一人で来たよ とおじいちゃんへ

疲れた。

そう呟くとベッドに大の字で倒れこんだ。

いやらしいほど燦々と輝く照明を消し忘れた。

天井を眺めて木目が顔に見えたり揺らいだりしている。

口をポカーンとあけて眺めているだけなのに色んな物にみえておもしろい。

小さい頃は天井の木目が顔にみえて怖かった。

歳の離れた姉が家を出て二人で使っていた部屋を一人で使うようになった9歳の頃

やけに広く感じる部屋に一人で寝転がって天井を見ていると木目にピエロが浮かび上がってきた

怖くないもん  と言い聞かせ耐えたが10分ももたなかった

半泣きでそそくさと祖父の部屋に行き、一緒に寝たのを覚えている

祖父は理由を聞かずに「一人は寂しいもんねぇ」と言いながら一緒に寝てくれた。でもきっと泣いてる事には気づいてたはずだ。




「あ…お墓参り行ってない…」



多忙に次ぐ多忙でお盆休みなんてなかった。

母からの「今年はお墓参りどうするの?」という連絡にも返事していなかった

お盆休みなんてなかった。気がつけば終わっていた。


「おじいちゃんも一人じゃ寂しいよね」

時期は過ぎちゃったけど今週末の休みに行こう。

毎年家族で行ってたけど今年は一人で。


「一人で眠れるし、一人でお墓参りも来たよ。すごいでしょ?」

墓前でそう伝えると決めて私はそっと照明のスイッチを切った。



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