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焼きそば油そば米粉麺 ラーメン以外の中国麺麺麺!

昨年夏、私がオススメするの中国ラーメン10種を紹介したnote記事を掲載した。自分好みのチョイスなので当然だが、今見返してもどれもこれも美味しそうで、すぐにでも10軒はしごしたくなる。やることが年齢不相応で親や医者から叱られそうだ。


普段はどうなのかといえば、ラーメン以外の麺料理を食べることも多い。中国といえばラーメンのような気もするが、実際のところ焼きそばや油そばも種類が豊富で美味しく、前回の記事ではその魅力をほとんど紹介することができなかった。


見よ、この輝きとツヤ

焼きそばや油そば系は、超庶民的レストランの方が満足感の高い場合が多い。だが、輝きが足りないせいか日本のテレビや雑誌では紹介されることが少ない。油でテカテカしているのに輝きが足りない。今回はそんなラーメン以外の麺料理を10種紹介したいと思う。




たっぷりのエビと麺が油とニーハオ

1:虾仁拌面/茹でエビのまぜそば
蘇州式ラーメン店のまぜそば。とにかくシンプルで美味しい。焦がし葱に醤油を加えたタレが麺に絡まり箸が止まらない。豚肉ラーメンやエビラーメンなどの通常メニューは、注文時に言えばだいたいまぜそばに変更してもらえる。熱々スープに気兼ねすることなく、ズバズバと麺を口いっぱいに頬張りたい時には、拌麺にするのがオススメだ。中国語でこの「拌面(Bàn miàn/バンミェン)」は「拌=撹拌、混ぜる」「面=麺、小麦を練ったもの」となるので、「拌面」は日本語的に「まぜそば、油そば」となる。



ムキムキの手打ち麺焼きそば
50kgの牛骨からとる牛肉スープ麺が大人気

2:白切牛肉炒面/牛肉焼きそば
市場で営業している人気の牛骨スープラーメン店の焼きそば。一番人気はもちろん手打ちの牛肉ラーメンなのだが、その麺で作る焼きそばが地球で一番美味しい(個人の感想です)。卵と牛肉に大量の手打ち麺という重たそうな見た目だが、玉ねぎとつまみ菜のシャキシャキ感がとても良いアクセントになっており、むしろ軽い(個人の感想です)。自慢の牛骨スープもどんぶり一杯添えられるので安心だ。中国語で焼きそばは「炒面(Chǎo miàn/チャオミェン)」、炒める麺、そのままである。



見るからに優しいが画面中央の激辛ペーストで急に厳しくなる

3:桂林牛腩米粉/桂林牛スジ肉米粉麺
ぱっと見はラーメンだが、食べてみると全く違う。ツルツルとした米粉麺に、鶏や豚からとった超あっさりスープ。たっぷりのレタスが乗って見た目にもとても鮮やかである。具はチャーシューや牛スジ肉などさまざま。女性にも食べやすいヘルシー麺料理だが、パンチが足りない時は四川風スープに変更すると一気に凶暴さを増す。本場桂林では汁なしで食べるのが一般的らしいので、いつか現地で食べてみたい。



輝く平打ち麺
通常の太麺タイプもオススメ、注文時に麺の打ち方を選べる

4:兰州牛肉拌面/蘭州牛肉まぜそば
ここ数年日本でも人気の蘭州牛肉ラーメン、そのまぜそばタイプ。コシの強い手打ち麺をダイレクトに楽しみたい場合は、このまぜそばがオススメ。葱油が絡んでツヤツヤしている。注文時に麺の打ち方を指定できるので、今日は太麺、明日は平打ち麺というように変化をつけて飽きが来ない。香菜の有無も選択できるので、私のようなパクチー嫌いには大助かりだ。



どれも小ぶりで可愛らしい
武康大楼から道路を挟んで向かいのお店(写真右下)
中華中華した可愛らしい店内

5:墨鱼丸肉末拌面
双皮奶(水牛のミルクプリン)が有名な広東系スイーツのお店だが、麺や蒸し餃子も注文することができる。メニューはどれも小ぶりで、麺に餃子とミルクプリンを加えてもお腹にちょうど良い量だ。女性をランチに案内するにはぴったりのお店だが、したことがない。場所は上海のランドマーク「武康大楼」のすぐそばなので、観光がてら寄ってみても良いかもしれない。



