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【仕事術】ゲーム開発における職務分掌のハナシ

職務分掌とは

「職務分掌」とは、組織においてそれぞれの職務が果たすべき責任(職責)や職責を果たす上で必要な権限(職権)を明確にするために、職務ごとの役割を整理・配分することです。多くの企業・組織では、個別の部門・部署や役職、あるいは特定の担当者について、それぞれの仕事の内容や権限・責任の範囲などを定義し、明文化しています。この文書を「職務分掌規定」「職務分掌表」などと呼びます。
【コトバンクより】

ゲーム開発は、タイトル別にプロジェクト制度を採るスタイルがポピュラーです。
企画が承認されるとプロジェクトが発足され、ゲームの完成もしくは運営の終了によってプロジェクトが終了します。

プロジェクトの中心にいるのは次の三職種。それぞれ異なる職責を持ちます。

1)ゲームプロデューサー(職責:利益の最大化)
2)プロジェクトマネージャー(職責:予算と納期の保守)
3)ゲームディレクター(職責:品質の確保)

「1」と「3」は、どの会社も同じような捉え方をしています。
「2」は会社によって多少異なることがあります(詳しくは後述)。

また、自社で開発費を賄ってゲームを提供する「パブリッシャー」と、そのパブリッシャーから開発業務を請け負う「デベロッパー」で、三職種の役割が変わってきます。

デベロッパー側にゲームプロデューサーは存在しません。クライアントであるパブリッシャーと合意した予算と納期に合わせて開発が進められるからです。
決められた予算内の仕事ですから、利益の最大化(例えばキャラクターグッズを売って売り上げを増やす等)は求められないのです。

また、プロジェクトの規模が小さいと「ゲームディレクター」と「プロジェクトマネージャー」を兼務したり、さらには「ゲームプロデューサー」まで兼務することも珍しくありません。

よくある勘違い

職責に違いから、対立することを当たり前とする話を耳にします。
よくある対立の構図は「プロデューサーVSデイレクター」とか「プロジェクトマネージャーVSディレクター」。
マネジメントを採るのか、クオリティを採るのか、という対立ですね。

「優れたディレクターは、利益のためにクオリティを妥協したりしない。
プロデューサーと、とことん戦うんだ!」
なんて、武勇伝を聞かされた経験を持つ人、いますよね。

でも、プロジェクト内で対立っておかしくないですか?
そんな状態じゃチームワークも何もあったもんじゃありません。
プロジェクトは崩壊に突き進むだけです。

異なる職責を持ちながら、どうチームワークをとればいいのか。
それを語れるような人じゃないなら、付き合うのは控えましょう。

職責には分担するものと、協力し合うものがある

ゲーム開発の場合、協力し合う職責は「ゲームを完成させること」です。

完成しなかったら、利益も品質も予算も納期も、語る価値がありません。
どの職責も「まずはじめにゲームの完成ありき」なのです。

その上で、優れたチームワークを発揮するためには、何をどのように完成させるのか、統一された完成図をプロジェクト関係者全員で共有する必要があります。

つまり、プロデューサーは利益という側面から、ディレクターは品質という側面から、プロマネは予算と納期の観点から、利益と品質と予算・納期をどのようなバランスにするのが良いのか追求し、ベストな完成図を作りあげる責任があるのです。

人を見ることも大事

3つの職責でもう一つ大事なポイントは「人を見る」ことです。
ゲームを手にするユーザーに対し、プロデューサーは「買い手」として、ディレクターは「遊び手」として目を向けます。

また、ディレクターは開発スタッフの「才能」に目を向け、プロマネは開発スタッフの「働きやすさ」に目を向けます。
スタッフの才能を引き出してこそ、高い品質を目指すことができますし、スタッフがつまずくことなく開発できる環境(物理的にも精神的にも)を用意することで、予算や納期を守れるスムーズな開発になるからです。

ただ、管理職でもありますから、会社によっては「管理」という意味合いが強くなっていることがあります。
とくに予算やスケジュール上の数字ばかり気にかけ、人・物・金の管理に必要以上にこだわるプロマネは、ちょっと困りもの。

でも、残念ながら、そういう会社は珍しくありません。
冒頭でプロマネの職責を「会社で異なる」と書いた理由もそこにあります。

読み返していただくとわかりますが、今回取り上げた3つの職責に「管理」という言葉は使っていません。

この「管理」という言葉、使い勝手が良いんです。
使うだけで、なんとなくサマになっているように見えます。
中身が薄っぺらくても。

だから、「管理」という言葉を頻繁に使う人は、ちょっと警戒します。
仕事ができそうに見えて、できなかったりすることが多いので。

全スタッフに「完成」の職責があることを忘れずに

誰かの職責を妨げる行為は、完成という自分の職責を妨げる行為になります。
それを良しとする人はいてはなりません。
職種の違いや役職による上下関係、ジェンダーも年齢も関係ありません。

完成という職責を自覚するなら、協力し合う、という選択肢一択のみ。
対立しているヒマなんて、ないのです。

さあ、今日も皆で楽しくゲームを作りましょう!

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