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詩集 すべてが正しい


怖いのなら
目をつぶれ
生き延びられるなら
すべてが正しい


天気がいい日には
外は出よう
体は動かずとも
太陽の光
浴びていたことを
忘れてしまっても
窓枠に切り取られた
青空しか見えなくても
風が血肉を壊しても
外へ
外へ
恐怖や不安が
しがみついてきて
一歩も
足は動かせぬ
けれども
外へ外へ外へ外へ外へ外は
雨夜
私は見上げる星たちを



外へ
向かうなら
外だ
自分の内側は
それほど深くはない
潜るなら
広く浅い海
そこへ流れ込んだ
とてつもない時間を
呼ぶ
永遠

あなた
時代

ざわめき
誰と話すでもないが
外へ
ドアノブに
ひっかけていたこの首
内側に流れ込む
怒涛の春



汚い手で
触らないでください
気持ちが悪い
あなたがいる感覚
悪意を持ってください
その口で
言ったことを
後悔してください
別々の人生です
もう大丈夫です
謝らないでください
痩せ我慢でも
あなたの心配には及びません



世界が
閉じている
他人が
無視をする
閉じていたのは
私の心
聞けないのは
私の気持ち
心の扉
変わるのを待とう
理由は
あいつには明け渡さない



私を殺そうとした

ありがとう
おかげで
私は死ななくて済んだ



恋をする
いつかだれか
普通に
みんながしているように
だれかを
大切にする
大切にされる
手を繋ぐ
肩を寄せる
ささやきあう
しずかになる
温まる
近づく
とおざかる
寄り添う
さざなみのように
消えてしまいたい



いつか誰かを
好きになる
手を繋ぎたい
皮膚があるうちに
呼吸ができるうちに
目が見えるうちに
何もかも終わる
ずっとずっと前に
好きな人を
好きでいられる時間を
与えてください
にんげんでいられるうちに



私のせい的孤立



ふつうは力を抜けば
ふつうになる
ふつうを装って
ふつうを手探り
ふつうを考える
必要がない
ふつうはある
定義はいらない
当たり前すぎて
だれも探さない
感覚的に
立ち上っている
私は
私がふつうでないことが
辛い


病気でなければ
女でなければ
孤独でなければ
結婚できれば
相手がいれば
親がいるなら
兄妹がいれば
味方がいれば
理解できれば
私が私を
ちゃんと
弱さをちゃんと
ちゃんと
いたわれば
いったい何が変わるんだ



どこにいても
苦しい
だれといても
かなしい
何をしても
むなしく
自分といても
死にたくなる
何を
語れば
何から
手放せば
何を
信じれば
終わり始めるのか
誰も悪くないことは
分かっているんだ
嫌気がさすほどに


うまく笑えていると
人の中にいられる
人の中にいられたら
うまく生きている感じがする
だけど私は
突然笑えなくなる
目が見られない
相槌ができない
なにも楽しくない
会話が私を
飛び越えていく
私以外のすべての人が
まとまって見える
甘えて見える
敵に見える
ひとりでいる寂しさを
寂しいと声に出せない
なんだ
寂しいのか

いつものことだ
みんなどうして
寂しくないんだ
孤独が
体の中を巣作っている


孤独の連続
私が積み上がる
孤独です
ひとりです
会話はたまにあり
少し安らぎ
そしてまた
沈黙のなかで
孤独です
孤独を
受け入れると
だめになりそうです
なぜカラスは
ひとりで生きて
いけるのでしょうか

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