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床屋と図書館

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まだ子供のことのお話です。
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記事一覧

床屋と図書館 その8

 真文は月に一度、髪を切りに行きます。  真文がそう決めているわけでなく、真文のお母さん…

床屋と図書館 その7

 櫛は、真文の太ももの間あたりのケープの上に落ちました。  「ごめんね」とおじさんが櫛を…

床屋と図書館 その6

  4月になり、真文は5年生になりました。  5年生になって憂鬱なことがひとつあります。…

床屋と図書館 その5

 真文は、だいたい月に1度は髪を切りに行きます。  次にバーバー金子を訪れたのは春休みに…

床屋と図書館 その4

   ドアを開けると小さな鈴の音がしました。  3つ並んだカット台の一番奥に座ったお爺さ…

床屋と図書館 その3 

 色気づく。  そんな言葉、真文は生まれて初めて耳にしました。  正確な意味はわかりませ…

床屋と図書館 その2 

 横山理髪店のおじさんが死んでしまい、真文はバーバー金子ヘ通うことになりました。バーバー金子は真文の通っている小学校に近く、少年野球チームに属していない男子の多くは、ここで髪を切っています。  これを機会に髪を伸ばしたい。  真文は密かにそう考えていました。  真文は、今、スポーツ刈りです。  小学生になるんだからすっきりしておいた方が良いわ、というお母さんの意見に従ってこの4年間を過ごしてきました。  幼稚園のころは坊ちゃん刈りでした。  子供の髪型というものは、この二

床屋と図書館 その1

 横山理髪店のおじさんが死にました。  冬休みが終わってすぐの日曜日の朝、少年野球チーム…