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点と点を繋ぐと「縁」になる…Ep4 (南無大師遍照金剛)

ある始点は
初めて訪れた町の
バスセンター

旅からの帰路
乗車するバスまでには
まだ時間があったので
何気なく
町並みを
歩いてみる

でも
ここからのすべては
きっと必然
すべて整えられていた
導かれるように
歩を進めていくと…

少しずつ坂道に
それは
参道(産道)のよう?
お寺?神社??

赤いノボリがはためく道を
上っていくと

目の前に現れたのは
大きな大きな
仏像…
そして…

「南無大師遍照金剛」
…の文字

初めて見る漢字の連なりだったが
声に出してみる
「なむたいしへんじょうこんごう」

エッ?!

これは
おなかが痛い時に
唱える
おばあちゃんのおまじないだ…

おばあちゃんのおまじないには
続きがある
私が覚えているおまじないは
小さい頃のものなので
すべてひらがなの「音」だ

もしかして…と思い
そのお寺の社務所?に
いらした方に
私が知っているおまじないを
囁いてみた

「おん あぼきゃ べいろしゃのう
 まかぼだら まにはんどま
 じんばら はらばりたや うん」

すると
「それは光明真言ですね」と
言われた

その音は「梵字」という文字で
表記するとのこと

小さい頃から
ずっと唱えてきた
それは
三回唱える…
痛い時
苦しい時
寂しい時
不安な時
辛い時
守って欲しい時

そして
誰かに
感謝を伝えたい時

おばあちゃんは
ずっと昔に亡くなったので
このおまじないの意味を
聞けなかった
他の家族は誰も
知らなかった
私だけが
意味もわからず
この「言葉」に
守られてきた

こんなに
時間(とき)が経って
やっと
点と点が結ばれた

帰りに
小さいお経本をいただいた
今まで「音」だけだったおまじないが
文字となって
そこにあった

私は
愛おしくて
愛しくて
ぎゅっと胸に抱きしめた

感謝を伝える相手が
やっとわかった終点
そして
これを「縁」と言わずして
喩えようがない