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フリー編集者・元塚B

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塚Bの中央公論新社時代、そしてフリー編集者の元塚Bの記事です。
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記事一覧

新刊を待ちわびる小学生――鬼滅からフルバ、わた婚へ――

こんにちは。 フリー編集の元塚Bです。 先日、雨の降りしきる休日に、間もなく小学5年生になる娘と本屋へ行きました。 娘の目当ては顎木(あぎとぎ)あくみさんによる「わたしの幸せな結婚」シリーズの最新刊。 何か月も前から待ちわびていた新刊を手にする娘の姿を眺めながら、私は子どもの成長の速さを実感しました。 ディズニーアニメから『鬼滅の刃』へ 娘に絵本の読み聞かせをしていたのは、つい先日のことのようです。 あの頃の娘はディズニーアニメが大好きで、自分もプリンセスのドレスをあれ

絵本コンクールの講評会に参加してきました。

こんにちは、元塚Bです。 私は現在、フリーランスの編集者として糊口をしのぎつつ、イラストのお仕事もさせていただいております。 そしてその傍ら、「絵本コンクール」にも挑戦していたことを以前書きましたが、この度友人と共同制作した作品が入選し、その講評会に参加する機会をいただきました。 ピアノを学べる絵本 今回私が応募したのは「ドドとピアノの音あそび」という作品で、「第12回絵本出版賞」の「赤ちゃん・学べる絵本部門」で「煌めきフューチャー賞」をいただきました。 この作品は、ピア

ぼくは、松本人志さんの問題が気になって仕方ない奴です。

こんにちは、フリー編集の元塚Bです。 昨年(2023年)末、松本人志さんの「性加害疑惑」が週刊文春で報じられ、今なお大きな話題となっております。 私も一報に触れて以来、ことの進展が気になって仕方なく、雑誌・テレビ・ネットと各種媒体で情報を仕入れては考察する、という生産性のないことを繰り返しています。 何しろ松本さんは、テレビはもちろんのこと、出版業界においても重要な存在なのです。 「週刊文春」完売 そもそも、今回の報道のきっかけは、「週刊文春」。 まさに、出版界から放たれ

編集者のハラスメント問題

こんにちは、フリー編集の元塚Bです。 12月は「職場のハラスメント撲滅月間」(厚労省)ということで、最近感じたハラスメントに関する話をしたいと思います。 若いライターのWさんからこんな相談をされました。 なんでも、X出版社の編集者Y氏が校了の間際になって、Wさんにとってかなり不利な条件を出してきた。 出版社の常識として、こんなことはありうるのだろうか……と。 私はX社の人間ではないので、もちろんX社や編集Y氏の事情はわかりません。 ですが、「あくまでも私の経験と推測ですが」

43歳、脱サラ編集者。はじめて出版以外の仕事をしてみた。

こんにちは、フリー編集の元塚Bです。 私は1年ほど前に16年間務めた出版社を退社し、現在はフリーランスの編集者として糊口をしのぎつつ、イラストの仕事をすべく奮闘(迷走)しています。 そんな私が、この度43歳にして、初めて出版業界以外のお仕事をする機会がありました。 (関係者に配慮して、一部脚色しています) 新規instagramのアイコンを作る! ひとつは、これまで縁もゆかりも、ぶっちゃけ全く興味もないDIY業界のお仕事。 私がとあるSNSに上げていたイラストを見て、 「

脱サラ編集者が、絵本コンクールに挑戦してみた

こんにちは、元塚Bです。 私は現在、フリーランスの編集者として糊口をしのぎつつ、イラスト方面でお仕事をすべく模索しています。 そんな模索の一環として、実は数年前より、数多ある「絵本コンクール」に応募していました。 今回は、私の絵本コンクールチャレンジの歴史と結果をお話したいと思います。 最優秀賞とのレベルの差を痛感 出版社をはじめ、一般企業まで、日本中でさまざまな絵本コンクールが開催されています。 いずれも大変な人気で、その応募作は数百から数千にのぼることも! かなりの狭

消えた退職金問題

こんにちは。フリー編集の元塚Bです。 16年勤めた出版社を退職してフリーランスとなり、あっという間に1年が経過しました。 今回は、そんな私が抱える金銭問題を赤裸々に書きたく思います。 何とかなるさ 会社を辞める時、次の仕事は決まっていませんでした。 フリーになっても、編集の仕事はなんとか続けられるだろう。 そうして食いつなぎながら、元々やりたかった絵の道に再チャレンジしよう。 そんな、漠然とした志(?)だけがありました。 収入が不安定になることは、もちろん覚悟のうえ。 し

