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善も悪もない、適切な場所で機能するか否か〜美しき免疫の力


免疫学の歩みと、そこに関わった科学者たちの軌跡を紹介しているポピュラーサイエンスの一冊。

どんな内容なのか、訳者あとがきから一部引用します。

免疫システムは体内に侵入した異物を見つけて攻撃するシステムである、と多くの人が考えていた。でも、異物であっても食物や腸内細菌は攻撃されない。いったいどうやって区別しているのか。高齢になると免疫機能が低下すると言われているが、それはなぜか。体を守るはずの免疫システムが体を攻撃することで生じる自己免疫疾患が増えている。なぜそんなことが起きるのか。がん免疫療法はどのような仕組みでがんを治すのか。そのような謎が解き明かされていくだけでも、十分にわくわくできる。

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漫画『はたらく細胞』(免疫細胞を擬人化した)を読んだことのある人には、より臨場感をもって楽しく、そして、興奮して読めるかもしれません。(もちろん、専門用語も頻出するので相応の「ぐぬぬ」感はありますが)

例の感染症騒ぎで無自覚に除菌、殺菌に執心している人や、単純にワクチンができればもう安心と思っているような人は『あなたの体は9割が細菌』とあわせて読むといいと思います。

そんな単純なものではないし、もっと自分自身の身体(免疫系)を信頼し、大事にしたほうがいい。

すべての科学革命に言えることだが、最も重要なのは、新しい知識を得ることではない。私たちはみな、子や孫の世代から評価を下されることになるが、そのときに物を言うのは何を知っているかではなく、その知識を使って何をしたかである。(p303より引用)

善も悪もない、適切な場所で機能するか否か。

その結果を成功か失敗(正邪、善悪)と観測者がレッテル貼りをしているにすぎない。

そもそも、深淵な人体の(宇宙の)神秘を完全に解き明かすことなんてできはしないのだから。

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