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「ドラゴン桜」を観て高校時代の恩師の涙の意味を考えた

「精神的に向上心のないやつはバカだ」

僕が高校時代の3年間、ずっとお世話になった恩師がよく言っていた言葉だ。

ドラマ「ドラゴン桜」を観ていて、主人公の桜木先生が誰かに似ているんだよな、とずっと思っていた。

昨日放送された最終回。桜木先生が、教え子たちに対して、

「お前はもう、勝つために必要なものはすべて持っている。諦めずに進め、必ず掴み取れる」

と激励の言葉を送るシーンを観て、それが確信に変わった。

「そうだ、高校の時の恩師に似てるんだ」

言動とか雰囲気とか、そういえばバスケをやっていたってことも共通してるし。もしかして、先生も「ドラゴン桜」の漫画とかシーズン1のドラマを観て、ちょっと意識していたのかもしれない。それくらいよく似ていた。

しかもその先生、名前に「桜」って入ってたんだよな(字は難しい方の櫻だったけど)。

厳しかった先生が号泣した最後のHR

その恩師は、とにかく厳しい人だった。悪い人では全くないのだけど、なんというか、とても口が悪い先生だった。

授業中に問題を間違えると、

「こんなこともわからないの?」
「そんなんでよくサッカーなんてやってる余裕あるよね」

とか、他にもあまりここでは書けないようなことも、生徒たちに言っていた記憶がある。

僕は結構笑いながら受け流したり、言い返したりできていたから気にならなかったけれど、それができない子にとっては、結構しんどかったかもな。

そんな厳しい先生が卒業式の後、教室に戻ってきての最後のホームルームの時。

「皆ホントに申し訳なかったです!以上。さよなら」

と、これまで一度も見せたことがない、袖で涙を拭わなければならないほど号泣した姿で、僕らにそう告げたのが、いまだに印象に残っている。

多分、クラスメイトのほとんどは、急な先生の号泣姿にキョトンとしていたと思う。

ただ何人かは、その涙の意味に思い当たることがあるようだったけど。
僕も、そのうちの1人だった。

桜木先生と同じ目をしていた

僕のクラスは、一応通っていた高校の中では一番の進学コースだった(そもそも高校自体はそんな進学校ではないけど)。

そんなこともあって、その先生はみんなを希望の進路に合格させるために、厳しい態度をとっていたんだと思う。

1年生のころから、毎朝7:30頃に英語の朝学習の時間をつくって、希望者に指導をしていたり(社会科の先生だったんだけどね)。論理的思考力を鍛えるための問題集を、全員に配ったりとか、色々やっていた気がする。

しかし、厳しく指導をされてきた中で、僕らのクラスメイトはみんなが皆、目指していた進路に進めたわけではなかった。どちらかというと、上手くいっていないクラスメイトの方が多かったように思う。

そんな中、皆よりも一足先に大学に合格し、進路を確定させていた僕は、1度2人きりの進路指導室で、その先生からこんな話をされたことがあった。

「なあ、なんでみんな、中々上手くいかないんだろうなぁ」

いつも皮肉ばかり言う先生だったんだけど、この時は全然雰囲気が違っていたのを覚えている。

さっきの言葉を口にした先生の表情を見た時、普段は厳しい言葉で口悪く生徒にあたっていても、この先生はものすごい熱量で、生徒のことを考えていたんだなと、改めて思ったんだよな。

改めてというのは、正直僕は、先生の厳しさの裏にある、なんだか変な形をした優しさが嫌いじゃなかったし、その中にある熱量を感じ取っていたから、既に先生のことをそういった人だと思って見ていたからで。

そしてその時に僕に向けた目が、「ドラゴン桜」の最終回で桜木先生が、教え子たちのことを考えながら言葉を送っている時の、奥に涙がにじみ出ているような目に、そっくりだったんだよな、とドラマを観ながら思い出した。

きっと先生が最後のホームルームで急に号泣したときも、中々生徒たちの望む進路に進ませてあげられなかった自分が不甲斐なくて、泣いていたんだろうなと、いまだに勝手に思っている。

といっても、本人から直接聞いたわけじゃないから、ホントのところはどうなのかはわからないのだけれど。

涙の意味を今度聞いてみよう

母校は今、僕が通ってた時よりも全然すごい学校になっていて、修学旅行も海外に行ったり、他にも面白い取り組みをたくさんしてるみたいだ。

そしてその中心には、3年間お世話になった僕の恩師がいる。

広報誌や教育系の雑誌のインタビューなんかもされるほど、さらにすごい人になっていて、その写真なんかを見るとなんだかめちゃくちゃ生き生きしているように感じた。

卒業後も、OBを招く進学相談会とかに何度か呼ばれたりもしたんだけれど、
面倒だと思いながらも協力したのは、その恩師の頼みだったからというのが大きい。

「精神的に向上心のないやつはバカだ」

「もっと本を読め。読書は、たった1000円程度で人1人の人生を学べるんだから、めちゃくちゃお得だろ。」

とか、今思い出しても色々印象に残る言葉をたくさん言われた気がする。

そういえば、その先生がよく言ってた言葉をもう一つ思い出した。

「俺は同窓会とかはいかないからな」

でも確か、それに加えて、

「酒も飲めるようになってお前らがだいぶ大人になったら、飲みに行ってやるよ」

みたいなことも言っていた気がする。

世の中がもう少し落ち着いたら、今の僕なら飲みに行ってくれるかな?

もし飲みに行くことができたら、あの卒業式の日の涙の意味を直接聞いてみたい。

多分、僕が想像している理由を伝えたら、「そんなわけねえだろバカが」と言われそうな気がするけど。

あとついでにもう一つ、これも聞いてみようかな。

「先生ってもしかして、ドラゴン桜観てましたか?」って。

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