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30年前に自分が書いた手紙を読みながらのタイムトラベル 〜スコットランド、湖水地方一人旅編(その1)〜

このシリーズでは、30年前にイギリスに10ヶ月住んでいた時に両親に宛てて書いた手紙を今読んでみてハッと気づいたこと、懐かしく思い出したことなどをご紹介しています。前回までは、手紙と再会を果たすまでの経緯に始まり、イギリスでの30年前の生活のことについて書いてみました(イギリス生活事情編その1その2その3)。

さて、その頃ロンドンに住んでいた私は、仕事も頑張っていましたが、かなりフットワーク軽く旅も楽しんでおり、週末にふらりと一人旅をしたり、ちょっと長めのお休みをとって遠出したりしていました。今回は秋に9日間のお休みをいただいて、初めて北の地、スコットランドや湖水地方を一人旅したときのことを、手紙の抜粋と共にご紹介します。(太字が抜粋の部分です。)

初めてのスコットランド


その時に私が立てた旅行の計画は;

1)まずスコットランドの東側にあるエジンバラまで電車で行き、
2)そこからバス周遊券でスコットランドをさらに北上しながらぐるっと一周して反対側のグラスゴーまで行く、
3)そこから今度は電車で南下しながら湖水地方を訪れて帰途、

というものでした。


朝早く急行電車でエジンバラに到着。お金をおろしたらお札が違うし、人々の言葉もロンドンとまったく違い、スコットランドに来たことを実感。エジンバラは新しいショッピングセンターのある場所と隣り合わせに古い街並みがある所です。エジンバラ城など一通り観光しました。」


スコットランドに着いてすぐにATMからお金をおろしたら、見たことがないお札が出てきて仰天してしまった私。連合王国であるイギリスと、各地で特色や意識の違いはあるものの、一応一つの国ということになっている日本とは、国家のあり方からして全く別物なのだと実感した瞬間でした。人々のアイデンティティも「英国人」というよりも、まずは「スコットランド人」です。

その日の宿があるところまでバスで行ったのですが、バスの運転手さんの言葉も2割くらいしか聞き取れず、ちゃんと目的地で降りられるのかとハラハラしました。とりあえずバス停の名前を伝え、運転手さんのそばを離れずにいたら、着いたところで「ここだよー」と教えてくださり無事に下車。

ところが宿に到着するとご主人の英語がよく分かる!そのことをお伝えしたら、「僕はイングランド人だから」と言われて納得したというわけでした。

エジンバラ市内の公園にて


バス周遊券でスコットランド一周


「インヴァネスに行く途中にある、ピトロッホリーという静かで小さなかわいい街が気に入り一晩滞在。ここはロンドン留学に疲れた夏目漱石も骨を休めたという保養地です。小川や湖、山に囲まれた素晴らしい所で、一日サイクリングを楽しみました。スコットランドで一番小さなウィスキー蒸留所も見学。この場所に湧き出る清水で造っているとのことでした。」


スコットランド内のバス周遊券は乗り降り自由で、全体的にかなりの距離なのに5ポンドくらいと格安だったと記憶しています。ぜひ訪れたい場所は大体決めておいて、あとは途中で良さそうな町や村があったら宿泊、という気楽な一人旅。このピトロッホリーもバスから見て「あっ、いいな」と思ったので急遽バスを降りた町でした。

旅は基本的に宿は一つも事前予約せず、目的地に着いたらその足で旅行案内所に行き、その日の宿を予約してもらっていました。まあ、10月でオフシーズンだったのでそういうこともできたのでしょうが、今では旅程も宿もあらかじめ決めてからの旅ばかり。若い頃の自分のように自然な流れに任せる気楽さと勇気を取り戻さなければ、と手紙を読みながら反省しました。

かなり北の方まで行きました


「インヴァネスにお昼ごろ到着。地図を見ると分かるのですが、かなり北にあり、後から会社の皆に話すと『よくあんな遠くまで行ったね』と必ず褒めてくれる、という所でもあります。ここはネッシーで有名なネス湖のある所です。」

「写真を見ると、薄暗くて神秘的な湖なのですが、私が行った日は快晴で、少し拍子抜けという感じでした。町も、最果ての地を想像していたのに、かなり大きくてごみごみしていてがっくり。でも泊まったB&B(ベッド&ブレックファースト)の奥さんがとても親切な方で、親戚の子が泊まりに来た時のようにもてなしてくれました。」

快晴のネス湖 (Loch Ness)


実際に知らない土地を訪れてみると、イメージ通りだったりイメージと違っていたり、ということがあって面白いですね。今読むと、せっかくスコットランドで貴重な秋晴れなのに文句を言うとは恩知らずな奴、と思います(笑)。そしてネッシーはというと、快晴の昼間にはやはり・・・姿を現してくれませんでした。

        *    *    *

イギリス北部の旅はまだまだ続きます。次回は30年前の願いが叶っていたことや、湖水地方の旅について書く予定です。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。







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