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スタートアップで働く全ての人に捧ぐ。 米国ドラマ 「Silicon Valley」を見た方がいい6つの理由。

自らの哲学は、通常自身の経験を通して形成されるもの。そしてそれは往々にして時間がかかり、失敗から学ぶことの方が多いものである。
しかし映画やドラマは様々な哲学を短時間で私達に教えてくれる。だから映画やドラマは私は大好きだ。
とはいえ学んでも、結局学びを忘れ、失敗してから「あ。あれはあの映画で言ってたことだったのね」ということは良くあるけれども。

そんな前置きはさて置き、米国ドラマ「Silicon Valley」について今日は書こうと思う。理由は”スタートアップで働きたい”、”スタートアップで働いている”、そして”いずれ起業したい”と思っている人は、必ず多くのことをこのドラマから学べるからだ。

ドラマSilicon Valleyはその名の通り、シリコンバレーを舞台に主人公のリチャードが「Pied Piper」という企業を創業し、構想から、ピボットを繰り返し、事業を拡大して行く様が、描かれるドラマだ。
特徴ある創業メンバーのみならず、途中から加わる様々な人間模様も色鮮やかに描かれ、見ているだけで様々なことが学べる。
*この記事を書こうと決めて知ったのだが、ビルゲイツも勧めているらしい。https://forbesjapan.com/articles/detail/24052#
ビルゲイツが勧めてる!ってだけで完結しそうだが、是非書かせてほしい。

そして見た事ない人は少しネタバレ要素も含むが、是非この投稿を見てほしい。そして興味を持った人は年末年始、または週末を使ってぶっ通しで見ることを進めたい。
また「Silicon Valley」はアメリカンジョークのオンパレードなので、ただのコメディーだと思われがちだが中身は至ってリアルだ。そして人種差別的発言、性的問題発言なども盛りだくさんなので、そこに不快感を覚える人は敢えて目を瞑ってでも見てほしい。

Silicon Valleyを見るべきだと思う理由は下記だ。
(以外にも幾多理由があるが特撰)

創業経営者とは何者であるかを理解できる

創業から会社に関わっているメンバーや創業経営者と近い距離で仕事をしている人なら、ある程度創業経営者が何者かであるかは理解できるが、距離が遠い人はあまり何もであるかを知らないことが多い。
むしろ「創業経営者=すごい人」と思っている人は多いのでないかと思う。確かに「創業したこと」以上の価値はなかなか企業では生まれにくいので、創業者は凄いことは事実ではあるのだが、必要以上に「凄い」と萎縮してしまうと、せっかくいろんなチャンスがあるスタートアップにも関わらず、力を出せずに勿体無い。実は創業経営者ほど、経営に対して不完全であることは良くある話なのだ。

Silicon Valleyの創業経営者のリチャード・ヘンドリックスは完全なるオタクエンジニアで、技術に対して突出した能力を持っている。しかし、経営者的には問題だらけだ。人前で話すことやプレッシャーにはサッパリ弱く、人付き合いは最悪だ。むしろ問題だらけと言っていい。

このように、往々にして創業経営者とは「何か」に突出していて、普通の人が当たり前にできるようなことがサッパリできないということが良あるのだ。そしてサッパリできないことを、周りが必死でサポートしたり、泥を被って必死こいていたりするものだ。
だけど、その突出した「何か」が会社にとっては重要であり、会社を引っ張っていく原動力でもあり、周りを魅了し、巻き込む力となって拡大していくのだ。 Silicon Valleyでは創業経営者が何者であるのかを良く教えてくれる。

資金調達の流れ、そして企業に関わる人間図を理解できる

Silicon Valley(シーズン5まで)ではシードからシリーズBまで資金調達に関するストーリーが描かれる。

プロダクトローンチ(技術イベントなどでの公開)までを支えてくれるシードラウンドでの人間関係はとてもシンプルだが、シリーズA以降に会社を取り巻く人間模様はとてもリアルだ。シリーズBの際にはとんでもない決断をするのだが、(私は笑ってしまった)それもまた面白い。

企業側の資金調達しないと会社が終わる局面や、本当に出資してほしい出資先にフラれ、やばい出資者に出資され、お金だけの関係に終わらず、わけのわからない出資者の意向に会社が右往左往するのはリアルだ。
しかも資金調達のためにプロダクトのあれやこれやを偽装すべきかどうかやりあうシーンなんかは企業倫理が崩壊するプロセスとしては生々しい。

