文科省への署名提出に際しての記者会見に寄せて~キャリアコンサルタント・境野今日子さんより~

先日、2023年4月25日、文部科学省に、「全国の高等教育機関(専門学校、短期大学、四年制大学等)のキャリア指導において、男女二元論・性差別などの問題のある指導が行われないよう、通達してほしい」という要望を中心とし、 #就活セクシズム オンライン署名の提出を行いました。

その提出に際し、記者会見を行った際、文章代読での会見出席者の一人として、キャリアコンサルタントの境野今日子さんから寄せて頂いたコメントをこちらにも掲載させて頂きます。

差別に関して発信をする女性へ向けられる蔑視や攻撃、同業のキャリアコンサルタントの方々へ向けた呼びかけなど、大変意義深いコメント。
本当にありがとうございました。

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はじめまして、こんにちは。
キャリアコンサルタントの境野今日子(さかいのきょうこ)と申します。
私は今まで、就活生、社会人、障がいがある方のキャリア支援をして参りました。本日は、就活セクシズムの問題について、現場で感じたことを訴えさせていただきます。
みなさんは、「なぜ、私はパンプスを履かなくてはいけないのですか?」と就活生に聞かれたら、なんと答えますか。その答えは「あなたは女性だから」「そういうものだから」に、なるのでしょうか。私は、人の"キャリア"という人生の大事な部分を支援する者として、そのようなことは言えません。それは、相手のアイデンティティの否定に繋がり、「この日本社会ではやっていけない」と、就職の入り口の段階で思わせてしまうことになるからです。
男だから、女だから、というジェンダー規範や、今までがそうだったからという前例の踏襲に、「これっておかしい」と、気付ける人材こそ、これからの産業に必要な人材だと思います。しかし、現実は、そういった方々が苦しい思いを強いられ、自分らしく就活できていません。本当に、もったいないことです。
就活では、服装だけでなく、座り方などの言動についても、細かく男らしさや女らしさが求められます。これは、その型にハマらない、ハマりたくない当事者を苦しめるのはもちろん、日本社会における性的役割分担の強化にも繋がります。本日、私は、顔を出して訴えるかどうか悩みました。顔を出したことで、ブスだのなんだのと誹謗中傷を受けてきた過去から、今回はそれで疲弊したくないと思い、顔出しをやめました。女性が表に出ると、外見をジャッジされてしまう。そういった社会を作る一因に、女性ばかりに美しさを求める就活もあると思っています。女性は、至る所で男性にとっての「華役」としての立ち振る舞いを期待されますが、もうウンザリなんです。
最後に、同業のキャリアコンサルタントを始めとするキャリア支援者の方々に、モノ申させてください。今まで、同業者の指導や執筆等を目にしてきましたが、そういったジェンダー規範や差別について、あまりにも不勉強なものがありました。本当にガッカリさせられます。
正面からこの仕事と向き合っている人であれば、支援させていただく中で、困っている方々の声を聞いているはずです。その声を無視しないでください。声を上げる私のような人間を排除しようとするのではなく、一緒に声をあげてほしいです。この活動を拡散いただくだけでも構いません。
誰もが自分らしく就職活動を行い、それが当たり前に受け入れられる社会にするために、よろしくお願いいたします。

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