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20231231「戯れの伝令」

叩かれたボードの隙間
届かない所まで拭いて
拭われたことなど
一向に何とも思っていない
ただの物だとしても
道具として延長として
壊れるまではそれを続ける
磨耗して傷ついても
抽象されることばの数
何万回も叩けば
埃も出てしまう
わたしのそれもまた
堆く重なって行く
それだと言うのに
ことばの文言は
掠れるばかり
さっき呟いたはずの
それぞれは零れ落ち
なかったような仕草で乙

甲辰にあやかり
浮遊する濁点の止め
空間に撥ね
黒墨の勢いで
昇り降りの姿を見出す
よく見れば細い糸
繋がる紙縒りをもう一度捻り
くるくる廻るも
その風が吹くのなら
大丈夫だろう
風圧で手から引っ張られ
わたしもどこかへと導かれる
空気で遊び
感覚の誘いで
違う通信網で
捉えきれないそれを
確かにその手へ伝わらせる
浮上する概念の一文字
眼差した遠さまでも誰かが見上げている

時には流し
流されてはまた水面も揺れる
乗っけけられた反対側では
混乱の渦中であっても
滑るライドですり抜けるだろう
反転する身体の転がり
それでいて世界が空転するなら
それでもいい
何度だって落っこちて
また次の波を捕まえる
書いては消され
消されてもまた描かれる
戯れの伝令
伝えきれない恩恵
緩やかに昇り
静かに降りる
見えない月に照らされて
真昼のような深海までも
蒸発の機微を守っている

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