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2020年に読んで好きだった本

さて今年も、読んだ本で印象的だった本、好きだった本を書き残してみる。
例年通り、2020年に刊行された本という縛りはなく、ただ私が2020年中に読んだ本です。

今年とにかくインパクトが強く、読後感を一番思い出すのはこちら。

「「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ」長島有里枝

痺れた。めちゃくちゃ格好良くて。過去のご自身を取り巻いていた事象をご自身も含めて客観的に検証する姿勢、そしてそのために勉強されて書かれたこれは悲痛な叫びのようであり、女性をエンパワーする力に溢れた力強い刀のようであり、なんというかもう、はい痺れました。最後のパートはもっと続きを読みたいです。

「背中の記憶」長島有里枝

なんで読んでいなかったのかしら。こちらも素晴らしかった。私もこんな文章が書けたら良いのに、

そして同じくらい印象に残っている本がこちら。

「その名を暴け」ジョディ・カンター/ミーガン・トゥーイー/古屋美登里

ハリウッドの超有名プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの性的虐待、暴行の事実を報道した記者たちの取材から記事公開までの過程を描いたこちらは、読んでいて途中胸糞悪くなる場面も多くて、読むのにとても時間がかかったけれど、読み終えたときは本当に感動したし、あの記事の意味やその後の#metoo運動へのつながり、世界で起こっていることとつなげて考えると感慨深い。携わったすべての人に感謝したい気持ちとともに、これから自分がすべきことを考える。


最近の私の関心がそちらに向いているのだろう、今年は特に手に取る本がフェミニズムや女性、シスターフッドに関するものが多かった。下記は特によかった作品。

「わたしに無害なひと」チェ・ウニョン/古川 綾子

人と人の間に生まれる機微、感情、心の動き、喜び、悲しみ、怒り、様々ないものが、美しい表現で綴られてものすごい密度だった。


「彼女の名前は」チョ・ナムジュ/小山内園子/すんみ

書かれている時も、お話を聞かれている時も、どんなに心が痛んだだろうかと想像する。彼女たちは私、これは私たちの物語。


「彼女たちの部屋」レティシア・コロンバニ/齋藤可津子


このインタビューを読んで腑に落ちた、そう、居場所の話なのだこれは。


「オルガ」ベルンハルト・シュリンク/松永 美穂

素晴らしい心理描写と最後に明かされる驚き。


「おちび」エドワード・ケアリー/古屋 美登里


マダム・タッソーの生涯を描いた物語。もの凄いエネルギーの物語。文体も素敵。わくわくドキドキもするし、涙も出るし、勇気付けられもするし、なんて楽しい読書時間だったことか!勇敢な女の子にいつも私は助けられている。


「失われた女の子」エレナ・フェッランテ/飯田亮介

4部作の完結編。読み終わってしまうのが悲しかった。私の物語だと強く思ったのに、全然そうではない。それが何なのかわからず、とにかく言葉が見つからなかった。



フェミニズム等に関係なく印象に残っている作品も。

「子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から」ブレイディみかこ


文章力に圧倒されて、このあたりからブレイディみかこさんの作品をどんどん読んだ今年。


「大英自然史博物館 珍鳥標本盗難事件」 カーク・ウォレス・ジョンソン 矢野真千子

たった1件の判例がなんという判決を導き出してしまうのか!という点に憤りつつ、ルポとしてとても興味深かった。


「息吹」テッド・チャン/大森望

SFという一言でカテゴライズしたくない作品だった。すごく好き。


「素数たちの孤独」パオロ・ジョルダーノ/飯田亮介

薄っすら期待してた展開なんぞ訪れず、救われないがそれがめちゃくちゃリアルで、グサグサに刺さって泣いてしまった。


「秋」アリ・スミス/木原善彦


時空を行き来して、現実と非現実も行き来しているようで、詩のように美しい作品。4部作、早く全部読みたい。
「私たちを愛する人、私たちのことを少し知った人が、いつか私たちのことを本当に理解してくれるのだと期待することしか私たちにはできない。結局のところ、それ以外のことはどうでもいいんだよ。」というフレーズが好きすぎて何度も読み返えした。


「わかりやすさの罪」武田砂鉄

面白かったと軽々しく言ったら何をわかったようなつもりで、と言われそうだから言いにくいけど面白かったです。


「装丁物語」和田誠


うっとり。あれも和田さんだったのか!と思う本も沢山。がつがつと一気に読んでしまったので、今度はちびりちびりとひとつひとつの出来れば装幀を、せめてカバーの画像だけでも確認しながら読みたい。


「拡張現実的」川田十夢

天才過ぎて全部は理解出来てる気がしないけどそれでも天才がなるべく伝わる言葉で天才の頭の中を見せてくれているんだろうなぁ。通りすがりの天才川田さんは優しくてとても素敵です。


「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」 若林正恭 


衝撃、という意味ではこれも凄かったな。全然チェックしてなかったけれど姉がすごくよかったというので借りて読んだら度肝抜かれた。私も大概面倒な生き方してるけどキューバに行ってもここまで考えないと思う。新自由主義的価値観から自由になりたいとしみじみ思った。DJ松永さんの解説もすごく良かった。


もう一冊書いていないのがあるけれどそれはまた別の機会に。。。



もっと沢山本を読む時間が取れたら良いのだけれど、なかなかしばらくはそうはいかないでしょうねえ。でも来年も素晴らしい本に沢山出会えますように。
それではみなさま Happy Holidays!

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