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馬に会える本。(4)
馬が好きだから、馬の近くへ行ってみたい。そんなふうに、物心ついた頃から思っていた。
大人になって、いざ乗馬クラブのサラブレッドの前に立ってみたら、かわいいだけではなく、ちょっと恐怖を感じた。それは相手が馬だからではない。どんな動物が相手でもそうだ。筋肉も、牙も、鋭い爪も、角もないこの体は脆弱すぎる。一撃されたら、一蹴されたら、私なんて遠くまで吹っ飛ばされてしまうはずだ。
馬に会える本。(1)
出会えるときって、出会えるものですね。
書店をふらふらしていたら、棚に飾られていた本の表紙に、ぐっと惹き付けられた。
なんて美しい馬なんだろう。
すっと手にとる。ずしっと重い。
銀の箔押しで、
「エピタフ」と、タイトルが。
エピタフ…?
無知な私には、何のことなのか皆目見当がつかない。
「幻の島、ユルリの光跡」というサブタイトルと「岡田敦」という著者の名前も箔押しされている。
ユルリ…?
そっと、