。大人も子供も、悔しい、悲しいといういろいろな心の葛藤がある。それを安心して表現することができることが大事。

・知識的な学びは瞬間だが心の学びは一生だ。だからいろいろな心の学びは大切だという言葉が印象的だった。

・もりのようちえんで本当に大切にしていることは、心の葛藤を安心してこの場で出せるということ。瞑想ルームがあり、時には薄暗がりの部屋に行って、自分のこころと向き合う時間を設ける。

・内面の動き、成長を大事にしている文化であると感じた。

③フィンランド

「競争しない教育が特長。PISAで1位になったので注目している。
人口はデンマークとほぼ同じ。面積は日本とほぼ同じ。
ゲルマン民族がフィンランドにたどり着いた、といわれている。
実は、日本人もゲルマン民族の血が流れているといわれており、礼儀正しくシャイな人が多いという所が日本人と似ている。
日本との違いは、自分の意見がはっきりいえる文化があるということ。

フィンランドの教育システムの特長
・ひとりひとりの可能性を最大限に引き出すことが教育の目的。
・自立して社会に貢献することを大切にしている。
・教育に投資をする。教育は全て無料。有料だとしても月5,000円程度。
視察先の特徴:普通の幼稚園、森の幼稚園コース、普通の幼稚園コースに分かれていた。


もりのようちえんコースの様子
・朝集まって、15分くらい歩いた先の森に行く。

・柵のない森の中だが、子どもたちはどこまでいっていいのかを理解していて思い思いに遊んでいた。

・木の実を使ったおままごと、高いところに登など、自分たちで遊びを生み出していた。枝を一本立ててその上を飛んだりなど創造性を膨らませて自分たちで遊んでいた。

・食事もバイキング形式で外でとる。

・午後には授業がある。幼児教育のカリキュラムが決まっており、音楽、国語もやっていた。

・国語は言語の勉強。いろいろな国から来ているので発音を学習する。母国語でない子には個別サポートも充実。

・サークルになって話したり、絵本を読んだりする。

・夕方外から帰ってきた後は、普通の幼稚園コースの子と一緒に過ごす。

・もりのようちえんコースの子と普通の幼稚園コースの子との違いは 集中力、自己管理能力、体力。

・大人にとっては、体力的には疲れるが精神的には楽なところが良い。子どもたちがたくさん体を動かしてくれるので夜すぐに休んでくれることもあり、大人はプライベートタイムを充実させることができる。

・森に行くと子どもたちは森の妖精のよう。お互い助け合ったりしている様子が見られる。

質疑応答
Q:森コースがいいことが広まってしまうと森コースの希望者が殺到し、倍率が高くなったりするのでは?
A:子どもにより、外が合う子、合わない子もいるので、選択ができるようになっている。効果の問題だけではなく、適合性もある。
Q:柵がなくてあちこちに移動しているようだが、安全面という面では大丈夫なのか。また、先生側が指示したりすることがあるのか。もし子どもが抜け出してしまったときの対応は?
A:体験的に危ないということを子供たちが習得しているので抜け出すことがない。誰かの指示によって動いているわけではなく、自分で自分の安全を体験的に学んでいるため、抜け出すという感覚がない。自由が担保されている。他の園もそうだが目に見える範囲で遊んでね、というのをルールにしているところが多い。そのなかで遊んでいる。
ドイツの園では、ポイントポイントで子どもを集めて、遊んでということを繰り返すことにより人数確認をしていた。

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日本の「もりのようちえん」ー④北海道 トモエ幼稚園

視察先の特徴:自然の中での保育を大切にしている。「もりのようちえん」をうたってはいない。今までに三度視察してきた。
村みたいなイメージ。
園児は3歳~就学前。弟、妹、兄、姉、卒園生、保護者、祖父母が集まって生活をしている。異年齢保育。家族がいつでも来られるようになっている。森に囲まれている。人に対する研究を長年続けている。


