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ゾンビ映画入門

映画大好きつぼたです。私はホラー映画好き、ゾンビ映画好きなのですが、残念ながら周囲で観られる人があまりいません。というわけで、今回はみんなゾンビ映画を履修しましょう。

はじめに

「ゾンビ」という言葉はコンゴで信仰されている神「ンザンビ(Nzambi)」に由来します。南アフリカでヴォドゥンを進行している人たちは「不思議な力を持つ人・動物・もの」をンザンビと呼んでいました。これがコンゴ出身の奴隷たちによって西インド諸島のハイチに伝わる過程でカトリックなどと混ざりヴォドゥンがブードゥー教に、ンザンビが「ゾンビ」に変化したようです。

そしてゾンビは死者から作り出す存在へと変化します。人をゾンビに変化させる術はブードゥーの司祭ボコにより行われます。ボコは死体が腐り始める前に墓から掘り出し、幾度も死体の名前を呼び続けます。やがて死体が墓から起き上がったところを、両手を縛り、使用人として農園などに売り出します。死人の家族は、埋葬後36時間見張り、死体に毒薬を施したり切り裂くなど、死人をゾンビにさせないようにします。死体に刃物を握らせ、起き出したらボコを一刺しできるようにする場合もあるようです。

儀式によって犯罪者の遺体を儀式によってゾンビとして蘇らせ、生前の罪を償わせるために農園などで奴隷として働かせるようです。

ゾンビを作るにあたって、ゾンビパウダーという毒素を含むものが使用されます。毒素の濃度が濃度が高ければ死に至り、ちょうど良ければ薬と施術により蘇生します。仮死状態にある脳(前頭葉)は酸欠によりダメージを負うため、自発的意思のない人間=ゾンビを作り出すことが出来るとされています。ゾンビ化した人間の魂は壷の中に封じ込められ、主の言いつけに従う、何も飲み食いする必要がない奴隷として農園などで永久に使役され続けます。

現代ではゾンビは、死んだ人が蘇る→生きた人間が感染する、へと変化しました。映画によっては独特の感染方法があったりするのでそれも注目してみてください。ゾンビ映画の見所はなんと言っても死と恐怖に迫られた時や、仲間・友人・家族がゾンビになった時、人間はどんな選択をするのかです。

さて、ゾンビ基礎の単位は取得したということで、次は体験型授業の教材(映画)を紹介します。年代順に並んでいるので、好きなものを観てみてください。


01、恐怖城(ホワイトゾンビ)

公開年:1932年
監督:ヴィクター・ハルペリン

あらすじ
新婚のニールとマデリーンは、旅行中に知り合ったボーマンという男に勧められ、結婚式を挙げるためにハイチを訪れる。ボーマンは、ハイチで大規模な農園を営む大地主だった。ハイチに到着してボーマンの屋敷に向かう2人は、そこで奇妙な習俗や葬儀、そしてゾンビと呼ばれる気味の悪い集団に出くわす。

つぼコメント
原題は『White Zombie』。ゾンビを初めて映画化したことでも知られる作品で、ゾンビパウダーを飲むことで人間がゾンビ化します。現代の唸りながら腐った身体で迫ってくるゾンビ像とはかなり違います。1932年ということもあり、もちろんモノクロ映画で、なんとなく雰囲気が『プラン9・フロム・アウタースペース』に似ているんですが、エド・ウッド監督は影響を受けたのかな?すべてはここから始まった!と考えると感慨深いです。ヴィクター・ハルペリン監督は4年後の1936年に『ゾンビの反乱』というゾンビ映画も発表しています。映画自体がとても古く、パブリックドメインになっているのでAmazon primeや動画サイトでも視聴可能です。

02、ナイト・オブ・ザ・リビングデッド

公開年:1968年
監督:ジョージ・A・ロメロ

あらすじ
父の墓参りの途中、バーバラと兄のジョニーは突然生ける屍となった大男に襲われる。兄を殺された恐怖と悲しみの中、乗ってきた車も動かなくなったバーバラは助けを求めて近くの民家に逃げ込んだ。民家には新たに黒人青年のベンが逃げ込み、地下室には若いカップルのトムとジュディ、クーパー夫妻と大怪我を負った娘が潜んでいた。外部との連絡も取れないまま、周囲はゾンビの群れに取り囲まれていく。

