ねてもさめてもアートの話〈日刊〉

イタリア絵画の研究をしたり、現代アートギャラリーで働いたりしていた人です。アートにまつ…

ねてもさめてもアートの話〈日刊〉

イタリア絵画の研究をしたり、現代アートギャラリーで働いたりしていた人です。アートにまつわるあれこれを発信中。

記事一覧

アート愛が爆発のOKETA COLLECTION!骨董からコンテンポラリーまで

表参道のスパイラルヒルズで、OKETA COLLECTION 2024「Golden Memories」を観てきました。 現代アートコレクターのプライベートコレクションOKETA COLLECTIONは、桶田俊⼆…

日本初のブランクーシ展!本質に迫る彫刻は、まるくてかわいい

東京のアーティゾン美術館で開催している展覧会『ブランクーシ 本質を象る』を訪問しました。 特設サイトによると「ブランクーシの創作活動の全体を美術館で紹介する、日…

【アートの見方】作品のポーズを真似してみよう(1)

そんなとき試してみてほしいのが、「作品の登場人物のポーズを真似してみること」。 たとえば、東京国立近代美術館にあるこちらの彫刻、高村光太郎《手》。 どうでしょう…

バンクシーの新作がロンドンに登場!環境破壊の訴えか

バンクシーの新作がロンドン北部で見つかり話題になっています。 発見されたのは3月17日。翌日バンクシーの公式サイトに写真が掲載され、正式な「バンクシー作品」だと判…

アートギャラリーは無料で入れる?挨拶はするべき?

みなさんはギャラリーを訪れたことがありますか? 美術館に比べて、「ちょっと敷居が高いな」と感じている方が多いのではないでしょうか。 でもギャラリーは誰でも無料で…

【美術館の楽しみ方】 常設展を見ないなんて損してる

……と思っていませんか? 「印象派展」「ゴッホ展」「ピカソ展」など、大きい展覧会には人が集まります。休日に上野や六本木の展覧会を訪れると、行列ができていてなかな…

蔵前の文房具店「カキモリ」でオーダーノートをつくってみた

大人のお洒落タウンとして人気が高まっている下町・蔵前。レトロモダンな工房や喫茶店が並び、ハイセンスなこだわりの一品を求める人々が集っています。 自宅のインテリア…

美術館のチケット、チラシ、作品リストの保管をどうするか問題

みなさん、展覧会のチケットや作品リストはどうしてますか? 最近はデジタル化が進んでいるものの、やはり多くの人が紙の作品リストとチラシを手に取りますよね。 たまに…

「九段ハウス」で初のアートフェア開催!普段は一般非公開の登録有形文化財

モナリザ、ゴッホのひまわり、ミロのヴィーナス…… 「有名な美術作品は人類共有の財産で、誰でも見れる!」と思いがちですが、実は一般公開されていないアートもたくさん…

YouTubeでアートを学ぶ!おすすめ美術系チャンネル3選

「アートに興味はあるけど、難しそう……」 そんな人にオススメしたいのが、YouTube。エンタメ的に観られるチャンネルが増えているので、楽しみながらアートに詳しくなれ…

静かに鑑賞が鉄則?美術館でしゃべってもいいのか問題

美術館は静かなイメージがありませんか? シーンとしていて、靴音にさえも気を使う。ましてや私語なんてもってのほか。友人に話しかけなければならない時は、ひそひそ小声…

マティスの礼拝堂が六本木にやってきた|マティス 自由なフォルム

マティスといえば、昨年(2023年)上野の東京都美術館で、大規模回顧展が開催されたばかり。 国立新美術館で開催される「マティス 自由なフォルム」では、マティスが晩年…

【美術館の楽しみ方】 順路を無視してもいい?

展覧会に行くと、入口から出口まで、飾ってある順に1点1点鑑賞していく人が多いようです。 たとえ先客がいても、作品の前に人だかりができていても、きっちり順番どおりに…

【アートの見方】「この風景、モネみたい」の謎

注目している現代アーティストのひとりに、NYを拠点とする Brian Alfred がいます。(※著作権があるので、作品画像は公式サイトでご覧ください) 日常の風景を平面的に描…

【美術館の楽しみ方】 何を考えて絵を見ればいい?

