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『木綿のハンカチーフ』を聴いて『大切な人を大切に想う』機会を作ろう

今、あなたには自分の事を大切に思ってくれる人はいますか?
また、あなたはその人の事を大切に出来ていますか?

『両想い』という言葉がありますが、この言葉は一見するとお互い同じくらい思い合っているように錯覚しますが、実際はかなりアンバランスで、どちらかの思いが強い事が多いように感じます。

この現象は、恋愛は勿論の事、家族間でも、はたまた仕事でも起きているように思います。
お互い相手の事を思っていても、常に5:5でバランスが良いわけではなく、3:7といったようにどちらかの比重が大きいシーソーのような状態をイメージします。

そんな『揺れ動く恋人同士の心』を歌った太田裕美さんの『木綿のハンカチーフ』をぜひここで一度、歌詞に注目しながら聴いてみて下さい。


刺激は遠くにあるが、幸せは遠くに無い

まさにこの歌に登場する2人は『両想い』な訳ですが、変わる事を望む彼氏と変わらない事を望む彼女の『揺れ動く思い』が一つの物語のように描かれています。

彼氏に都会に染まらないで欲しいと願う彼女に対して、都会で変わった自分を彼女に見て欲しい彼氏、ずっと変わらないでいる彼女に不満を抱く彼氏、そして最後に別れを告げる彼氏。

何とも傲慢で一方的な彼氏のように思えて来ますが、きっとこの時代同じような経験をした人が本当に多くいたんだと思います。
そして多くの都会に染まった男性達は、この曲を聴いた後にセンチメンタルな気持ちになったのではないでしょうか。

外見を磨く事よりも大切にしたい事

この『木綿のハンカチーフ』の作詞を担当したのは、”はっぴいえんど”から作詞家に転身した松本隆さんでした。

『木綿のハンカチーフ』の歌詞は男女がそれぞれ『想い』を伝え合うという構成で出来ているのですが、あえて2人のパートを分けると、この楽曲の歌詞が非常に巧妙に出来ている事に気が付きます。

若い頃の松本隆さん

まず、彼氏のパートですが、毎回『恋人よ』から始まり、彼女の事を大切に思いながらも、物や外見、地位や名声、シティボーイになる為の自分磨きにばかり気がいってしまう彼氏が描かれています。

恋人よ 僕は旅立つ
東へと 向う列車で
はなやいだ街で 君への贈りもの
探す 探すつもりだ

恋人よ 半年が過ぎ
逢えないが 泣かないでくれ
都会で流行の 指輪を送るよ
君に 君に似合うはずだ

恋人よ いまも素顔で
口紅も つけないままか
見間違うような スーツ着たぼくの
写真 写真を見てくれ

恋人よ 君を忘れて
変わってく ぼくを許して
毎日 愉快に過す街角
ぼくは ぼくは帰れない

太田裕美『木綿のハンカチーフ』より

次に、彼女のパートですが、彼氏のメッセージに対して毎回『いいえ』から始まり、彼氏に求めるものは、お洒落でトレンドを捉えた彼では無く『変わらない無邪気な彼』。
つまり、今も昔もあなたの中身が好きというメッセージを送り続けます。

そして彼に別れを告げられた最後の部分だけ、『いいえ』から始まらず、『あなた』から始まり、今まで断り続けていた『贈りもの』を彼にねだり別れを受け入れます。

いいえ あなた私は
欲しいものはないのよ
ただ都会の絵の具に
染まらないで帰って 染まらないで帰って

いいえ 星のダイヤも
海に眠る真珠も
きっとあなたのキスほど
きらめくはずないもの きらめくはずないもの

いいえ 草にねころぶ
あなたが好きだったの
でも木枯しのビル街
からだに気をつけてね からだに気をつけてね

あなた 最後のわがまま
贈りものをねだるわ
ねえ 涙拭く木綿の
ハンカチーフ下さい ハンカチーフ下さい

太田裕美『木綿のハンカチーフ』より

大切な人は失ってからは帰ってこない

人生とは良い事ばかりではありません。
良い事と同じ位、悪い事もあります。
そしてそんな悪い事が起きた時に、人は心のヨリドコロを探す生き物です。

私達は、人生が上手くいっていると『思いこんでいる』時こそ注意が必要で、手放してはいけない大切な人を『自らわざわざ手放してしまう』機会を作ってしまうかも知れないのです。

この歌の歌詞のように、自分の事を大切に思ってくれる人を自ら手放してしまわない様に、定期的に『木綿のハンカチーフ』を聴いて『大切な人を大切に想う』機会を作っていかなければいけないなと思わされました。

追伸

このnoteは、いつも聴いている『 Otona no Radio Alexandria(大人のラジオ アレクサンドリア)』というラジオ番組内の『大人のサードプレイス』というコーナーで特集された”アーティストの世界”に触れて自分が感じた事を書き残している随想録です。

私はこの番組のファンでリスナーです。
以前、アレクサンドリアというラジオ番組の魅力についてnoteに書き残しましたので是非あわせて読んで頂けると嬉しいです。

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