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まことしやかな未来を想像する力を鍛えてくれたマンガたち

シナリオプランニングをやっていると、冗談交じりに「妄想を仕事にできて良いですねぇ」と言われることがある。

念のために、シナリオプランニングをご存じない人向けに書いておくと、シナリオプランニングで描くシナリオは妄想ではない。

たしかにシナリオプランニングは未来のこと、それも普段なら考えない比較的長期の未来のことを考える手法だ。ただ、好き勝手に未来を描くわけではなく、いま起きているさまざまな外部環境要因が、今後、どうなっていくのかを見極めて、そこから起こり得る未来の可能性を描いていく。

そうやって事実に基づいて未来のことを考えていくので、妄想とは似て非なるものだ。

話しを戻すと、「妄想を仕事にしてる」と自分に言った当人も、もちろん、シナリオプランニングは妄想ではないことはわかって、あえて言っている。

そうではあるものの、実際にいろいろな人が未来のシナリオを描くのを見ていると、妄想力があるかどうかは、結構、シナリオプランニングをやるのに大事な素養だなと思うことがある。

例えば、いま起き始めている技術の変化が、今後、社会にどのような影響を及ぼす可能性があるのか、私たちの生活がどう変わっていくのか?ということを考える際、それをどこまでリアリティを持って考えられるかとなると、妄想力っぽいものが必要になる。

(ここら辺は、今後、もう少し考えを深めていきたいところだけど)

そういう視点で、シナリオをつくるのが上手な人を見て、いろいろ話しをしていると、昔から読んだり見たりしている小説(SFもそうだけど、SFに限らず)やマンガ、アニメなどの蓄積に影響を受けている場合が多いし、自分自身もそうだ。

そこで、自分でも今でも時々読み返していて、シナリオプランニングを本気で学びたいという人にはほぼ必ず薦めているマンガを2種類、紹介しよう。

ナウシカは映画を見たことがあるという人は多いと思うけど、映画を見た人も(見た人こそ)これを読んでほしい。映画よりもずっと深くて、重い。

火の鳥も有名だけど、きっちり読んだ人は意外と少ないかもしれない。全巻読む時間はないという人は(いつかは読んでほしいけど)、今の時代なら、未来編だけでも読んでみてほしい。

自分がこの2つをすすめるのは、ぶっ飛んだ空想物というわけではなく、「もしかすると、これ、本当に起こるかも…」と思わせるリアリティがあるからだ。

ナウシカの世界は、今日・明日というわけではないにしても、今の状態が今後しばらく続いていった先の地球はこうなってしまうんじゃないかというゾッとするような感じがあるし、火の鳥の未来編に至っては、いまの世界の状況やAIなどの技術活用が間違った方向に進んでしまうと、そう遠くない未来に起きてもおかしくない世界がある。

Oxfordでシナリオプランニングを教わったとき、「あなたたちが描くシナリオはplausibleなものでなくてはいけない」と何度も言われた。

plausibleを『ウィズダム英和辞典(第4版)』で調べると、

<話・議論などが> もっともらしい、まことしやかな

とのっている。

何度も言うように、シナリオプランニングは妄想ではない。描いたシナリオを材料として、自社の戦略やビジョンなどを考えるために使っていく。

そうすると「未来のことで、今の世界とはまったく違うけど、でも起きるかもしれない…」と思わせるような、まことしやかな(plausible)シナリオを描くことがとても重要になる。

そのために必要な想像力を、こういう優れた作品から学んでいくのは、とても意味がある。

仮にシナリオプランニングには興味はなくても、これらのマンガを読んで、以前に紹介したwhat if(もし、こうなったらどうする?)という視点で、自分のこと、仕事のことを考えてみるのも良いかもしれない。

■最後まで読んでいただき、ありがとうございました■

シナリオプランニングを学びたい・試してみたいという方は株式会社スタイリッシュ・アイデアのウェブサイトをぜひご覧ください。

Photo by Ben White on Unsplash

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