マガジンのカバー画像

読書感想文

58
読書感想文のまとめ
運営しているクリエイター

記事一覧

面白い話はどうすればできるのか

今日は、すごく好きな本の話をします。米原万里さんの「必笑小咄のテクニック」という本です。…

峰庭梟
11か月前
16

「人と熊は違うものなんですね」~川上弘美著「神様」のこと

この物語は、ある日隣にくまさんが引っ越してくるとことから始まります。そしてくまさんは言う…

峰庭梟
11か月前
11

世界はきみを入れる容器ではない。 ~池澤夏樹著「スティル・ライフ」のこと

理系と文系、なんて分けるのは時代遅れなのでしょうか。でも、僕のような完全な文系人間からす…

峰庭梟
11か月前
3

遠いことと近いこと、一人であることと一人じゃないこと~森絵都著「宇宙のみなしご」…

この物語を一言で言うなら、これは中学二年生の姉の陽子と弟のリン、そして陽子のクラスメイト…

峰庭梟
1年前
1

まるでおとぎ話のような歌集 〜蝦名泰洋、野樹かずみ著「クアドラプル プレイ」のこ…

とても素敵な歌集と出会いました。書肆侃侃房から2021年に出版された「クアドラプル プレイ」…

峰庭梟
1年前
13

これこそが本当に正しい生き方なのかもしれない 〜レイモンド・クーヴァー著「ユニバ…

WBC大盛り上がりですね。御多分に洩れず、僕も4試合観てしまいました。優勝するかなあ。 それ…

峰庭梟
1年前
1

遠き東の彼方、遥か時空の彼方に、探し求める答えがある 〜ネルヴァル著「暁の女王と精霊の王の物語」のこと

ネルヴァルとロマン主義19世紀のフランスの作家ジェラール・ド・ネルヴァル。彼はフランスではゲーテの「ファウスト」の翻訳者として、また「狂気の浪漫主義詩人」として知られています。 そんな彼がドイツや中東とフランスを行き来しながら著したのが、彼の代表作とも言える「東方紀行」でした。本書はその中の一部から抜粋して刊行されたものの翻訳です。 ネルヴァルの作風は神秘主義的傾向が強く、とりわけ錬金術が彼の文学的源泉となったのでした。そして、そんな彼に影響を受けた後世の作家は数

新しい世界へようこそ 〜カルロ・ロヴェッリ著「時間は存在しない」のこと

僕たちは誰もが知っています。かつて人間は大地が平らだと思っていたことを。そして、地球が太…

峰庭梟
1年前
5

努力すればなんとかなる。 〜幸田露伴著「努力論」のこと

努力すれば何とかなる努力ですよ、努力。もうタイトルからして汗臭い感じがしますね。まあ本書…

峰庭梟
1年前
1

隠れて生きよ 〜エピクロス著「教説と手紙」のこと

エピクロス(エピキュロスと表記されることも多い)は紀元前300年頃、ヘレニズム期のギリシャ…

峰庭梟
1年前
4

勝者は歴史をつくり、敗者は文学をつくる 〜アンドレ・モロワ著「デブの国ノッポの国…

好きだった本の一番古い記憶は、どの本ですか? 僕は、絵本を読んでた記憶があまりないんです…

峰庭梟
1年前

いったいなにを考えているんだ。 ~宮沢章夫著「考えない人」のこと

2002年のことになりますが、新潮社から「考える人」という雑誌が創刊されました。 僕はこの雑…

峰庭梟
1年前
3

この手紙をあなたへ 〜星野道夫著「旅する木」のこと

お元気ですか? あなたに手紙を書くのは初めてかもしれません。もしかしたら、そうではないか…

峰庭梟
1年前
12

サキの短編は独りこっそり楽しむのがいい 〜サキ著「けだものと超けだもの」のこと

O・ヘンリーと並ぶ短編の名手と言えばサキ。O・ヘンリーが「陽」とするならばサキはまさに「陰」ですよね。ブラックジョークがちりばめられていて、読み終わるとつい口元が「ニヤリ」ってなるのが癖になってしまうのです。 さて、本書「けだものと超けだもの」はそんなサキの短編集。もちろんここでも彼一流のシニカルな物語がたくさん含まれています。 思うのですが、サキの短編はどれも短いものばかりなので、ついつい読み飛ばしていってしまいそうになるのですが、それはあまりにももったいない!