園のようす
・ルールはひとつ。大人から離れすぎないこと。

・全てが自由。ごはんも何時にどこで食べててもいいし、誰と食べてもいい。この日は朝10時くらいに屋根の上で子どもたちがおにぎりを食べていた。

・自分たちで判断して生活を作っている。子どもたちは体験から学んでいる。

・崖のふちに手づくりのブランコあり。崖が斜面が急。怖いと躊躇していたら、5歳くらいの子が「怖いかどうかなんてやってみないとわからな い」と励ましてくれた。

・卒園生に送るプレゼント、誕生日プレゼントは園のスタッフが作ったもの。いつも違うものを作っている。

・子どもたちの創造性を育みたいと思ったら、自分たちがまずクリエイティビティを持っていないといけないと言っていた。

・子どもたちもお母さんたちも育つ場。あるスタッフは、「私たちは子供たちを育てているわけでもお母さんを育てているわけでもなく、自分が成長するために一生懸命やっている」と言っていた。

・園舎は壁がなく、オープンスペースになっている。好きなところで遊べるようになっている。

・卒園した小1の子が「自由ってなにをしていいっていうわけでもない。なにをしていいか、何をしたらいけないのかを決めるのが自由なんだ」と話をしていた。

日本の「もりのようちえん」ー⑤鳥取県 まるたんぼう


町ぐるみで森の幼稚園を盛り上げている。ここに入るために移住する家族も多い。


園のようす:
・自然豊かなフィールドが9か所あり、集合場所までは車で来る。バスに乗ってフィールドに移動

・信じて待つ保育を徹底。ある子がかばんを置き忘れて次のところに向かおうとしていた。「カバン忘れているな」と思って声をかけようとしたところ、「声をかけなくていい。自分で気づいて戻るのをまてばいい」とスタッフに言われた。


日本の「もりのようちえん」ー⑥長野県 こどものもり幼稚園


日本で最初にできた森の幼稚園。シュタイナー教育も取り入れており、朝にオペレッタの練習をしたり、おいのりの時間を設けていたりする。

規模:園児60名、教師5名。チーム保育をしている。

 
園長先生のコメント
・子どもたちとの関わりで大切にしているところをを聞いたところ、「気にしすぎない。何をしていい、してはならないを大人が気にしすぎず、各々の裁量で関わることを大切にしている」と言っていた。

・ 許容範囲はひとりひとり違う。「ここはちょっとあぶない」という感覚はひとりひとり違うが、見守らねばならないところもある。危ない時は大人も止めてもいい。大丈夫だと思えばそれでいい。

・子供たちも柔軟だから柔軟に受け入れられる。そういう力を信じている。

その他「もりのようちえん」の研究


・東京都で普通の園でも森の要素を作ってみようという動きがある。自然体験をやった園は教科的にどんな相関があったのか、研究されている。

・自然を活用することが大好きな子どもの保護者の養育態度としては、社会コミュニケーションを大切にするような育て方、許容する心が日常から広い。

・今後は教育態度を統制した分析が必要かもしれない。3~5歳の子どもがどれだけ自然教育の影響があるのかという部分についてはエビデンスが必要ではあるが、要素がたくさんあって複雑な部分もある。

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わくわくbaseでの取り組み


わくわくを大切にやっていきたい、人としての大事な土台を育む場、居場所でありたいと2017年7月、亀戸に一園め、わくわくBASE亀戸を開校。定員30名。
また、二園めとして横浜市神奈川区の特別老人保育内にある定員10名の保育園、保育室たいようのいえを開校。

保育理念:子どもたちひとりひとりの自らの可能性を信じ、人生を切り開く力を育む場
保育目標:子どもの自ら育つ力を引き出す
・子供たちが生まれながらにして自ら育つ力を信じて、考える力、想像する力、引き出せるような環境づくりを意識している。
コンセプト
① 自然で遊ぶ・・・こころとからだを育む
② 多様な人と関わる・・・愛着関係。いろいろな人と関わる中で他者を尊重する力、受容できる機会をつくる。
③ 体験から学ぶ・・・大切なことは繰り返し伝える。子どもたち自身が自ら気づく、学ぶ体験が必要。それができる環境づくりを心がけている。
大切にしていること
・大人も子供もともに育つ場であること。
・子どもの、今、この瞬間を大切にする。
・生活リズムを大切にするが、気持ち、体調、天気により変わってくるのでチーム保育で体制を話し合って決めている。
・大人も子供も関係なく人と人として関わる。
縦の関係ではなく、ともに生活する仲間として横に存在する人でありたいと思っている。
・なるべくオープンな場であること。
・心と体に優しい環境をつくる。食材にもこだわるようにする。

