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🎄🌟新「ノラたちのクリスマス」🎅🛷         

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天に、ひときわ光り輝くお星様は、地上に暮らす私たちを、明るく照らしてくれる優しいお星様なのです・・・。




街の広場の中央には、綺麗に飾り付けられた大きなクリスマスツリーがありました。

道行く人たちは、その美しく飾られたツリーをながめては楽しんでいました・・・。




今日は、クリスマスの日です。

クリスマスには、子供や大人たちもプレゼントの交換をしたり、楽しく食事をしたりして過ごします。


空から、雪の結晶がチラホラと舞い落ちてきました。

きっと、もうじきこの辺りの建物は白い雪で覆わてしまうことでしょう・・・。


街の広場で、クリスマスツリーをながめていた人たちも。

みな寒そうに、コートの襟を立てると家路を急ぎ始めました・・・。




ここは、街の片隅の、人もあまり通らない古い建物の立ち並ぶ場所です。


その中でも、特に古そうに見える家の軒下に、ひとつの段ボールの箱がそっと置かれていました。

この箱は、もしかしたらゴミとして捨てられた箱なのでしょうか・・・。


いいえ、この箱は、ゴミとして捨てられた箱ではないようです。

その証拠に、その箱の上と下には、雨よけのビニールがかけられていて、箱の横には穴が開けられていたのです。


そして、その穴から、中をのぞいてみると・・・。





きっと、優しい誰かが、ここにこの箱を置いたのでしょう。

その中には、一匹のノラ猫とノラ犬が、一枚の毛布にくるまって寒そうに体を寄せ合って、ブルブルと震えていたのです・・・。

「ブルブルブル、 ささ、寒いニャー」

「ブルブルブル、 ううん、ささ、寒いワン!」

寒さでブルブルと、眠れぬノラたちのながめる先には、クリスマスをむかえた家々の、幸せで楽しそうな灯りが見えていたのでした・・・。





その灯りを見ながら、茶トラのノラ猫は、

「アタシなんて・・・さ。 ほら、ごらんのように、この引きずる片足が、かっこが悪いからといって捨てられたのさ・・・」

と言うと。


ゴロニャンと言って、前足で顏をひとなでして見せましたが。

それは、きっと流れる涙をぬぐっていたのかも知れません。


それを聞いていた、ノラ犬は、

「ワシは、血統書もないただの雑種の犬で、老いぼれになって邪魔になったからと、飼い主に捨てられたんだよ・・・ 」

と言うと。


遠い夜空を見上げて

「ウォーーン」

と悲しそうに遠吠えを1つしました・・・。


その時、

「グー キュルルー グー」

という音がお腹からしました。

それは、お腹が空いている、2人のお腹の虫の音だったのです・・・。

しかし、クリスマスだというのに、ノラの2人には、何も、食べるものはありませんでした。


ですから2人は、力なく首をうなだれると、優しい誰かが敷いてくれた布団にもぐって静かに横になったのでした。

そして、自分たちよりも。

もっと、悲しくて酷い目に合っているノラ猫やノラ犬たちの事を思って。

そのものたちの、幸せを神様にお祈りしたのでした・・・。

お祈りが終わると、2人は、そっと目を閉じたのです・・・。





その様子を、じっと見ている者がいました。

それは、天に、ひときわ光り輝くお星様だったのです・・・。


街の誰かが作った、小さな雪ダルマがありました。

その雪ダルマに、お星様の一筋の明るい光がサッーと輝きました。

すると、どうした事でしょう。

不思議な事に、その雪ダルマに、スッ足がはえて、木の枝の手には何かをスッとつかみました。

そして、雪ダルマは立ち上がると、雪をギシギシと踏みしめて歩き出したのです・・・。





「ギシ ギシ ギシ ギシ ギシ ギシ・・・・」 

何かの音に気付いた、耳の良いノラ猫がパッと起き上がりました。

そして、耳をグルグルっと回しながら言いました。

「おや、ニャンの音だろう?  これはきっと、足音だニャー・・・」

と言うと。

鼻の良いノラ犬も、体を起こして、鼻をヒクヒクとさせると

「クン、クン、何だか、良い匂いがするワン・・・」

と言いました。

「ギシ ギシ ギシ ギシ ギシ ギシ・・・・」 

足音は、ノラたちの前で止みました・・・。





ノラたちが、外に出てみると。

なんとそこには、ノラたちの大好きな魚と肉で作られたケーキが、目の前に置かれていたのです・・・。

そして、そのそばには、2人の為の赤い毛糸の帽子と、マフラーもおいてありました・・・。




2人が、空を見上げると。

何処かで、シャンシャンと鈴の音が聞こえたような気がしたのでした・・・。


2人は、これはきっとサンタさんが、プレゼントしてくれたのに違いないと思ったのでした・・・。




翌朝の事です。

雪ダルマを作った優しい親子は、朝になって、雪だるまが消えている事に気が付きました。

不思議に思った親子は、雪だるまの残した足跡をたどると、裏路地までやってきました。

親子は、雪ダルマに着せてあげたはずの、赤い毛糸の帽子とマフラーをつけた、ノラたちを段ボール箱の中で見つけました。

親子は、ノラたちを見ると、

「まあまあ、こんなところで、さぞ寒いだろうに・・・」

と言うと笑顔になりました・・・。



ノラたちが、今どうしているかご存知ですか。

ノラたちは今、あの優しい親子の家で温かく暮らしているのです・・・。




世界中の、全ての人たちと、全ての生き物たちが幸せでありますように。




メリークリスマス⛄☃🌟🎄😸🐶。





前回の「ノラたちのクリスマス」はこちらです↓。


どうもありがとうございます<(_ _)>。
なぐなぐ様 今日も予定変更 西沢渓谷へ ー 秋を満喫山梨タビ まぼろしの大豆を追え! ー

もとき様 晩秋の盛岡散策

アッシュ様 井の頭公園さん歩・2023初冬

使用画像 自作 イラストACより タイトル画Canva

アートとメルヘンと創作の森

2023.12.24加筆修正 25.修正 29加筆

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