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#71【読書日記】『六人の嘘つきな大学生』(著:浅倉秋成)を読んだ感想【ネタバレなし】

浅倉秋成さんの『六人の嘘つきな大学生』

2022年(第19回)の本屋大賞ノミネート作品で、2024年には映画化もされる予定です。
「カドブン夏推し2023」の対象書籍にも入っています。


読んだきっかけ

「カドブン夏推し2023」で一番気になっていた作品だったからです。本作のタイトルはSNSでもよく見かけていて、以前から気になっていました。

このような方にオススメの本です

  • 就職活動中の大学生

  • 就職活動を経験した社会人(特に30代前半)

  • ゾクゾクする作品を読みたい

  • 考えさせられる作品を読みたい

あらすじ

成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。

怒濤の伏線回収に驚嘆の声続出! 青春ミステリの傑作が、ついに文庫化!

「六人の嘘つきな大学生」浅倉秋成 [角川文庫] - KADOKAWAより

感想

  • 見てはいけないものを見たくなるような感じでゾクゾク

  • 六人の印象がガラッと変わるのは怖さすら感じた


前半から就活の闇の部分が的確に描かれていて、中盤以降は二転三転する展開に翻弄され、数々の伏線も散りばめられている。
見てはいけないものを見たくなるような感じで、ゾクゾクしながら読んでいました。衝撃の展開、というほどではなかったのですが、次のページが気になって仕方ない気持ちが最後まで止まなかったです。


物語が進むごとに六人の印象がガラッと変わるのは怖さすら感じましたし、何より考えさせられました。人って怖い、でもその怖さたらしめているのは自分自身なのかもしれません。
信じないか、それとも信じるか。僕はできる限り信じたいですね。


瀧井朝世さんの解説も必見です。
解説を読むと本作の良さがさらに分かり、浅倉さんの他の作品も気になりました。


最後に……
「就活」の断崖絶壁に立たされたかのようなあの感覚って本当に何だったんだろうって、経験者として今でも思ってます。
ミステリとありますが、「就活」という名のファンタジーのようにも見えました。

あと「mixi」と「メーリス」が懐かしい。mixiは今でもたまに話題になりますが、メーリスは本当に久しぶりに聞きました。30代の方はおそらく僕と同じような反応をするはず(笑)

印象的なフレーズ

……何というか、自分でもよくわからない上昇志向が芽生えるっていうか、変に意識が高い状態に調整されるっていうか、いい言い方をすれば「成長しすぎる」んだな。就活のせいで。

『六人の嘘つきな大学生』

ゼロ歳児が十歳になる変化はまさしく奇跡のようで、十歳が二十歳を迎えるまでの変化も革命的であるとは表現できそうだ。その一方で二十歳から三十歳への移り変わりはせいぜいOSのアップデートくらいの微修正であるように思っていたのだが、実際のところ内面の変化はそれなりに劇的だ。

『六人の嘘つきな大学生』

就活中だから本当の自分があぶり出されてしまうのではなく、就活中だから混乱してみんなわけのわからないことをしてしまう。

『六人の嘘つきな大学生』

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