見出し画像

『薔薇の名前』に寄せて(読書メモ)②

※注意※ネタバレ含みます。

ウンベルト・エーコ著『薔薇の名前』をようやく読破しましたーーー!!!

いやほんと自分で自分を褒めるよ(笑)

本題に入る前に前回の記事はこちら👇

感想は言葉にするのがなかなか難しいのが本音です。どこから触れていいのか非常に悩みます。正直、読んで本当に分かってるのか?と問われると「え・・・えっと~」って言葉が濁りまくる事必死(笑)

すみません、この読書メモはかなりフワフワした感想になると思いますが、それでも不思議と面白かったと言えます。おそらく、この物語の中に様々な意図が幾重にも織り込まれており、いったいどういう事だろう、知りたいなという気持ちがものすごく湧いてくるからです。特に、物語の鍵になる「文書館」についてのエピソードは事件の真相とは明らかに別の意図があるのが分かり、構造そのものに意味があるように思えました。

ところで、作中において間接的に歴史上の実在の人物が登場します。その中で気になったのが、主人公のウィリアム修道僧が師と仰ぐ「ロジャー・ベーコン」です。

ベーコンってそんな・・・お腹空くやん!!美味しそうやん!!って思ったそこのあなた!私と思考が同類です(笑)

ロジャー・ベーコンとは一体何者なのか、作中の記述の一部を以下に抜粋しました👇

「ただしロジャー・ベーコン、この方をわたしは師とも仰いでいるのだが、この巨匠の説かれた言葉によれば、神の意図はやがて聖なる自然の魔術すなわち機械の科学となって実現されてゆくであろうという。また、人はやがて自然の力を用いて航海のための装置を造りあげ、船舶は〈人ノ力ノ支配二ヨッテノミ〉進むことができるようになるであろう、帆や櫂で進むよりもはるかに迅速に航行できるようになり、さらには地上を走る車も別種のものにな
るであろうという。〈動物二牽カレナクトモ猛烈ナ勢イデ動ク車、サラニハ空飛ブ機械。人ハソノ機械ノ真中ニスワリ、何ラカノ装置ヲマワスト、巧ミニ作ラレタ翼ガハバタイテ、鳥ミタイニ空ヲ飛ブデアロウ〉そしてごく小さな装置で非常に重いものを持ちあげるようになり、海底を進む乗物さえ造り
だされるときが来るであろう」引用元:ウンベルト・エーコ著・河島英昭訳(1990)『薔薇の名前 上』㈱東京創元社 PP.32.

もう、いきなり中世の話じゃないですよ(笑)いや、そもそも中世ってなんなの?って話になるのですが、専門家の方であれば理解されているでしょう。正に『薔薇の名前』はその事について物語ってもいるんですよね。

それで、ロジャー・ベーコンについてwikiでサッと読んだのですが、この方なかなかぶっ飛んでますよ。

ロジャー・ベーコン(Roger Bacon、1214年 - 1294年)は、「驚嘆的博士」(Doctor Mirabilis)とよばれた13世紀イギリスの哲学者。カトリック司祭で、当時としては珍しく理論だけでなく経験知や実験観察を重視したので近代科学の先駆者といわれる。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

「驚嘆的博士」っていい表現ですね。この方の話を当時に聞いていたら、きっとびっくりする私がいたでしょう。ベーコンはアラビア科学の著作を参考にしていたようで、ヨーロッパ世界の学問に疑問を持っていました。そもそも古代哲学者のアリストテレスの翻訳も僅かで、学者たちもギリシア語を学ぶという発想もなかったとあります。

また、ベーコンは聖書の研究においても原典を読む必要があると主張していたそうで当時としては先進的考え方だったんだろうと思いました。『薔薇の名前』においても「テクスト」そのものについて全編を通してテーマだったような気がします。著者エーコが記号論学者である事からも頷けますね。

しかし・・・原典読めって辛いですね・・・語学さっぱりなので(笑)

ニュートンより400年も前に光のスペクトルを観察していたという話ですから実践的な人だったんだなと思いました。でもアラブ思想を広めたとして10年間幽閉されるのだから、研究も命がけですよね。学べば学ぶほど時に今までの考えが揺らぐ事は避けられないですが、それが異端に繋がると非難されれば私なら心が折れます。

でもベーコンを始め、コペルニクスもメンデルも司祭でしたよね。確かヴァチカンには天文台もああります。起源は16世紀後半になり世界でも古い天文台の一つだそうです。

こうして見ると『薔薇の名前』における世界観の一端を理解する助けになるかなと思いました。

今回は、ロジャー・ベーコンについて少し触れましたが、薔薇の名前では様々な人物と書物が登場します。知らない事だらけでこれらを少しでも調べていくだけでも結構大変な気がします(;^_^A

こんな感じで良ければ、今後ともお付き合い頂ければ幸いです。最後までお付き合いありがとうございました。

ではまた次回バイバイ(^.^)/~~~

この記事が参加している募集

推薦図書

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?