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【絵本】「へいわってすてきだね」 詩・安里有生 絵・長谷川義史

「みんなのこころから、

へいわがうまれるんだね。」



「へいわってすてきだね」 詩・安里有生 絵・長谷川義史



沖縄県与那国島に住む小学1年生、安里有生(あさとゆうき)くん6歳が書いた詩「へいわってすてきだね」。


この詩に絵本作家の長谷川義史さんが絵を描きました。


この詩は、沖縄県平和祈念資料館が募った「平和のメッセージ」によせた詩だということです。


長谷川さんはこの詩、「平和がずっとつづいてほしい」という願いを受け、絵を描きました。


この絵本のあとがきで、長谷川さんはこう語っています。


いかなる理由があるにせよ、いえ、理由なんてないのです。

人々を殺し、傷つけることは、まちがいです。

あの子たち、この有生くんたちを、戦争という名の、残酷で恐ろしい殺し合いに、巻きこんではいけない。

そのことを、そのごく当たり前のことを、光のなかに生まれてきた一人の少年が、ぼくたちに教えてくれているのです。


「へいわってなにかな」


この問いかけから、絵本ははじまります。


平和って何でしょうか?


平和はあたりまえだと思っていました。


平和な時代の日本に生まれ、普通に平和な日常で暮らしてきたので、とくに「平和」のことを考えてはいませんでした。


ところが


戦場ジャーナリストの山本美香さんの本を読んだときに、戦争を身近で体感しているように身体が震えました。


もし実際の戦場にいたらと思うと、身の毛がよだつ思いでした。


この本を読んだ感想の最後に、自分の思いをこう綴りました。


戦争は人を悪魔に変えてしまいます。戦争はどんなことがあってもあってはなりません。しかし、未だに戦争はなくなりません。


有生くんは冒頭の問いかけのあと、日常の平和を自分が見たとおりそのまま言葉にしています。


ねこがわらう。
おなかがいっぱい。
やぎがのんびりあるいてる。
ちょうめいそうがたくさんはえ、
よなぐにうまが、ヒヒーンとなく。
へいわっていいね。


そのあたりまえの日常が、戦争によって奪われるのです。


今もウクライナで、イスラエルで、人の命が奪われています。


「戦争」という言葉は違うのかもしれない。
これは人殺しなんだと。


こんなことは、現実世界であってはならないのです。


有生君は言います。


みんなのこころから、へいわがうまれるんだね。


その言葉に魂が入った長谷川義史さんの筆によって、力強く叩き込むように絵が描かれています。


それは


怖れであり、怒りであり、哀しみであり、祈りでありました。


せんそうは、おそろしい。
「ドドーン、ドカーン。」
ばくだんがおちてくる こわいおと。

おなかがすいて、くるしむこども。
かぞくが しんでしまって なくひとたち


一枚、一枚、描かれた絵をじっと見てください。


平和のありがたさが身に沁みてきます。


へいわな せかい
へいわって すてきだね。



【出典】

「へいわってすてきだね」 詩・安里有生 絵・長谷川義史 ブロンズ新社


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