つぼコメント
1966年にジョン・ギリングによって作られた『吸血ゾンビ』の首を落とすといった退治法に影響を受け、カニバリズム、感染、理性の喪失、頭部の破壊以外は不死身など、現在のゾンビ映画の基礎をつくった作品です。しかしゾンビという言葉はナイト・オブ・ザ・リビングデッドでは使用されておらず、後にファンによって使用されました。「ロメロのゾンビ映画三部作」第1作です(・A・)

03、ゾンビ

公開年:1978年
監督:ジョージ・A・ロメロ

あらすじ
謎の原因により突如死体が蘇り、次々と人々を襲い始める。殺された人もまた蘇って人を襲い、急増する彼らの前に救助施設は次々に閉鎖を余儀なくされる。フィラデルフィアのテレビ局「WGON」は悪化する現状に対応しきれずに混乱する。局員のフランと恋人のヘリコプターパイロットのスティーブンは都市からの脱出を決意する。

つぼコメント
原題は『Dawn of the Dead(ドーン・オブ・ザ・デッド)』で、「ロメロのゾンビ映画三部作」第2作です。この頃になるとカラーになっています。2004年にザック・スナイダー監督によってリメイクされています。その映画の邦題は『ドーン・オブ・ザ・デッド』です(・A・)

04、死霊のはらわた

公開年:1981
監督:サム・ライミ

あらすじ
フロリダ州ジャクソンビルで楽しい休暇を過ごそうと、アッシュと姉のシェリル、恋人のリンダ、友人のスコットと彼の恋人のシェリーら5人の若者たちは道中で森の小屋を訪れる。その地下室を物色していたスコットは、偶然『死者の書』とそれに書かれていた呪文を録音したオープンリールを見つけ、興味本位で再生してしまう。録音されていたのは、森に封じ込められていた悪霊を蘇らせてしまう呪文だった。

つぼコメント
「死者の書」という魔術的な要素によってゾンビが登場します。またゾンビと戦うヒーローとしても面白いですね。『死霊のはらわた』シリーズは映画史上最高のカルト映画三部作と呼ばれており、2013年にリメイクもされており、いまだに人気の作品です。

05、28日後...

公開年:2002
監督:ダニー・ボイル

あらすじ
動物愛護活動家が医療科学研究所を襲撃。研究員はチンパンジーが危険な感染症にかかっていると警告するが、活動家は耳を貸さず檻を開ける。途端にチンパンジーが活動家に襲いかかった。噛まれた活動家は苦しんだ後、獣の如く凶暴化し、仲間の活動家や研究員に襲い掛かった。感染症は脳の精神を司る部分を破壊し、凶暴化させるウイルスだった。流出したウイルスは瞬く間に蔓延、ロンドンはゴーストタウンと化した。感染拡大から28日後、ジムは寂れた病院で昏睡状態から目を覚ます。

つぼコメント
『トレインスポッティング』や『スラムドッグ$ミリオネア』でも知られるダニー・ボイルが監督を務めました。主演のキリアン・マーフィーはこの映画のヒットで国際的に名前が知られるようになります。2007年には続編の『28週後…』が公開され、3作目として『28月後…』を制作する計画があることが同年2007年に語られています。

06、バイオハザード

公開年:2002
監督:ポール・W・S・アンダーソン

あらすじ
アメリカでの家庭用医薬品シェア90%を誇るアンブレラ社。真の姿は細菌兵器などの研究開発をする軍事企業だった。ある日、アンブレラ社の地下研究所で研究中だった生物兵器のウイルスが漏洩し、所員全員がウイルスに感染してしまう。施設のメインコンピューター「レッドクイーン」は施設を封鎖。全所員を死亡させて汚染を封じ込めた。事態を知ったアンブレラ本社は原因をレッドクイーンの故障と推測し、シャットダウンさせるため自社の特殊部隊を派遣。一方、洋館でアリスは目覚める。記憶喪失の彼女は館内をさまようが、突然突入してきたアンブレラ特殊部隊に拘束される。

つぼコメント
カプコンの大人気アクションホラーゲーム『バイオハザード』を原作とする映画です。ゾンビが一気に人気エンタメジャンルへとなるきっかけになったんじゃないかと感じています。主演のミラ・ジョヴォヴィッチのアクションのおかげもあり、ゾンビとスタイリッシュに戦う女性主人公というのがとても良かったです。