麺3玉分ぐらいの大盤振る舞いだがスープの味は控え目

6:炒方便面/焼きインスタント麺
女性をランチにお連れするお店?男は黙って腹いっぱい食え!という硬派な番長にはこのザ・男の昼メシに相応しい焼きインスタント麺。濃い・多い・油っこいのトリプルコンボでジャンキーさだけなら優勝間違いなし。昼に食べると夜中まで腹が減らない。その反面、スープは味がしない、強いて言えば水味だ。



麺がど迫力

7:兰州刀削油阀面/蘭州刀削油そば
先程のような硬派までは求めていない裏番長にオススメなのが、ガツンとニンニクの効いた油そば。通常の麺とは違い、小麦粉のかたまりから削り出した刀削麺で、迫力のあるモチモチにきっと食べ応えも大満足。豆もやしや青梗菜の歯触りもしっかり効いている。



メニューは手鍋で提供され、店内は明るく清潔感もある

8:番茄牛肉手工粉/トマト牛肉手打ち米粉麺
濃厚トマトスープの平打ち手打ちの米粉麺。明るい店内とバリエーション豊かなメニューに加え、手鍋で出てくる面白さがSNS受けも良く、店内は若い世代のお客さんで賑わっている。だが、手鍋がくるくる回って実はちょっと食べづらい。



麺とボルシチという不思議な組み合わせ

9:麻酱面/胡麻ソース麺
醤油ダレに胡麻&ピーナッツソースを絡めただけの上海麺。上海の伝統的な麺は非常にシンプルなものが多い。ラー油をちょっとたらすと、甘みの中に辛さが引き立つ。路地の麺屋で出しているところも多く、上海旅行の際にはぜひチャレンジしてみてほしい。写真左上の罗宋汤(ボルシチ)も老上海の代表的なメニュー。なぜ中華料理にボルシチがと思うかもしれないが、詳しくは以前掲載した上海レトロ洋食の回をご覧いただきたい。



目玉焼き乗っけが上海流
辣肉麺大王、肉と麺のキングダムだ
趣しかない店内

10:辣肉干拌面/辛肉まぜそば
こちらも上海の庶民麺。辛く煮込んだ肉をザバッと麺にかけただけのスピードメニュー。注文から15秒で出てくる。柔らかめのシンプルな麺だが、この辛肉との相性はバッチリ。麺は16元(約288円)で荷包蛋は2元(約36円)、上海中心部の物価から考えると安い。荷包蛋(目玉焼き)を乗せるのが上海流の食べ方。上海旅行の際には荷包蛋(Hé bāo dàn/フーバオダン)という中国語を覚えておくこと。テストには出ない。




10種の麺はいかがだっただろうか。これらの麺は早い、安い、濃い、多い、美味いという庶民派メニューが多く、上海っ子が気取らずお腹を満たせる街の食堂なのだ。日本ではなかなか味わえないものばかりなので、上海旅行の際には1食ぐらい組み込んでみても面白いかもしれない。


ただ、こういった庶民店は都市開発や店主の老齢化などさまざまな要因で、突如としてその味が消えてしまう場合がある。



太麺に卵、豚肉、つまみ菜の伝統的な上海焼きそば

11:阿姨的炒面/おばちゃんの焼きそば
2001年の上海生活開始時にほぼ毎日通っていたおばちゃんの焼きそば。もちろん早い、安い、濃い、多い、美味いで5元(当時のレートで約75円)。おかげで5kgほど太ってしまったがやめられなかった。おばちゃんめ。

テレビだけ現代的たが他はそのまま

住宅の台所が客席となっており、白黒ブラウン管テレビに流れる反日映画を眺めながらよく焼きそばをすすっていた。2015年ごろに再訪した時にはカラー液晶テレビになっていたが、その他はほとんど変化がなく、このスペースだけ2001年のままだった。


焼きそば焼きめし担当のおばちゃんと、ワンタン担当のおじちゃん

夫婦で長く営んでいた焼きそば屋だったが、2021年訪問時には営業を行っておらず、台所の扉も閉ざされていた。近隣住人に聞いてみたところ数年前から閉店らしい。現在では在宅しているかどうかも分からない。閉店の理由は衛生管理による屋外調理が規制されたためか、近年の感染症に対する影響かは分からないが、またいつかおばちゃんの焼きそばに会える日が来ることを信じている。



以上、消えては生まれてを繰り返す星のような上海ローカル麺。星のようにテカテカ輝いているがあまり日本では紹介されない上海ローカル麺に、君は小宇宙を感じることができるか。もちろん小宇宙と書いてコスモだ。

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