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2023クリスマスの新作は、ロイヤルな気品溢れる紅茶のガトー〈テ ロワイヤル〉


紅茶×ミルク×ベルガモット×オレンジ


シェフの進藤です。
今日ご紹介するのは2023クリスマスの新作〈テ ロワイヤル〉。
紅茶がテーマのガトーになります。

今回の新作を作るにあたり『これまで1度も使っていない食材で!』と決め、それから折に触れて何が良いかあれこれ考えていると、ある日、頭の中にフッと〈紅茶〉が降りてきました。
これまでに“2大ケーキのお供”の1つ“コーヒー”は、〈オペラ〉や〈プログレ〉というケーキに使用していますが、確かに、もう1つの“紅茶”は1度も無し。
決まりです。
完成イメージは、しっかりと紅茶が主役で、レモンティーの様な爽やかさとミルクティーのコクを併せ持ったケーキ。

早速、試作に取りかかる為、お気に入りの〈ダージリン〉と〈アールグレイ〉を取り寄せました。
紅茶に詳しくない方の為にちょっと説明と補足を。
〈ダージリン〉は生産地の名前であり、茶葉の名前でもあります。〈アールグレイ〉はフレーバーティーの名前。なので、両者は全くの別物!

もう少し深掘りすると、〈インドのダージリン地方〉で生産される〈ダージリン〉は、世界三大銘茶の1つ(ちなみに残り2つは、スリランカのウバと中国のキームン)。高地で栽培される為独特の香りや味わいを持ち、特に爽やかな渋みと深いコクが特徴。

一方の〈アールグレイ〉は茶葉にベルガモットの香りを付けた、たぶん世界一有名な〈フレーバーティー〉。製造するメーカーによって使う茶葉も違えば、香料の割合も異なるようで。名前の由来は諸説あるみたいですが、インドの高官の命を救ったイギリスの首相〈グレイ伯爵〉の名前との事。“アール”は伯爵の意。“グレイ”は人物の名前。で、アールグレイ。そのまんまっ!

それはそうと、私は基本〈珈琲派〉。
近所のお気に入りコーヒー店〈プランクスコーヒー〉さんのブレンドやデキャフェを愛飲しています。もし、よければ皆さんにもお薦めを。大手のカフェチェーンとはまた違った、深い味わいのとっても美味しいコーヒーが飲めますので。
よって普段〈紅茶〉を飲む機会はほとんどありません。ですが、初めて就職したお店が今でいう〈カフェ〉で。そこで働いた3年間は、1日の数時間はカウンターでドリンクを作る毎日。そこでは勿論紅茶も扱っており、紅茶を使ったメニューも豊富でした。そんな事もあり、当時は結構しっかりと紅茶について勉強し、紅茶の淹れ方等を研究したので、普通の人よりは紅茶に詳しい事は間違いありません。
紅茶を淹れる事に関して言えば、香りが立つ様に蒸らし時間に気を使ったり、アイスティーが濁らない様に抽出した後直ぐに急冷したり。懐かしい記憶です。
中でも、23才の時そこで初めて飲んだ〈ホットティーオーレ〉の衝撃は忘れられません。少し多めの紅茶葉とカップ1/2の牛乳・水を鍋に入れて火にかけ、紅茶の旨味をしっかりと抽出する〈ホットティーオーレ〉。
飲んだ瞬間、ハッとしました。

めちゃくちゃ美味しい…

それまで〈ミルクティー〉に持っていた少し紅茶風味の薄い印象から一転、牛乳と対等に渡り合っている力強い紅茶がそこにはあって。それでいて、牛乳が紅茶の渋み等の角を取っている素晴らしい調和で。
あまり紅茶を飲まない方々には、是非とも一度試して欲しいです。紅茶にはまる人達の気持ちが分かると思います。
先程少し述べたインドのダージリン地方で取れる〈ダージリン〉、北東インドのアッサム平原で取れる〈アッサム〉やスリランカの〈ウバ〉〈ヌワラエリア〉、その他にも中国の〈キームン〉等々。
美味しい紅茶はとっても奥が深いのです。
もっと紅茶を詳しく知りたいなら紅茶専門店へ。ちなみに、私の故郷大阪では、昔友人が勤めていた〈ムジカティー〉が有名。フランス パリなら、勿論〈マリアージュフレール〉。日本にも支店があります。
ちなみに〈ティーオーレ〉は、お店によって〈ロイヤルミルクティー〉と呼んでいる所もあるようですのでご注意を。

あ、ケーキの話に戻ります(笑)。

そんな紅茶の魅力をケーキで表現する為に、私がメインに選んだのは〈アールグレイ〉。〈ダージリン〉はグラサージュに使用。
まずはアールグレイを使ってサクサクの紅茶のクッキーを作り、次に柔らかい紅茶風味のスポンジケーキを厚めに焼きました。こちらは組み立てる際に、ホワイトチョコレートで接着することに。
後は、このケーキの肝となる滑らかで柔らかな紅茶のババロワを。卵黄のコクや乳風味に負けないよう〈紅茶の風味〉をしっかりと引き出す為、レシピ内の牛乳で事前に紅茶を抽出したり、微細な紅茶葉を直接練り込んだり、あらゆるテクニックを駆使しました。何度かの試作で、とっても美味しい物が完成。
そして、その紅茶に合わせる食材として、〈アールグレイ〉は元々〈ベルガモット〉の香りを付けてあるフレーバーティーなので、ミカン科の柑橘類〈ベルガモット〉の果汁とはベストマッチ。
ですが〈ベルガモット〉は元々酸味が強烈で、私的にはそのまま単体での使用は✕。そこで色々と試行錯誤した結果、その〈ベルガモット〉の持つ華やかな香りを消さない程度に、〈オレンジ〉で中和するのが最良ということにたどり着き…。
そして、その〈ベルガモット×オレンジ〉をジュレ仕立てに…。

ケーキの構成は下から、紅茶のクッキー、接着用のホワイトチョコ、極厚の紅茶ビスキュイ(スポンジケーキ)、ベルガモット×オレンジのジュレ、アールグレイのババロワ、ダージリンで作ったロイヤルミルクティーのグラサージュと金箔、サイドにチョコの板となります。

サクサクで滑らか。紅茶の風味と柑橘ベルガモットの香り。“とても気品のあるケーキ”が完成したので〈テ ロワイヤル=高貴な紅茶〉と名付けました。

クリスマスにピッタリな優しい味わいのケーキです。皆さんの素敵なクリスマスを、更に華やかにしてくれるケーキだと思います。
なお、こちらのケーキは新商品の為、早めに売り切れることが予想されます(生産数に限りがある為)。気になった方には、お早めのご予約をお勧め致します。

では、いつも通り〈当店のお菓子は全て、違いの分かる大人向き〉〈論より証拠〉。ご予約をお待ちしております。


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