07、ショーン・オブ・ザ・デッド

公開年:2004
監督:エドガー・ライト

あらすじ
ロンドンの家電量販店に勤める冴えないショーンは、その無気力で煮え切らない態度ゆえにガールフレンドのリズから振られてしまう。意気消沈したショーンだが、翌日起きてみると街中にゾンビがあふれていることに気づき、母親とリズを助け出すため居候のエドと共に奮闘する。ショーンは家族や友人たちと身を守るためにパブに立てこもる。

つぼコメント
あらすじだけ読むとシリアスな映画かなと思いますが、『ドーン・オブ・ザ・デッド(邦題:ゾンビ)』のパロディでコメディです。『ベイビー・ドライバー』や『ラストナイト・イン・ソーホー』でも知られているエドガー・ライト監督のデビュー作です。主演はサイモン・ペッグと結構豪華。気軽に見られるゾンビ映画です。

08、REC/レック

公開年:2007
監督:ジャウマ・バラゲロ

あらすじ
番組の取材で消防士の密着レポートをしていたアンヘラ。深夜に「隣りに住む老婆の叫び声が聞こえた」との通報を受け、消防士やカメラマンと共に現場へと駆けつけた彼女は、怯えきった様子の住人たちと、血まみれの老婆が部屋に立ち尽くしている姿を目撃する。

つぼコメント
POV(Point Of View/主観ショット:登場人物などを視点とした撮影技法)方式によるモキュメンタリー作品(ドキュメンタリーに似せたフィクション)です。そのため非常に臨場感と緊迫感があります。宗教的な要素が絡んできていて、「ゾンビのような」とされており、完全にゾンビとは言い切れませんが、一般的にゾンビ映画とされているので入れました。

09、ゾンビランド

公開年:2009
監督:ルーベン・フライシャー

あらすじ
地球上はゾンビで埋め尽くされ、人類はほぼ絶滅状態。アメリカに住む人間の大半もこのウイルスに感染していた。大学生のコロンバスは臆病で胃腸が弱く、友達もいないネットゲームオタク。彼は「ゾンビの世界で生き残るための32のルール」を作り、それを慎重に実践して生き延びてきた。旅の途中、屈強な腕力と抜群の射撃テクニックで生き延びてきた男タラハシーと出会い、彼の車に同乗させてもらう。2人は廃墟と化した大型スーパーで、ウィチタとリトル・ロックと名乗る姉妹と出会う。

つぼコメント
ジェシー・アイゼンバーグにウディ・ハレルソン、アビゲイル・ブレスリン、エマ・ストーン、アンバー・ハード、ビル・マーレイ……といった超豪華俳優陣ばかりで、びっくりします。内容も定番でありながらコメディチックでしっかり楽しめる内容です。私はこの映画にも出てくる『トゥインキー』というお菓子が気になり、輸入して食べてみました……が。続編として2019年に『ゾンビランド:ダブルタップ』が公開されています。

10、ウォーム・ボディーズ

公開年:2013
監督:ジョナサン・レヴィン

あらすじ
生者の肉を喰らうゾンビやそのなれの果てであるガイコツが蔓延る終末世界、生き残った人々は高い壁による砦を築いてその内側に逃れ、暮らしていた。廃空港の廃航空機に住み着いていたゾンビの青年Rはある日、ゾンビとしての食欲に突き動かされて仲間たちと共に街へ出る。物資の調達に出ていた人間たちを襲い、青年ペリーの脳を喰らう。それがもとで彼の元彼女ジュリーに恋をしてしまう。

つぼコメント
「恋愛・ゾンビ・コメディ映画」で主人公はゾンビ、という渋滞しまくりな設定ですが、作りがうまい。ついにここまで来た!という感じです。最初の自己紹介シーンから笑えます。映画の雰囲気も暗くなく、ゾンビ初心者にも観やすいので入門ゾンビ映画と言えるでしょう。

11、ワールド・ウォーZ

公開年:2013
監督:マーク・フォースター

あらすじ
フィラデルフィアに住む元国連職員ジェリーは、妻と2人の娘を学校に送るため自動車に乗っていたが、いつもとは様子の違う交通渋滞にはまってしまう。すると突如人々が車を放棄して逃げまどい始め、ジェリーも同じように家族と共に逃れる。人間を狂暴化させる謎の疫病が世界各地で流行し始めており、街はゾンビの大群に襲われていた。事態収拾のために国連事務次官から召集されたレインは疫病が蔓延する前に壁を築いたため感染者がいないというエルサレムへ向かう。しかし、避難民たちが使用したスピーカーの音に反応したゾンビが壁を乗り越えて街中まで押し寄せる。

