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「0-100思考」になりやすい人の特徴

今回は、「0か100か」の思考になりやすい人の特徴についての話です。
 

中間がなくて物事を0か100かの状態で考えてしまう思考をこのように「0か100か思考」とか、あるいは「全か無か思考(all-or-nothing thinking)」などと呼びます。
 
この思考があると、「完璧主義」に陥りやすくなります。
小さな失敗やミスも過大に受け止めてしまい、必要以上に挫折体験を味わったり、挫折したくないために行動自体をしなかったりします。
 
この「0か100か思考」になりやすい人の背景として考えられるものがあるので、解説します。
またこの思考の対処法も一つあげたいと思います。



「0か100か思考」になりやすい人の特性の一つとして、「ハイコントラスト知覚特性」があるのではないかと思います。
 
耳慣れない言葉かもしれません。
 
コントラストが強すぎて、中間がなくて、物事や状態を両極端に感じ取る傾向です。
「白か黒か」で間のグレーゾーンがないような感じです。
 
「ハイコントラスト知覚特性」は、発達障害の自閉症スペクトラム障害(ASD)の人によく見られる特性です。
明神下診療所の米田衆介先生の『アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか? 大人の発達障害を考える』という書籍の中で説明されています。
 
この思考が「完璧主義」にも結び付くのではないかと思い、今回紹介させていただきました。
「完璧主義」「0か100か思考」の人に発達障害がある、という話では決してありません。
この特性が「完璧主義」を考えるうえで役に立つと思った次第です。
 
 
「ハイコントラスト知覚特性」についてもう少し説明しますね。
 
白—黒で考えています。
 
通常ですと、白と黒の間にはグラデーションがあって、少しずつ白から黒へまたは黒から白へ移っていきます。
中間がないということは、ある境目となる閾値のようなポイントが存在します。
そこを少しでも超えると、最大値に一気に振りきれたり、逆に最小値に振りきれたりしまいます。
 
図にすると、このようになります。


「適当」にやるということができない状態です。
 
疲労感についても極端さがあります。
ちょっと疲れても、それが閾値をちょっとでもオーバーしていれば、もう動けないくらい疲れたと感じます。
逆に元気なったのはいいけど、エネルギーが尽きるまで疲労を感じずに頑張ることがあります。
 
 
それでは、「ハイコントラスト知覚特性」がある場合にどのように対処したらよいのかという話です。
 
まずは、この「ハイコントラスト知覚特性」というものを理解して、自分にはそのような傾向があると意識することです。
 
そのうえで、「スケーリング・クエスチョン」を使うようにすることが一つあげられます。
 
スケーリング・クエスチョンというのは、「一番いいときの状態を10として、最悪の状態を0としたときに、今、何点であるか?」を問う質問です。
 
漠然と「最悪だ」と思っていても、0から10の中の数値にしてみると、2くらいかもしれません。
思ったほど最悪ではないことにまず気づきます。
 
さらに0ではなくて2なのは、一体0とは何が違うのか?を問います。
そして、2から3になるには、何が違えばいいのか?を問います。
 
差異に注目して、漠然としたとらえ方から数値によって具体的にとらえていくのです。
そうすることで、ハイコントラストからグレーゾーンに目を向けるように心がけるのです。
 
 
 
今回は、「0か100か思考」の背景には「ハイコントラスト知覚特性」があるかもしれない、その対処法として「スケーリング・クエスチョン」を活用してみるという話でした。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。


【参考文献】
『アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか? 大人の発達障害を考える』(米田衆介 講談社)


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小林いさむ|公認心理師

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