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かすじる (粕汁)・関西の家庭料理

 「かすじる」とは、酒粕を入れた汁。おもに関西で食べられている汁ものです。具材は、鮭・根菜類・コンニャクなど。家庭の数だけ、粕汁があります。
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ふゆの風物詩

 昭和のころ。どこのお店も年末年始は、1週間ぐらい「お正月休み」でした。食いだおれのまち・大阪も三が日ぐらいは、しんと静まりかえっていました。故郷に帰るひとが多かったのです。

はんたいに、田舎もなく旅行もしない家庭では、年の瀬に食材を「買いだめ」するのが習慣でした。いまなら、レトルト食品や冷凍食品、コンビニもあるせれど。

あの頃のおもち カビとの戦い


おせち料理の食材・根菜類・おもち・調味料など、たくさん買いました。お肉は鮮度が下がるので少量だけ。どちらかというと、魚が多かったのです。保存がきく塩気のある魚。


そう、それでお歳暮に多かったのが「荒巻鮭あらまきじゃけ」です。おおきな鮭を、一匹まるごと塩漬けにしたものです。市場に売っていましたが、重たい。お歳暮で届くと祖母は、小おどりしてました。
保存がきく、たんぱく源。とても助かりました。


酒粕の汁もの

日本酒の副産物・かす。「酒かす」といわれています。さいきんでは、こうじ(糀)でつくる「甘酒」が有名ですね。「酒」の字がついているので、ついかまえてしまいますが、とても健康的で栄養豊富。

酒粕(さけかす)


そんな「酒かす」は、市場によく売っていました。白くて、板状やお豆腐をくずしたようなモロモロしたかたち。祖母が袋入りの酒かすを、しょっちゅう買っていました。


お正月もすぎて、おもちも食べつくし、野菜も鍋に入ったりして、ほとんどなくなりました。
荒巻鮭も、焼いて食べてのくりかえし。身がすくなくなり頭でっかちに。

さいごに、骨(あら)や、はしっこの身を、おつゆにいれて食べるのです。ちょっとあぶれば、鮭のなまぐささは、なくなります。

焼いた鮭が安ければ
荒巻鮭を見なくなった

酒かすをダシにといてアルコール分をとばせば、だれでも食べれます。雪のような、つぶつぶの汁。
鮭のピンクいろがキレイで、目にもおいしい。
残り野菜、なんでも鍋にいれます。
なんでも合うフシギな、かす汁。
コンニャクやうすあげも。豚肉の細切れも。

野菜を、のこさずに、しまつ (たべきる)。
祖母は、冬になったら大鍋につくる。庶民の汁おかず。


具だくさんの味噌汁のように。


家庭でそれぞれ具もちがう。
ふしぎな、かす汁。


「一晩おいたら、うまいんや」
煮つまったシチューのような、そのすがた。あれ、あたらしい具が入ってる。祖母が、また残り野菜を追加した。



むかしのひとは、しまつがうまい。


ふゆの おわんに ふりつもる。


毎週火曜日は
「フォト・イラスト」の日


いつも こころに うるおいを
 水分補給も わすれずに


さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。

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