つぼコメント
ゾンビ映画といえば「ゾンビから逃げる」か「ゾンビと戦う」の2択の印象がありますが、この映画では「事態を収束させる」が目的になっており、それだけでも新しさを感じます。ゾンビがゾンビを踏み台にして山を作り、高い壁をに迫るシーンのインパクトと恐怖、それに対して各所に見られるジェリーの冷静さが際立つ素晴らしい映画だと思います。ゾンビ映画の中で私が最も好きな映画です。

12、新感染 ファイナル・エクスプレス

公開年:2016
監督:ヨン・サンホ

あらすじ
ソウルに住むソグは妻と別居し、実母と娘スアンの3人で暮らしていた。娘が誕生日に何を欲しいかも分からない仕事人間のソグは、母に会いたいというスアンの希望を渋々承諾し、朝一番の釜山行きの列車KTXの3号車に乗り込んだ。KTX発車直後、スアンは車窓から駅員が何者かに襲われる様子を目撃。一方12号車には発車直前に異様な様子で駆け込み倒れていた女が、介抱しようとした乗務員に襲いかかる事態が発生する。噛みつかれた乗務員は一度はこと切れたが、すぐに女と同様に周囲の乗客を次々と襲い始め、やがて車内は狂暴化した人間たちが襲い来る地獄と化していく。

つぼコメント
ドラマの『キングダム』もそうですが、韓国のソンビもののクオリティは非常に高いです。この映画は韓国高速鉄道の列車の中という閉鎖的な中でどうゾンビと戦うかというのが見どころです。観たらヨングク格好いい、となるはず。原題は『釜山行き」ですが邦題は『新感染』です。私は、珍しく原題を改変して良くなったタイトルかなと感じています。2020年に『新感染半島 ファイナル・ステージ』が公開されています。

13、カメラを止めるな!

公開年:2018
監督:上田慎一郎

(予告トレーラーは見ずに本編を観てください)

あらすじ
かつて日本軍が死体を蘇らせる実験をしていたという、忌まわしい都市伝説がある郊外の廃墟で、ゾンビものの自主映画の撮影が行われていた。クライマックスシーンの撮影中、監督はヒロイン役の女優の演技に本物の恐怖が足りないと苛立ち、建物の屋上に血糊で禁忌のサインを描く。するとカメラマンがゾンビ化、ほかの撮影スタッフも次々と犠牲になっていく。本物のゾンビの襲撃というリアリティを目にした監督は「カメラは止めない!」と叫び、逃げ惑う女優たちを追いかけ、ハンディカメラで撮り続ける。

つぼコメント
「最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる。」がコピーです。観ると分かるのですが、とてもチープな演出と映像でとてもツマラないです……が。そのチープさ・ツマラなさすらも後半の伏線となっています。長回しはスゴイのですが、スゴさはそこではありません。前半の「すべて」が後半への伏線となっているのは素晴らしいです。面白すぎる。これ以上情報を入れずに観るべし。

14、アーミー・オブ・ザ・デッド

公開年:2021
監督:ザック・スナイダー

あらすじ
アメリカ軍がエリア51から未知の生物を載せたコンテナを輸送する。しかし事故に巻き込まれ、投げ出されたコンテナからゾンビが解き放たれ兵士が次々と襲われる。そしてラスベガスはゾンビパニックへと陥る。ラスベガスを封鎖し、ゾンビを隔離することに成功した人類。ゾンビとの死闘の後、静かに暮らしていた主人公スコットは、謎の男の依頼によって、ラスベガス地下の巨大金庫に眠る大金を狙うべく、ゾンビだらけの超危険エリアへ侵入するという《史上最大の強盗計画》に挑むことに。

つぼコメント
ザック・スナイダー監督が『ドーン・オブ・ザ・デッド』以来17年ぶりのゾンビ映画を撮りました。スタイリッシュなデザインにまた新たなゾンビ要素を追加され、続編はあるのか?!と期待していまします。主演は最近人気のデイヴ・バウティスタです。

さいごに

いかがでしたか。お気に入りのゾンビ映画は見つかりましたか。現在ではゾンビは一大ジャンルに成長しています。今後もどんどんと公開されていくでしょう。ただ日本のゾンビ映画はなかなか増えないので寂しいところではあります。

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