「知財」が如何に重要か理解できる

日本では「法廷で会おう」みたいな事はあまり聞かないが、米国では良くある話というのはみんなも聞いた事あると思う。

Silicon Valleyではこの「知財」に関する争いが、結構ある。
知財が如何に重要なのか、どれほど価値があるのかを教えてくれる。今ある全てのアイデアに特許取得が可能なのか、または侵害をしていないのかを確認しようという思いを掻き立ててくれる。

スタートアップ企業の「人財」の重要さを理解できる

なんと言ってもスタートアップ企業にとって「人財」は全てだ。
Silicon Valleyでは創業メンバーがくだらない喧嘩を幾度となく繰り返すのだが、全員がそれぞれの特徴を持って高い能力を発揮する場面が良くある。

要はあらゆる局面で起こる火種や機会に対処できる人財を如何に確保しておくべきかということを教えてくれる。

実際にまだ、Silicon Valleyでは創業メンバーまたは創業時から関わるメンバー以外に突出して優秀な仲間は生まれていないのだが、人数が増えても、創業メンバー中心で会社を引っ張っていけるだけの力があるのだから、それが如何に重要であるかを教えてくれる。

技術が世界を変えるだけではない。同様にUXが如何に重要かが理解できる

なんといっても「Pied Piper」は技術の会社だ。創業当初の技術はこれまでの常識を覆すファイルの圧縮技術だ。以後、この圧縮技術が分散型ネットワーク構想に代わり、市場を魅了し続ける。

しかし「Pied Piper」はこんなに優れている技術を持っているのに、なぜか技術が三流の会社やプロダクトの競争に巻き込まれたり、製品を出してもDAUがグダグダだったりする。

理由は簡単だ。UXが完全に無視されているのだ。
普通の映画やドラマだったら主人公の特技が「世界を変える」という展開でスッキリ進むもんだが、Silicon Valleyは違う。
オタクが所詮技術豪語しても、ユーザーは使ってくれないという事実をマジマジと突き刺すのだ。そうしてユーザー体験やマーケティングが如何に重要なのかという視点を教えてくれる。

要は技術もUXも両方大事なのだ。カスタマージャーニーをイメージして技術をプロダクトにできるか、そんなことを教えてくれる。

企業拡大でチームがどう纏まっていくのか理解できる

チームビルディングもシリーズが進むに連れてかなり学びが深いものになる。
創業メンバーだけの時代(いわゆる0-1時代)は、どうすればチームが纏まるかなんて考える必要はない。むしろ、みんな何となく頑張るものだ。
Silicon Valleyでも0-1期はそんな感じで、くだらない喧嘩をしたり、仲裁したり、仲直りをしながら話が進む。

しかし企業が拡大し、創業メンバー以外のメンバーが増えた時にどうやって人を纏まるのかをSilicon Valleyでは教えてくれる。

「Pied Piper」とある局面で、技術者を大量に雇う必要ができ、2社の買収を決意する。その後のストーリーはかなり簡潔に描かれているが、買収後に背景の違う3社の文化が衝突し、経営が行き詰まる。

創業経営者であるリチャードはそんな状況に一矢報いるために、勇気を振り絞って「去る者追わず的な」演説をするのだ。だが、現実は厳しく全員その場から去ってしまうのだ。

しかし二進も三進も行かなくなった状況で、リチャードが決意した行動が、そんな局面を打開することになる。それはリチャードが圧倒的に技術の仕事をすることである。周りのエンジニアはそれに心を打たれて、戻ってくるのだ。

企業ごとにどうやってエンプロイエンゲージメントを高めるかは悩みどころだと思う。メルカリのようにValueを報酬にするのか、DeNAのようにプロフェッショナルであることを報酬にするのか。(ちなみにファームノート はVision型経営を推進し、Value体現が重要としています)

Silicon Valleyでは制度設計ではなくとも、どうやって会社が働く人たちをモチベートするのかを苦悩の中から導きだします。

以上がSilicon Valleyを見た方がいい6つの理由である。

スタートアップの世界は自分の知っていることだけ回ってくれません。ほとんどの場合、知らないことや直接関わらないことで回っているものです。Silicon Valleyはそんな知らないことや、普段関われないことを教えてくれます。
スタートアップで働きたい、働いている、そしていずれ起業すると思っている人は、Silicon Valleyを見て学んでみてはいかがでしょうか。

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