〇保育室たいようのいえ(横浜)


5階建て老人ホームの中の5階にある保育室。半分は老人ホームに勤めている方、半分はその他から。横浜駅からバスで10分。緑が豊かな場所にある。

園の様子
・徒歩5分にプレイパークがある。

・園の真裏にあるキャベツ畑を抜けると雑木林があるので、自然の中で遊ぶことができる。

・子どもたちは雑木林や小道で遊ぶ。雨の日、雨上がりはどろどろになって遊ぶ。

・うさぎやま公園という遊具がそれほどない公園がある。ここでは、自然の高低差を利用して山を登ったりするなど、乳児ではあるがその子の発達段階に合わせた保育に取り組んでいる。

・自然の中でのかかわりが多い。「のぼってみたい」と丸太の上をのぼる子、丘や斜面を利用して「助けてごっこ」をする子がいる。時にはお兄ちゃん、お姉ちゃんを助けてあげることもある。下にいる子より上にいる子のほうがが有利だということが子どもながらにわかっているので自然発生的に助けるという習慣がある。

・最初は虫を嫌がっていた子も多くいたが、徐々に興味がわいてきて、それぞれのタイミングで関わっていくようになる。カマキリと最初は距離をとるが、そのうち、背中を触ってみたり、持ち方を覚えたり、力の加減を覚えたりしながら大きい虫にも触れるようになる。ときには、虫のご飯を作るんだ、とバッタをつかまえたり、勇気のある子はカナヘビを捕まえたりすることもある。

・最初は力加減が分からず虫を殺してしまったりしまうこともあった。死を少しずつ理解できることにより、死んでしまった時には、葉っぱをかぶせてあげたりというやさしさも出るようになる。

・四季折々、季節により見えるものが違う。氷がはる季節に何度か現地に赴くと、子どもたちなりにどういうところに氷があるかがだんだんわかってくるようになる。畑に氷が張っていることもあり、大きな氷を見ることもある。

・自然との中で想像を膨らませていくようになる。一本の木をみて、魔女にみたてたり、帽子をかけるところにしたりして、いろいろなものにみたてて遊ぶ創造性が養われる。時には電車に変わることもある。用意されたものではないものから、自分たちでふくらませて遊びにつなげていく。

〇わくわくbase(亀戸)


0歳児から就業前までの子ども対象。

園の様子
・猿江恩賜公園まで歩いて20分以上かけて行く。とても大きな公園で、丸太ベース、芝生、鴨池、などその日によって場所を選んで遊ぶようにしている。

・3~5歳児は縦割りで活動。朝みんなで話し合い、何をしたい、どこに行きたいなどを決めていく。「両方行こう」「探検しながら行こう」と話し合いながら行くところを決めている。

・丸太ベースは、東京の暑い夏の日でも背の高い木がたくさんあるので風が吹けばまあまあ気持ち良いエリア。「暑いから」と外に出れない日はほぼなかった。切り株、丸太がある。0歳児が丸太でつかまり立ちをしたり、1歳児が体を使って丸太によじ登ったりする。

・都市公園だが虫との出会いもたくさんある。へびに遭遇して草藪に隠れたのを見て、「こわいけどまた会いたい」と言っていた。ペットボトルのキャップのフタをあけて、へびがのどが乾いて水のみに来ないかと待っていた。

・女の子たちは「蛇の舞」をしてへびをおびき寄せたりもしていた。創意工夫して、想像力が豊か。

・とんぼを捕まえたいと網で一生懸命追いかけていたが、とんぼが早すぎて取れなかった。その子が次にしたことは、大きなタオルを借りて羽にみたて、とんぼをおびき寄せることを試みていた。
・カエルが元気ではないときでもカエルの家に遊びに行っていた。冬眠中の中、カエルに起きてもらって遊んでいた。そのうち子どもが落ち葉に埋まって「冬眠中」とカエルの気持ちになっていた。ひとしきり遊んだあとはそっとかえるのおうちに戻し、はっぱをかけてあげていた。

