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垂直思考 vs 水平思考:それぞれの特性と歴史的背景

垂直思考(すいちょくしこう)
→ 1つのアイデアや問題を深く、徹底的に追求する考え方。

垂直思考と水平思考。

この2つの言葉を聞いたことがあるだろうか。

これらは、問題解決やアイデアの生成における考え方のアプローチを示す言葉である。

当然、どちらが優れているというわけではなく、それぞれに特有の特性と利点がある。

現代の複雑な問題を解決するためには、これらの思考法を理解し、適切に使い分けることが求められるわけだ。

垂直思考は、1つのアイデアや問題を深く、徹底的に追求するアプローチを指す。

一方で、水平思考は、多様なアイデアや視点を迅速に生成する考え方である。

これらの違いを理解することで、より効果的な問題解決やアイデア生成が可能となる。

ということで、垂直思考と水平思考の定義、特性、歴史的背景、そしてそれぞれのメリットやデメリットについて詳しく解説していこうと思う。

垂直思考の定義と特性

垂直思考は、その名のとおり、1つの問題やアイデアに「垂直」に深く掘り下げることを目的とした思考法である。

ただし、これを単なる深堀りと捉えてはいけない。

それはまるで探偵が事件の謎を解明するように、あるいは深海探査が未知の海の奥深くを探るように、垂直思考もまた真実や答えを求めて細部まで徹底的に追求している。

探偵のような分析

まず、垂直思考の魅力を理解するためには、探偵の仕事を思い浮かべると良い。

探偵は事件の現場に残された手がかりから、事件の背後に隠された真相を明らかにする。

このプロセスは、事実や証拠を元にして、一貫した物語や答えを導き出すことを目的としている。

垂直思考もまた、事実やデータを基に、背後に隠された原因や構造を理解しようとする点を理解するといいだろう。

ビジネスの現場で言えば、売上の減少、顧客の流出、製品の品質問題など様々な問題が起こる。

それらの問題には必ず原因があり、垂直思考を用いることでその原因を探ることができるというわけだ。

深海探査のような追求

探偵の分析と並行して、深海探査の比喩も垂直思考の特性を理解するのに役立つ。

深海探査は、海の表面だけでなく、未知の深海の奥深くまで潜って生態系や地形を調査する。

この探査は、表面上では分からない情報や新しい発見を求めるものである。

垂直思考も、1つのテーマや問題に対して、表面的な情報だけでなく、深い部分まで徹底的に探る点が共通している。

例えば、新しい製品の開発や市場戦略の策定など、ビジネスの多くの局面で、表面的な情報だけでは十分な判断ができない。

そのため、垂直思考を駆使して、情報の深部まで探ることで、新しい洞察や解決策を見つけ出すことができるというわけだ。

論理の達人

垂直思考を行う人は、情報の断片や手がかりを組み合わせて、一貫した答えや物語を導き出す論理的思考の達人だといえる。

複雑な問題や情報の海の中で、その本質や要点を見極める能力は、垂直思考の持つ大きな魅力の1つになる。

伝統との対話

そして、垂直思考は、既存の知識や常識を基盤として考えることを知っておく必要がある。

この思考法は、過去の経験や知識を尊重し、それを基に新しい知見や答えを導き出す。

この点で、垂直思考は、伝統や既存の知識との対話を通じて、新しい解決策やアイデアを生み出す力を持っている。

これらの特性を持つ垂直思考は、日常生活からビジネスの現場まで、様々な場面でその力を発揮するということになる。

水平思考の定義と特性

水平思考は、まるで大地のように広がりを持ち、新しい可能性の種を蒔きながら、異なるアイデアや視点を迅速に生成する方法である。

この考え方は、多様な視点やアイデアを取り入れることを重視し、その中から革新的なアプローチや解決策を見つけ出す力を持っている。

画家のキャンバス

水平思考の世界を、無限の可能性を秘めた巨大なキャンバスと考えてみよう。

画家はそのキャンバスに、色とりどりの絵の具を使い、自らの感性やインスピレーションを元に絵を描く。

同様に、水平思考を駆使する人は、様々な情報やアイデアをこのキャンバスに投影し、新しい結びつきや視点を生み出すのである。

ジャズの即興演奏

このキャンバスに描かれるアイデアや視点は、ジャズの即興演奏のように、その場の感覚や情報に応じて変化する。

ジャズミュージシャンは、基本的なメロディーやリズムをベースに、新しいフレーズや旋律を瞬時に作り出す。

この即興性は、新しいアイデアや視点を自由に生み出す水平思考の特徴とも言えるだろう。

多角的な視野

水平思考の持つもう1つの魅力は、多角的な視野で物事を捉える能力である。

1つの出来事や情報に対して、さまざまな角度からのアプローチや解釈が可能である。

これにより、従来の方法や常識では考えられなかった新しい解決策や視点を発見することができるのである。

新しい道の開拓者

既存の枠組みや常識に囚われず、新しいアイデアや方法を模索するのが水平思考である。

この思考法は、新しい可能性やチャンスを見つけ出すための道を開く力を持っている。

既存のルールや枠組みを超えて、新しい方法や視点を模索することで、これまでにないアイデアや解決策を見つけ出すことができる。

既知と未知の架け橋

水平思考は、既知の知識や情報と、未知のアイデアや視点との間に架け橋をかける役割も果たしている。

