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本 塩狩峠


今日紹介するのは、私がまだ中学2年生くらいの頃に、熱心に読み耽った三浦綾子さんの小説、塩狩峠です。

この本は歴史小説以外で、私が生まれて初めて夢中になった本でした。とても真面目な本です。

ですが、読みやすく、読み応えもあり、子供でしたが読み進めることは苦痛ではありませんでした。

その点、流石は三浦綾子さんだと思います。

三浦綾子さんの作品としては、代表作の氷点より私は個人的にこちらの方が好みでした。

この塩狩峠は、実話を元にした作品でして、私はそのことにまず感銘を受けました。

ラストは確か感動してポロポロと涙をこぼして泣きじゃくった記憶があります。

その頃の自分がまだ子供だったせいか、凄くピュアだったというのもあり、作品を読んでいたら心が洗われて、心の底から主人公を尊敬してやまない気持ちになりました。

物語は、熱心なキリスト教信者が主人公で、その方の逸話になります。

敬虔なクリスチャンとして奉仕に身を捧げ、犯罪者の心に寄り添い、見返りを求めず救いの手を差し伸べる。

最後には身をていして多くの人を救う悲劇的なお話です。

このお話は全体を通して、昔の日本人の朴訥さ、猪突猛進な純粋さのようなものが垣間見えます。

真面目な日本人の、いかにも影響を受けやすい側面が、良い意味でも悪い意味でも象徴的だと感じます。

宗教どっぷりのお話でして、罪や罰といった側面を目の当たりにすることで、こんな立派にはなれないと、その重さに一部白けたり引いてしまう方もいるようですが、

思うに、こんな風にはなれないと当然私も思いましたが、結論から言うと結果は全く逆で。

むしろこんな風にはなれないなぁ、凄いなあ、と感動したので、もっと子供らしく率直で単純だったのだと思います。

この小説の世界観にもあるような、真っ直ぐさってシンプルに素晴らしいことだと私は思ってます。

布教の意図があるとかないとか、美化し過ぎてるのではないかなど諸説ありますが、

あまり難しく考えずに、道徳の授業だと思ってまず興味のある方は一読されてみてはいかがでしょうか。


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