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手のひら返し

ある病院で同僚の医師がうつ病になった。
良い先生だった。能力も人柄も。
だから難しい患者さんを沢山受け持たされていた。
私から見てもオーバーワークだなと思った。
労いの言葉をかけた時はもはや焼け石に水の状態だった。

うつ病と診断された途端に、今まで信頼していた他の医師が口々に
「あいつは元々そういう所があった」
「やり過ぎなんだよ」
「上手くセーブしないとね」
とか言い出した。

おい、こら、待て。
患者の割り当て決めたA、おまえが言うな。
B、元々そういう所があるなら、なぜ負担を減らさなかった?
C、D、E、あんたら仲間だろ?何で助けてあげなかった?
F、G、H・・・その他大勢、あんたらは自分が不甲斐ないから
あの先生にしわ寄せがいっていたってことに気づいてなかったの?

だいたい、みんな患者さんにはあんなに優しいのに、
あんなに倫理的なのに、
私たちに「あの人にはああしてあげて、こうしてあげて」って
言ってくるのに、
同僚が同じ病気になったら、この手のひら返し。何なの!?

先生が自分の経験談を発表したら「躁状態だ」と言い出した・・・。

全く、何を見ていたのか。
「病気ではなく人をみなさい」って言われてきたんじゃないの?
先生は全部が病気じゃないんだよ。
先生自身としての功績も失敗も、全て病気のせいにしないで!

とても傷ついた。そして私のトラウマになった。
「もし病気になっても、絶対に知られてはいけない」

私にとっての「絶対」は重い。
「絶対」なんて言葉を使って良いのはこの世にあまりないと
思っているからだ。

だから「絶対に知られてはいけない」は凄い呪縛となり、
私自身がうつ病当事者となった今もずっと苦しめられている。

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