これにより、新しい情報や技術を既存の知識や経験と組み合わせることで、新しいアプローチや解決策を生み出すことが可能となるのである。

こういった特性を持つ水平思考は、新しいアイデアの生成や革新的な解決策の発見に非常に効果的だということを垂直思考との対比として知っておくといいだろう。

歴史的背景

人間の思考というのは、長い歴史の中で進化し続けてきた。

この進化の中で、様々な思考法やアプローチが生まれ、それが現代の垂直思考と水平思考として私たちの前に現れている。

せっかくなので、そんな思考法の歴史を簡単に解説しておこう。

古代の思考法

古代の哲学者や学者たちは、自然界の法則や人間の存在意義を理解するために、深い考察を重ねてきた。

この時代の思考は、現代の垂直思考の原型とも言えるもので、1つのテーマや問題に対して深く掘り下げ、その本質を追求する姿勢が見られた。

産業革命と新しい思考法

19世紀の産業革命は、技術や経済だけでなく、人々の思考方法にも大きな変化をもたらした。

新しい技術や発明が次々と生まれる中、従来の枠組みや常識を超えて新しいアイデアや視点を模索することが求められるようになった。

この時代の思考法は、まさに現代の水平思考の先駆けとなるものであった。

20世紀の思考の多様化

20世紀に入ると、科学や技術、文化や社会の進化に伴い、多様な思考法やアプローチが注目されるようになった。

エドワード・デ・ボノは、この時代の背景を受けて、垂直思考と水平思考という新しい思考法を提唱した。

現代の複雑な課題への対応

現代において、環境問題や経済のグローバル化、情報技術の進化など、多様で複雑な課題が私たちの前に立ちはだかっている。

これらの課題に対応するためには、垂直思考と水平思考を適切に組み合わせ、多角的で柔軟な思考が求められる。

このように、垂直思考と水平思考も、歴史的な背景や人類の進化の中で形成されてきたものであり、それぞれの時代や状況に応じて、その有効性や重要性が変わってきたのである。

そして、これからの未来においても、これらの思考法は私たちの日常やビジネス、様々な課題への対応において、大きな役割を果たし続けることだろう。

垂直思考と水平思考のメリットとデメリット

思考法の歴史について書いたが、結局、世の中には完璧な方法や手法というものは存在しない。

垂直思考と水平思考も、それぞれに明確なメリットがある一方で、デメリットも持っている。

このあたりを理解し、状況や目的に応じて適切に使い分けることが、効果的な思考や意思決定の鍵となるわけだ。

ということで、それぞれのメリットとデメリットをまとめてみる。

垂直思考

  • メリット

  1. 深い洞察:1つのテーマや問題に徹底的に焦点を当てることで、その本質や背後に隠れた要因を明らかにすることができる。

  2. 論理的な答え:事実やデータに基づき、一貫した答えや結論を導き出すことができる。

  3. 実用的: 既存の知識や常識を基盤として考えるため、現実的で実用的な答えや解決策を見つけやすい。

  • デメリット

  1. 新しい視点の欠如:ある1つの視点やアイデアに固執しすぎると、新しい視点やアイデアの生成が難しくなることがある。

  2. 時間がかかる:1つの問題を深く追求するため、解決までの時間が長くなることがある。

水平思考

  • メリット

  1. 多様なアイデアの生成:多様な視点や情報を取り入れることで、新しいアイデアや解決策を迅速に生み出すことができる。

  2. 柔軟性:既存の枠組みや常識に囚われず、自由に思考することができる。

  3. 迅速な反応:変化や新しい情報に対して、迅速に反応し、アプローチを変えることができる。

  • デメリット

  1. 表面的な考察:多様なアイデアを迅速に生成する一方で、それぞれのアイデアを深く追求しづらいことがある。

  2. 結論の曖昧さ:多様な視点やアイデアを取り入れるため、明確な結論を導き出すのが難しくなることがある。

まとめ

垂直思考と水平思考は、単なる理論や考え方に留まらず、実際のビジネスや日常生活の中で具体的に活用することができる。

ということで、最期にそれぞれの思考法を実際の状況で活用する具体的な方法と例を挙げておこう。

新製品の開発

  • 水平思考:市場のニーズや競合製品の分析を通じて、様々な製品アイデアを生成する。

  • 垂直思考:生成されたアイデアの中から最も有望なものを選び、その製品の詳細な設計や開発計画を策定する。

マーケティング戦略の策定

  • 水平思考:様々なマーケティング手法やチャネルを考え、多角的なアプローチを模索する。

  • 垂直思考:その中から最も効果的と思われる手法やチャネルに焦点を絞り、具体的な実行計画を立てる。

問題解決のプロセス

  • 水平思考:問題の原因や背後にある要因を多角的に分析し、様々な解決策を考える。

  • 垂直思考:考えられた解決策の中から最も現実的で効果的なものを選び、具体的な実行計画を策定する。

チームの意思決定

  • 水平思考:チームメンバーからさまざまな意見や視点を集め、多様な選択肢を検討する。

  • 垂直思考:集まった意見や視点をもとに、最も合理的で効果的な意思決定を行う。

これらの実例を通じて、垂直思考と水平思考は、様々な状況やタスクに応じて、組み合わせて活用することで、より効果的な結果を得ることができる可能性がある。

是非、参考にしてもらえると嬉しい限りだ。


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