文科省への署名提出に際しての記者会見に寄せて~獨協大学非常勤講師・片山亜紀さんより~

先日、2023年4月25日、文部科学省に、「全国の高等教育機関(専門学校、短期大学、四年制大学等)のキャリア指導において、男女二元論・性差別などの問題のある指導が行われないよう、通達してほしい」という要望を中心とし、 #就活セクシズム オンライン署名の提出を行いました。

その提出に際し、記者会見を行った際、文章代読での会見出席者の一人として、獨協大学非常勤講師の片山亜紀さんから寄せて頂いたコメントをこちらにも掲載させて頂きます。

就活の服装・マナー規範に潜む性差別が教育機関によるキャリア教育の中でも見過ごされてしまっている実態を、教育現場からの声として発信して頂きました。
本当にありがとうございました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

複数の大学において、私は専任講師・非常勤講師として、大学生の就職活動を20年近く見てきました。就職活動にあたり、大学生たちは一方で自主性・自発性を期待されながら、もう一方で画一的な服装やマナーを求められます。各大学は人権を保障した学びの場であるよう努力していますが、就職活動に際しては企業での内定を得てほしいとの思いから、画一性に準じるように学生に促してしまうことがあります。私の見聞きした例でも、大学のキャリア講座などの場で、「スカートは所作を綺麗に見せるのにベストな格好」「メイクをしないと企業に誠実ではないと判断される」など、とくに女子学生に対してパンツスーツでの就活を認めない、ノーメイクで清潔にしているという選択肢は認めないなどの指導をすることがあります。企業側は必ずしも画一性を求めていないと聞きますが、現状では、男子学生にはこれ、女子学生にはこれ、という約束事があることになっており、大学もその風潮に追随することがあります。これはトランスジェンダーの学生、ノンバイナリーの学生にとって苦しいだけでなく、シスジェンダーの男子学生、女子学生にとっても納得しにくいものです。

就職問題懇談会のいわゆる「申し合わせ」は、大学に対して「正常な学校教育と学生の学修環境が確保されるよう」「全学一丸となった」対応を求めています。就職活動における服装やマナーは、大学においては教員、キャリアセンター職員、マナー講座の外部講師など、さまざまな立場の人が関わるものなので、なかなか各大学の内部だけでは「一丸となる」ことが難しい面があります。だからこそ、一人ひとりの個性の尊重される就職活動ができるよう、ぜひ「申し合わせ」に文言を盛り込んで通達をしていただきたいと考えています。

この記事が参加している募集

就活体験記

多様性を考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?