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タピ子 Queen of the Sweets

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スイーツ妖精たちが闘う覇道のストーリー!!
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#異能力バトル

目次:タピ子 Queen of the Sweets

第一話01 第二話 「バイラル・ライバル」01 02 03 04 05 第三話 「バトル・オブ・ジユー・ガ・オーカ」01 02 03 04 05 06 第四話 「フォー・サイデッド・ストラグル」 以降も鋭意更新予定!

「バトル・オブ・ジユー・ガ・オーカ #02」 タピ子 Queen of the Sweets

【目次】【前回】 「あっれ。確かになーんか変っすねぇ……」  手で庇(ひさし)をつくり、きょろきょろと辺りを見渡すホットクのホユン。  ここはジユー・ガ・オーカの大通り。巡礼のスイーツ妖精が行き交い、出店や売り子も賑やかに、甘い香りが漂い続ける楽しげでふわふわとした大通り──であるはずなのだが……。  タピ子とホユン、二人が歩む今の大通りにはそのような楽しげな様子は欠片もない。数メートル先が見えないほどの深くて濃い霧。スイーツ妖精たちの気配もなく、ただひたすら不気味な

「バトル・オブ・ジユー・ガ・オーカ #01」 タピ子 Queen of the Sweets

【目次】【前回】  薄暗い部屋。煤けた壁。埃の積もった床と調度。仄かな光が明滅し、流れ続けるザァという砂嵐のような音。じゃらじゃらと擦れる鎖の音。そして、少女の呻き声── 「んんー、んー、んんー!」  部屋の中央。暗がりの中には少女が一人。猿轡をされ、椅子に縛りつけられ、声にもならぬ声をあげ、そして、もがき続けている。 「んんん……!」  その少女は何かを訴えるかのように激しく身をよじる。その全身には幾重にも鎖が巻きつけられ、露出した二の腕には赤く痛々しい内出血の跡

「バイラル・ライバル #03」 タピ子 Queen of the Sweets

【目次】【前回】  あばら屋の入り口に静かに立つ。タピ子はそこから長年暮らした我が家を──誰もいない我が家の中を、ただ独り黙って眺めていた。そのあばら屋は切り立った崖の麓にある。だからそこは日中でも薄暗い。入り口から僅かに入り込む日の光はちょうどタピ子が遮る形となり、質素な調度の上に、人の形をした影を落としている。 「ふふっ」タピ子は静かに笑った。特に思い入れなどないはずだった。しかし、離れるとなると少し寂しい。 「よし、行くか……」  タピ子は風来坊然とした粗末なボ

「バイラル・ライバル #02」 タピ子 Queen of the Sweets

【目次】【前回】  連なる奇岩の峰々。水墨画めいて幽玄なる風景。ぽつんと、その片隅に一軒のあばら屋があった。それは吹けば飛ぶような粗末なものだ。しかしその中の調度は丁寧に整えられ、清潔である。その様子からはそこに住む住人の几帳面な性格を見てとることができる。  そのあばら屋の中、旅支度を整える少女が一人。タピ子。タピ子は旅支度の手を止めると、ふと、己の手のひらを見つめた。そしてその手を握りしめ、開き、また握りしめる。「……」タピ子は無言のまま握りしめた己の拳を見つめた。そ

「バイラル・ライバル #01」 タピ子 Queen of the Sweets

【目次】【前回】  たうたうと漂う朝もや。その中に奇岩の峰々がうっすらと浮かんでいる。まるで水墨画のような景色の中、静かに、ゆっくりと朝焼けの朱が差していく。それはまるで、染み入るかのように。  タピ子はカルスト奇岩の上で独りたたずみ、その光景を眺めていた。タピ子は思い浮かべていた。前日の死闘。かき子がその末期に叫んだ言葉を。 『ふっふっ……調子に乗っていられるのも今のうちだ……お前の首を狙い、スイーティア全土から強豪たちが集ってくる……お前の命運が尽きるのも……ぐっ、

タピ子 Queen of the Sweets

「グワッグワッ」  静寂の中、鳴り響くのは川鵜の鳴き声のみ。  幽玄な水墨画めいた光景。  まるで中国・桂林地方を思わせるその風景。ここはスイーティアと呼ばれる世界、その片隅にある辺境地帯であった。  スイーティア──。  それは可愛らしいスイーツ妖精たちが暮らす不思議な世界。スイーツを愛する人間たちの想いが生み出した彼方の世界。平和で、甘く、ふわっふわでとろっとろな、明るく楽しい世界  ……のはずであった。 「死ねやぁ! タピ子ぉ!」  叫びが静寂を切り裂