バツイチで子持ちなのに、40代にもなって会社を辞めて絵ばかり描いています。

こんにちは、フリー編集の元塚Bです。 今回は私が編集ではなく、挿画を担当した本について書きたいと思います。 私が挿画を描かせていただいたのは、こちら。 有村俊秀/日引聡 著『入門 環境経済学 新版 脱炭素時代の課題と最適解』 元々、中公新書でロングセラーとなっていたのですが、この度新版としてリニューアル。 それに伴い、イラストも旧版から刷新し、この度私が描かせていただいたのでした。 イラストの一部をご紹介すると、こんな感じです。 実は会社を辞めてフリーランスになるとき、

本の降る街

こんにちは、フリー編集の元塚Bです。 今回は私が出版社に入社した若い頃に住んでいた街の思い出を、中年らしい感傷にたっぷりと浸りながら綴りたいと思います。 家の隣に古本屋 私は大学卒業後に出版社に入社。 間もなく、学生時代から付き合っていた方と結婚したので、ビンボーな新社会人&新婚生活が始まりました。 家は古くて安いアパート。 しかし、すぐ隣に古本屋があることが気に入っていました。 選書にこだわりがあって、古いファッション雑誌や洋書など、見ているだけでも楽しい空間でした。

夜逃げ、パニック障害、仕事ゼロ……どん底の作家が売れっ子として復活するまで

こんにちは、フリー編集の元塚Bです。 現在、累計120万部突破のハード・バイオレンスシリーズの最新刊『もぐら新章 昴星(ぼうせい)』が発売中の矢月秀作(やづき・しゅうさく)氏。 今回は、そんな矢月氏が売れっ子作家となるまでの波乱の日々をご紹介します。 (前回はこちら) 編集者時代から作家デビューまで 父親の事業の失敗から、東京のボロアパートへと逃げ込んだ矢月一家。 何の保証もないどん底の暮らしのなか、家族4人のうち最も若く、まだ10代だった矢月氏の妹は書店でアルバイトを始

多額の借金苦から夜逃げした父子が、小説家として成り上がる!

こんにちは、フリー編集者の元塚Bです。 以前このnoteでもご紹介した作家の矢月秀作氏。 その半生は、父親の事業失敗にともなう多額の借金、夜逃げ、ヤクザに追われる日々……と実に波乱万丈でした。 今回はそんな矢月氏に、作家を志すようになるまでの、若き日々を語ってもらいました。 元公安の父 作家・矢月秀作は1964年、兵庫に生まれます。 当時、矢月一家は警察の官舎で暮らしていました。 父は公安のデカとして危険な任務に就いており、幼い矢月氏は父が家にいた記憶はほとんどなかったと

42歳バツイチ編集者が読書マッチングサービスを使ってみた

こんにちは、フリー編集者の元塚Bです。 みなさんは、chapters(チャプターズ)書店をご存じでしょうか? これは、本、そして本好きな人とのマッチングを提供してくれるオンライン書店。 今回は、実際に私がひと月だけ使ってみた体験談をお伝えします。 本とのマッチング♡ 簡単なプロフィールを入力してchaptersに登録すると、まずは本を選びます。 タイトルや著者名が伏せられた「東西南北」という4つの選択肢があり、あらすじやオススメポイントからフィーリングで1つを選ぶのです。

オンライン読書会に参加してみた。

こんにちは、フリー編集者の元塚Bです。 厳しいニュースばかりが聞かれる出版業界。 そんな状況下、私たちにとってもっとも大切なお客様である「読者」の皆さんは、いったいどんな本を、どんな思いで楽しんでいるのでしょうか? 今回は、そんな読者の皆様と触れ合うべく、オンライン読書会に参加してみました。 zoomで集う、様々な面々私が参加したのは、ミゾノクチ読書会。 ネットで「読書会」と検索し、たまたま日時の都合がよかったので申し込みました。 参加は無料。 9月某日、日曜の昼すぎ。Zo

紙媒体を愛する気持ちは変わらない。若き編集者による、これからのシュッパン。

こんにちは、元塚Bです。 気づけば私も40代。 しかし、まるで日本の超高齢社会を象徴するかのように、周囲は、編集者も読者も、私より年上ばかり。 「若い人の意見が聞きたい!」 そんな渇望感から、フリーの編集者として活躍している、あかしゆかさんにお話を伺いました。 出版社に憧れて あかしさんは1992年生まれ、現在29歳の(もはや業界内では奇特な)若き編集者です。 出版業界との最初の接点は、大学時代。 たまたま通った本屋の貼り紙を見て、アルバイトを始めたことが入口となります。