・雨の日も合羽を着て散歩に行ったり、雨上がりの水たまりで豪快に遊んだりする。帽子を思い切り水だらけにするのを楽しんでいた子どももいた。

・子供たちの慣性はすばらしい。ある日シーソーに5歳の男の子と乗っていて、ふと空をみあげてみたら雲一つなかった。その時、「くもさんはかぜひいて病院にいったんじゃない?」といい、「太陽と青空がギュッとしているよ」という話をし始めた。「なんでギュッとしているんだろう?」と聞いてみたら「出会えてうれしいからじゃない?」といっていた。

・みんなで走り回って疲れたので空をみあげたら、「雲が疲れをとってくれているよ」と言っている子がいた。

・パンが大好きな男の子がパン屋さんごっこをしていた。それをみていた大人が、本当のパンをみんなで作ろうと発案し、給食の栄養士さんに相談してパン作りをすることになった。小麦粉粘土でパン屋の練習を園内でしていたら、外でやりたくなってやるように。そのうち、段ボールでオーブンを作って焼く練習をしたり、枝を持ってきて、火をたく練習をしていたりしていたので、本番の時にはいろいろなパンが焼けた。

・徒歩30分くらいの公園にいって、そこにあった工作室でのこぎり、とんかちを使わせてもらったこともあった。何度か通っていく中で、それまであまり興味はあるものの切るというところまではなかった子が、この日は「この竹をぜったい切り落とす」という思いがあって30分くらい頑張っていた。結局は最後までいかなかったが、挑戦する気持ち、やりきるぞという気持ちを感じた。没頭できるのは素敵だと思った。

・「園内にも同じような工作室があったらいいね」という大人たちの思いが出て、保護者もみんなで考えようとアンケートをとって意見をだしてもらった。去年12月に計画が始まり、今年3月、工作室ができあがった。道具も子供たちで話し合って、のこぎり、とんかちなどを購入。公園でもらった気を実際に切ってみた。工作室の名前もみんなで考え、「わくわくてんごく」となった。

・いろいろな人との出会いから体験が生まれることもある。
年度末、遠出しようとバスに乗って遠くの公園に行ったら飛行機を飛ばしているおじさんたちがいた。子供たちが「飛ばしたい」と言ったら、紙でできた飛行機を持ってきてやらせてくれたこともあった。

・ 公園の近くで橋の工事をしていて、おじさんとあいさつしたり、仲良くなっていたら、おじさんに「道におえかきしないか」と提案していただき、実際に道路でおえかきをさせでてもらったことがあった。チョークが初めての子も多かったが、チョークの特長を考えて描き方を考えながら楽しんでいた。

・大人のわくわくから生まれる企画もあった。あるカフェのオーナーが陶芸をしており、「保育園でもやってほしい」と相談をしたら、陶芸教室が実現した。 粘土より硬い土に触れ、お皿、コップ、ホットドックなど皆思い思いに作っていた。

・ 公園以外にも周りにいろいろな場所があるので、夕方3時半くらいのお散歩でいろいろな場所に言っている。近くの神社や亀戸天神、別の公園に行ったりしている。あるとき天神さんに行ったら、さるまわしの軍団に出会った。

・おたまじゃくしを捕まえたり、高校の先生から「トウキョウサンショウウオ」をお借りして育てたりしている。

・ 園内での生活は、朝遠足に行く前と昼寝後の散歩を終えた後のみ。大体は外で過ごす。雨の日もよほどひどい雷でない限りは外に出る。

セミナーを終えて

のびのびとした環境の中、想像力を養うことができる「もりのようちえん」。
今回はわくわくbaseさんの取り組みと、各国の「もりのようちえん」の様子を知ることができました。
選択肢の一つとして、インプットしてみたらいかがでしょうか。


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