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セイヨウタンポポを食べてトマトの旨さを知る。

セイヨウタンポポを食べよう。

セイヨウタンポポを取る。

この記事の読者諸氏であればタンポポがゴボウなどと同じキク科で食用になるという事は周知の通りであろう。
そして成人男性が街中にある植物を採取しようとすると不審人物になることも。
というわけで取ってきましたセイヨウタンポポ。

綺麗だね。

じゃあ食べます。

セイヨウタンポポのキッシュ。

かつて戦時中、タンポポの根っこがコーヒーの代用とされた事はあまりに有名だが葉や葉っぱの味を知る人は少ないように思える。
産地にもよりけりだが青臭さは少ないものの苦みが強く山菜を食べ慣れなていない人にはウッとくるような個性がある。
そこでその風味を適度に押さえ好ましい程度まで引き下げる事でより親しみやすいように工夫をした。
そこで今回は卵液とトマト、乳製品と合わせキッシュにすることにした。
作り方は至って変哲はなく中に入っているホウレンソウの代わりに5分下茹でしたタンポポに変えるだけである。

完成。

普通のキッシュと違う点はホワイトソースにパルメザンチーズをかけたグラタン風になっているところだ。
出来は上々。非常に美味しそうだ。

断面の色味も良い。

…!うまいっ…!!
トマトが…ッ!!!!
これは誤算が過ぎた。円やかなグラタンソースがタンポポの口蓋に障るような鮮烈な苦みを抑えて野菜と同じような程度になったまでは狙い通りだったのだが
キッシュにいれた加熱したトマトが非常にジューシーで濃厚なうま味と軽やかな酸味が他の要素を霞ませてしまっている。
これに入れたトマトというのが新潟市の北区の豊栄地区で多く栽培されている「桃太郎トマト」という品種だ。
何の気なしに買ったトマトがここまで強い個性を持っているとは思ってもいなかった。

たんぽぽも完全に死んでいるわけではなく野性味のあるジャキジャキとした食感や個別に食べれば感じられる春菊のような風味がある。
しかしこの桃太郎トマトの強さには適わない…。悔しい…!

まとめ。

野草を親しみやすく美味しく付き合おうと思って初めて手を出したジャンルなのだがまさか初っ端から栽培種に頭をひっぱたかれる結果になるとは思わなかった。
日本で品種改良をされた野菜の多くは収穫量の増加や病気に強い特性を狙ったもの。瑞々しさを追求したものが多く結果的に風味が弱くなったり特徴的な個性や旨味を弱めてしまうこともあるのだが
トマトに関してはそれが少なく揃って非常に美味しい。
今回のキッシュも食べやすいものと合わせることによって野草の身近さや味を気軽に楽しめるようにと思ったのだが失敗した。
いや、やたらめったらに美味しいので成功ではあるのだが。
ううむ…奥深い野草の世界。
でもまたやろう。可能性の塊な気がする。

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