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無名人の詩

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たまに思い付きで書いています。 pixivに投稿していたの過去作を徐々に引っ越ししてみようと思います。 ※過去作には過去作品のタグをつけてます。
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記事一覧

イチョウの木

イチョウの木

黄金に光る
イチョウの木
金の絨毯
イチョウの木
童が踊る
イチョウの木
幾千年と
社を見守る
イチョウの木
過去と未来を繋ぐ
イチョウの木

ふるさとの山

ふるさとの山

あの山を越えたなら
今とは違う街があるのだろう

あの山を越えたなら
別の国があるのだろう

あの山の頂は
きっと秘密の基地がある!

幼い頃の純粋は
いまや消え去り霧散して
それでもなお、
あの山は私に古い記憶を見せてきて
若い両親と幼い私を見せてくる。

空想の誕生

青空を泳ぐ雲
掻き分けるように飛行機が飛ぶ
飛行機は山を越え
海をまたいで
たくさんの感情を乗せていく。

雲もまた、青空を悠々と
泳いで世界の知を知り
雨となり川となり海となり
地球の循環の元で
きっとそのなかで
私たちは居るのだろうと
空想してみるのだ。

味噌汁

小さな鍋の
小さな味噌汁
大根人参お豆腐の
入った小さな鍋に
小さな味噌汁
冷たい体にほっと一息
冷えた心にほっと一息
いつもの日常の
ほっと一息

秋の音

秋の夜長に聴く音は
リンリンとなる鈴虫か
グワッグワッとなく大カエルか

幼い頃はそんな自然を楽しんで
それを子守唄にしたけれど

今の私の秋の夜長に聴く音は
ハードディスクの回転音と
遠くから聞こえるエンジン音

私の感性がそうさせるのか
私が歳をとったからなのか
自然がそうさせているのか

私には分からないが、しかし、
そっと窓を開けて
目を閉じれば
そこには幼い頃の風景が
戻ってきたかのよう

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秋

秋風が顔を包み込む
少し冷たい秋の風

秋の空気が
目に、
鼻に、
体全部に教えてくれた。

秋が来た!
緑と黄色に茶色のコントラスト!
青い空に流れる透明感のある空気に、
大きく雲が流れている。

私は国道沿いのカフェの中。
目で見て秋を堪能し
外に出て、鼻で冷たく空気を吸って
秋に撫でられ邂逅する。

秋が来た!

逃避

星を見上げて呟いた。
私をそこへ連れてって。
たまたま大きな脳みそと
文明なんかを作ったがために
生きる以外に苦しんでしまう。
だからいっそ、私を外に連れ出して。

啓典の歌

長く続いて頭の中でいがみ合い
もつれにもつれた3つのヒモは
ハサミで切るしかないのだろうか

同じ啓典から始まって
少しづつ道が別れていって
千年前の私たちが
こうしていこうと決めたものが

千年後に血の道となって
ひとつに近づくなんて
思いもしなかっただろう。

それも、たった百年のうちに、
すべての始まりのたった数行の
一瞬のうちに収斂するなんて。

あぁ、神様。
預言者を地に下ろしたのは

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当たり前の言葉の力

「おかえりなさい」
当たり前だと思ってた言葉が
当たり前じゃなくなって

「疲れた····」
たまに出ていた言葉が
口癖のようになっていて

気づけば
「行ってきます」
も遠くへ行って
暗いアパートの一室で
布団に包まり
このまま天井の闇に吸い込まれれば
そんなことを思っていたときに
光るスマホに母の名前。

「元気かい?」
この一言に我に返り

私はすべて投げ出して
故郷への切符片手に飛び出した

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こくどらごん

黄色と赤の光が織り成す国道は
まるで巨大な龍のよう。
きらりと、光る鱗のような
巨大な一筋の大きな光。
ちっちゃな人も
おっきく見える、
不思議な光。

一日

見えない事務室
紙の音
コピー機の香り
ファンの風

誰かの一日を借りて
誰かの一日を作っている
何も思わず買ったお菓子も
何気のない問い合わせも
誰かの一日を借りている。

だから私も、私の一日を貸して、
誰かの一日を借りている。
そうして世界は丸くなって
世は回っていく。

ひとかけの優しさが
世の中というえんを潤滑させて
ひとかけの横暴が
世の中というえんに傷つける

目の前だけでは無い

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あいさつ

おはようなんて
いったって
ただいまなんて
いったって
そのひがどんなひかもわからない
それなのに
でもね、でもね、
その一言で
気持ちに波が起こってね
変わることがね
きっとあるよ。

持たざるマイペース

うだる暑さから逃れるように
シャツを脱ぎ、
鴨川のベンチに横になる
あんなオジサンは嫌だと
そう思っていたけれど
私は今、あのオジサンが
とてつもなく羨ましく
自分の時間を作り、
自分の時間を過ごすことの出来る
上半身裸のあのオジサンが
なんだかとても芯があるように
そう見えて仕方ないのだ。

泡となって
浮かんで消えて
ぷくりぷくりと
出ては消えて
儚いようで、
そうでないようで、
鍋は気づいていないだろうし、
水も気づいていないだろうけど、
浮かんで消えてを繰り返し、
そうするうちに何かが生まれていくのだろうと、
外からみて気づくことがあり、
さもこれこそが人生だと、
達観出来れば話は早いが、
そうもいかぬも人生と、
夢が尊いのは人が関わり
気付かぬうちに、
存外達成していることがあ

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