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我思ふ Pt.134 過去の古傷18

↑の続き

結局どこかのサービスエリア(覚えてない)のトイレ休憩まで一睡もできず。
二時間か、三時間くらい暗闇での拷問を受けた記憶がある。
サービスエリアに到着したら速攻でまずは煙草に火を点け、そのマルボロを思い切り吸い込む。
マルボロの美味さたるや…。
その時私の頭に浮かんだ言葉…

『生還』

である。
いや、別に死んでねぇし。

でも確かに浮かんだのだ。
これはよぉく覚えている。

マルボロをいつもの倍以上の速度で吸い終えると、次はトイレだ。
人間水分を摂取しなくても尿は出るもんだ。
当たり前か。
血を絶えずに濾しているのだからな。
トイレが終われば、再び煙草だ。

私は煙草に火を点けて、携帯電話の時計を見る。
確か午前二時少し前だった気がする。

『仙台駅到着予定が午前六時…二時…に…ここを出たとして約四時間か…。』

私は煙草を吸い終え、乱暴に火を消すとバスへ戻った。

『さて、ここから…眠れるのか…。』

私が席に座り数分後、運転席と客席の仕切りカーテンが閉められ、バスは発車した。

結局眠れたのか眠れなかったのかははっきりとは覚えていない。
確か眠れていない…と思う。

知らんけど。



確か予定通り午前六時に仙台駅に到着した記憶がある。
バスを降りて、体を思い切り伸ばすとあちこちからバキバキと音がする。
ろくに寝ていないにも関わらず、覚醒状態で、目も体の音に負けじとバキバキだ。
いわゆる「ガンギマリ」という状態だ。

「仙台…ここが?宮城県…?そうか…俺仙台に来たんか…。」

私は独り言を吐いた。
そう、初の宮城県上陸だ。
仙台は都会だ。
私の生息域である県の県庁所在地と比べても都会に見える。

「ふぅん…こりゃすげぇや…とりあえず…路線図があるとこ探すかな。っと、その前に腹が減った…コーヒーも飲みてぇ…煙草も吸いてぇ…。そんな慌てなくてもいいよな。まだ七時前だ…。」

私はとりあえず自販機で温かい缶コーヒーを購入し、バス停のベンチに座った。
そして煙草に火を点けた。

断っておくが、二十数年前の事だ。
そこら中に灰皿が設置されているのだ。
各バス停、駅構内、ホーム、どこにでも灰皿があった。

喫煙者には良い時代だったな。

コーヒーが空きっ腹に染み渡る。
最高のコーヒーだ。
そしてコーヒーの余韻に浸りつつマルボロを吸い込む。
これまた最高の喫味だ。

煙草を辞めた今でも思う。

薄めで軽い感じのブラックコーヒーとマルボロ(赤)の相性は、最強であると。
ええぃ、もうコーヒーの商品名も出しちゃう。
赤マルと「ボスブラック」の組み合わせだ。
これを超える相性はあるまい。

あたしだいぶフィリップ・モリス社とサントリーに貢献したんじゃないかしら。


「美結…。会いに行くぞ。」

私は自分に言い聞かせるように呟いた。
言い聞かせなければいけない気がしたのだ。

さぁ目指すは山形県は○○町。

行こう。
美結に会いに。

続く

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