アートが好きだと言うと、よく聞かれる質問。 改めて考えてみましたが、結論、特に何も考えてません。 強いて言えば、 「すごいな〜」 「きれいだな〜」 「おおっ・・・」…

アート愛が爆発のOKETA COLLECTION!骨董からコンテンポラリーまで

表参道のスパイラルヒルズで、OKETA COLLECTION 2024「Golden Memories」を観てきました。 現代アートコレクターのプライベートコレクションOKETA COLLECTIONは、桶田俊⼆・聖子夫妻のプライベートなアートコレクション展です。 長年ファッションビジネスに携わり、世界を旅しながらアートを収集してきた桶田夫妻。入り口で迎えてくれたハートが象徴しているように、情熱的なアート愛が伝わってきます。 今回で6回目の開催となるOKETA COLL

日本初のブランクーシ展!本質に迫る彫刻は、まるくてかわいい

東京のアーティゾン美術館で開催している展覧会『ブランクーシ 本質を象る』を訪問しました。 特設サイトによると「ブランクーシの創作活動の全体を美術館で紹介する、日本で初めての機会」とのこと。 ブランクーシの彫刻に対しては「なんかほっこりする」という漠然とした印象しか持っていませんでした。 今回の展覧会ではよく知らなかったブランクーシの作品をまとめて鑑賞することができ、大満足でした! ブランクーシといえば《接吻》ブランクーシの代表作のひとつは《接吻》。 本で見たことがある

【アートの見方】作品のポーズを真似してみよう(1)

そんなとき試してみてほしいのが、「作品の登場人物のポーズを真似してみること」。 たとえば、東京国立近代美術館にあるこちらの彫刻、高村光太郎《手》。 どうでしょう? 「つ、つりそう……」って感じですよね。なんでこんな形にしたのか、気になりませんか? この場合は一応答えがあって、仏さまのサインのひとつ「施無畏(せむい)印」。手のひらを見せて「怖がらなくていいよ」と伝えているのです。 仏さまの手だと考えると、この彫刻が普通の人の手より大きいのも納得がいきますそれにしても、

バンクシーの新作がロンドンに登場!環境破壊の訴えか

バンクシーの新作がロンドン北部で見つかり話題になっています。 発見されたのは3月17日。翌日バンクシーの公式サイトに写真が掲載され、正式な「バンクシー作品」だと判明しました。 環境破壊がテーマ?映像にあるように、裸の木の後ろに緑の絵の具をぶちまけた作品です。離れて見ると葉が生い茂った木になるという、だまし絵のような仕掛けになっています。 本来なら葉を茂らせているはずの季節に、枝がむき出しになっている木を見て、ちょっとしたイタズラというかサプライズを思いついたのでしょうか

アートギャラリーは無料で入れる?挨拶はするべき?

みなさんはギャラリーを訪れたことがありますか? 美術館に比べて、「ちょっと敷居が高いな」と感じている方が多いのではないでしょうか。 でもギャラリーは誰でも無料でアートに触れられる場所なので、気負わずにどんどん行ってみましょう! アートギャラリーとは何かそもそもギャラリーって何なのか。ざっくり言えば「アート作品を展示販売しているところ」という理解でOKです。 少し細かく見ていくと、ギャラリーにはプライマリーとセカンダリーの2種類があります。 プライマリー(一次市場)は、

【美術館の楽しみ方】 常設展を見ないなんて損してる

……と思っていませんか? 「印象派展」「ゴッホ展」「ピカソ展」など、大きい展覧会には人が集まります。休日に上野や六本木の展覧会を訪れると、行列ができていてなかなか入れないこともありますよね。 伊藤若冲展(「生誕300年記念 若冲展」2022年、東京都美術館)が平日でも当日券完売になったり、ディオール展(「クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ」2023年、東京都現代美術館)のオンライン予約チケットが争奪戦になったりしたのも、記憶に新しいです。 ところが、企画展だけ見

蔵前の文房具店「カキモリ」でオーダーノートをつくってみた

大人のお洒落タウンとして人気が高まっている下町・蔵前。レトロモダンな工房や喫茶店が並び、ハイセンスなこだわりの一品を求める人々が集っています。 自宅のインテリアもいいまいちしっくりこない私にはハードル高めかもと思いつつ、蔵前通の友人イチオシの文具店に行ってきました。 世界で1冊のノートが目の前で完成「たのしく、書く人。」のための文具店「カキモリ Kakimori」には、ペン、インク、ノートなど、書くことが楽しくなるような文具がそろっています。 ここでは世界で1冊しかない

美術館のチケット、チラシ、作品リストの保管をどうするか問題

みなさん、展覧会のチケットや作品リストはどうしてますか? 最近はデジタル化が進んでいるものの、やはり多くの人が紙の作品リストとチラシを手に取りますよね。 たまに行く旅行の記念であれば問題ないのですが、美術館によく行く人は、保管に悩んだことがあるのではないでしょうか。 私はあります。 4年間で600枚以上の展覧会チラシこんなことになりました。 大学生時代に美術館愛に目覚め、展覧会に行きまくった結果、卒業する頃には600展以上の資料が集まってしまいました。チラシだけで6

「九段ハウス」で初のアートフェア開催!普段は一般非公開の登録有形文化財

モナリザ、ゴッホのひまわり、ミロのヴィーナス…… 「有名な美術作品は人類共有の財産で、誰でも見れる!」と思いがちですが、実は一般公開されていないアートもたくさんあります。 東京・九段にある登録有形文化財『旧山口萬吉邸』(通称「九段ハウス」)も、普段は一般非公開。時々イベントで公開されるのですが、今回ここで展示&アートフェアが行われたので行ってきました! 会員制クラブ「九段ハウス」 旧山口萬吉邸は、会員制クラブ「九段 kudan house」の拠点となっています。この建物

YouTubeでアートを学ぶ!おすすめ美術系チャンネル3選

「アートに興味はあるけど、難しそう……」 そんな人にオススメしたいのが、YouTube。エンタメ的に観られるチャンネルが増えているので、楽しみながらアートに詳しくなれます。 今回は、誰でも気軽に楽しめる美術系YouTubeチャンネルをご紹介。大人の教養として、アートの世界をのぞいてみませんか? 【初級編】こやぎ先生の美術ちゃんねる学芸員資格や添乗員としての経験を活かし、「美術をもっと楽しもう」をモットーに配信を続ける"こやぎ先生"のチャンネル。 若干関西弁の入ったこや

静かに鑑賞が鉄則?美術館でしゃべってもいいのか問題

美術館は静かなイメージがありませんか? シーンとしていて、靴音にさえも気を使う。ましてや私語なんてもってのほか。友人に話しかけなければならない時は、ひそひそ小声で。 この「しゃべってはいけない」「音を立ててはいけない」という暗黙のルールがプレッシャーになって、美術館を避けてしまう人もいるようです。たしかに緊張しますよね。 でも、「会話禁止」を掲げている美術館は、基本的にありません。 海外の美術館はもっと自由欧米の美術館に行ったことのある人は、日本と比べてオープンな印象を

マティスの礼拝堂が六本木にやってきた|マティス 自由なフォルム

マティスといえば、昨年(2023年)上野の東京都美術館で、大規模回顧展が開催されたばかり。 国立新美術館で開催される「マティス 自由なフォルム」では、マティスが晩年に熱心に取り組んでいた「切り絵」の大作や、マティスの芸術の集大成といわれる「ヴァンス礼拝堂」の再現があるということで、ワクワクしながら出かけました。 ヴァンス礼拝堂の1日を体感展覧会のみどころは、なんといってもヴァンス礼拝堂の再現! フランス南東の町ニースから、さらに20kmほど東のヴァンス村に、ロザリオ礼拝

【美術館の楽しみ方】 順路を無視してもいい?

展覧会に行くと、入口から出口まで、飾ってある順に1点1点鑑賞していく人が多いようです。 たとえ先客がいても、作品の前に人だかりができていても、きっちり順番どおりに見ていく。「もうちょっと見ていたいな」と思っても、次の人が迫ってきたら移動するし、逆に「もうこの絵は飽きたな」と思っても、列が動かないから我慢して待っている……。 「美術館を楽しむ」よりも「展示作品を順番に全部見る」が目的になっているようで、もったいなくないですか? 鑑賞順路を守るべきか展覧会によっては、明確に

【アートの見方】「この風景、モネみたい」の謎

注目している現代アーティストのひとりに、NYを拠点とする Brian Alfred がいます。(※著作権があるので、作品画像は公式サイトでご覧ください) 日常の風景を平面的に描く作風なのですが、Brian の絵を観た後に窓外の景色を眺めて、「あ、Brian の絵みたい」と思ったことがあります。 たとえばこんな景色。(絵ではなく、フリーの写真素材です。) 今まで何気なく見ていたビル群が、急にのっぺりしたアートみたいに見えてきたんです。 同じように、夕暮れの風景を見て「モ

【美術館の楽しみ方】 何を考えて絵を見ればいい?

アートが好きだと言うと、よく聞かれる質問。 改めて考えてみましたが、結論、特に何も考えてません。 強いて言えば、 「すごいな〜」 「きれいだな〜」 「おおっ・・・」 とか、言語化するまでもないような感想でしょうか。 むしろ、ぼーっと絵を眺めながら瞑想していることが多いです。 でも、アートは考えるともっと面白くなる(こともある)ので、何を考えればいいのか深堀りしてみました。 何を考えればいいのかその作品のことを深く知りたかったら、最低でも5分は前に陣取って眺めてみましょ