見出し画像

厨房と客席を連動させてますか?

宇宙一外食産業が好きな須田です。

あなたは元々ホール出身ですか?それともキッチン出身ですか?

飲食業を起業する方の多くは、飲食業の経験者です。
ホールの経験を積んでからか、厨房での経験をもとに起業します。
最近は異業種参入も増加傾向にあり、本業で大きな収益を上げているので、副業として飲食業に参入してくる方々もいらっしゃいます。

そういった場合でも、現場の担当者は当然飲食業の経験者を雇用して開業します。

飲食店は、ホール出身者とキッチン出身者ではお店の作り方、考え方が大きく分かれます。


通常私は、お店のレイアウトを考える時に、厨房の面積をどれぐらいにするのかを決めてから設計を開始します。
これは、当然借りている不動産の面積には限りがあるので、厨房面積と客席面積の比率を考える必要が有るからです。

機能性を考慮し、見映えを考量し、席効率を考慮して全体のレイアウトを決めていきます。
前提となるのは、ビル側の排水の本管が設置されている場所です。
設置場所が、店舗区画に対して良い場所なら問題ありませんが、悪い場所ならば厨房の設置場所に苦労します。
厨房は必ず排水が絡んでくるので、仮に排水管の設置場所が悪い場合は長い排水経路を確保する必要があるので、床上げの面積が多くなり投資がかさみます。

時々、居抜き物件で出会う物に、厨房の位置取りを間違えている物件があります。

厨房の設定位置が悪く業態を構築しにくい、入店したお客様の受け方が悪く、繁盛しなかったことが予想出来ます。
この原因は、排水管の位置に縛られて厨房の位置取りを間違えた結果、閉店に至ってしまいました。

それぐらい厨房の位置は重要となってきます。


席効率を考える時に、通常はホールの中だけで席の在り方を考えがちですが、そもそも来店したお客様からどの位置に厨房があると、お迎えする時の効果が高いかを考える必要があります。

これは入店した時に厨房のライブ感や本物感をどのようにお客様に瞬時にお伝えするのか、来店と同時に厨房からも声がかけやすいのか、お店からの無言のメッセージを伝えられるのか否かはとても重要になってきます。

現在はほぼ間違いなくオープンキッチンにすることが繁盛ポイントとなっています。


特に小規模なお店では、オープンキッチンにすることは重要な繁盛ポイントとなっています。


チキン南蛮発祥のお店が宮崎にありますが、そのお店の改装を担当した時の、改装プランの肝は厨房のライブ感の演出でした。

仕込みから、仕上げまで全工程をお客様にお見せする。

これを大きなテーマとして、厨房の在り方を構築していきました。


フリースタンディングの物件でしたが、駐車場からお店の玄関に至る導線に沿って厨房を設置して、その動線から厨房の中の様子を大きなガラス窓越しに見えるようにしました。
そして、入り口のドアを開けるとすぐ、ジューっと鶏を揚げている音が飛びこんできて、美味しそうな臭いを感じて頂けるように、強烈にシズル感を演出しました。

厨房機器とカウンターの高さを同じにして手元まで全て見せるようにしました。
油跳ね防止の耐熱ガラススクリーンをフライヤーの目の前に設置しましたが、そのフライヤーの前でお子さんが釘付けになり、鶏を揚げている様子を見ていました。

お客様にどのようなメッセージをお伝えするのかは、厨房の位置取りが非常に重要になってきます。


しかも、厨房は出来るだけコンパクトに設計する必要があります。

厨房面積が広がればそれだけ客席面積を狭める結果となり、席数と卓数の確保が悪くなり、席効率は下がってしまいます。

店舗オペレーションを考える時に、ホール出身かキッチン出身かでレイアウトに対する考え方に差が生じます。

キッチン出身者の考え方の傾向は、最大ピーク時に問題なくお店を回すことが出来るだけの機材とスペースの確保に注意が行き、ホール出身者の考え方の傾向は、満席になった時にいかに効率よくお店を回すための導線計画と、サービスのしやすさに注意が行きます。

どちらも目的はハッキリとしており、
ピーク時の最大効率化をテーマにしています。


お分かりのように、どちらの意見も最大限に飲み込んでお店を構築することは非常に困難な作業になります。

理由の一つに、厨房機器の選定基準を持っていないことが挙げられます。

特に、厨房機器は面積を多く取ってしまうので機器選定と用途の選択は重要になってきます。
1つの機器で複数の作業が出来て、機器そのものがコンパクトなものを選ぶこと、単一の作業しかできなくて大きな機材は効率を下げてしまいます。
その機材しか調理が出来ないものは変更が出来ませんが、本当にその機材でなければ調理が出来ないかを再検証することは大事な作業です。

フライヤーは本当に要るのか、揚げ鍋で対応出来ないのか、茹で麺機は本当に必要なのか、ガスコンロで茹で鍋で対応出来ないのか、麺料理専門店ならば茹で麺機の設置は文句ありませんが、メニューに麺がある業態で本当に茹で麺機の設置は必須なのかを検討してみます。
ガステーブルで対応出来ないのか、麺を冷凍麺にする等食材の見直しとメニューの見直しで、機器の選定を再構築することは重要です。

また、通路幅の再検討も大事です。
よく、厨房内の通路幅は人がすれ違うためには90㎝は必要とか、1mは無いとダメだとかの議論になります。
ですが、そもそものポジション取りとスタッフの配置を考えて、すれ違う必要が無い厨房レイアウトにするとこの課題は解決できます。

また、収納力も大事になりますので縦の空間を上手く使って、皿の収納を確保します。
皿を取りに行くために、何歩か歩くような厨房は効率が悪いと言えます。

厨房をコンパクトにすることで、客席面積を最大化出来ます。


売上を構築する上で客数の確保と卓数の確保は非常に重要となりますが、厨房面積の大きさが客数卓数の確保を阻害している場合が多いです。

さて、厨房と客席の接点は商品の出し下げの箇所となります。


一般的には商品の出し口と下げ口ですが、ドリンクステーションを設ける場合はドリンクの提供と空いたグラスの下げの箇所も増えます。

この商品の出し口をどこに設けるかで席効率は変わってきます。


私は通常出し口から常に客席が見渡せること、スタッフがパントリーに隠れてしまわないことを考慮するようにします。

これは、常にお客様の要求に素早く反応するためと、スタッフを最大限に戦力化することを目的に商品提供の位置を設定します。

商品提供をどの位置にするかで、メインとなるサービス導線が決まってきます。

メインのサービス導線を軸にして、ラウンドさせるのか、枝分かれさせるのかの選択をしてホールを構築していきます。

勿論ゾーニング理論と席効率の理論を取り入れながら。



席のレイアウトは、幾つかのパターンがあります。

席の一方をソファー席にして、テーブルを横スライドすることで組人数に対応できる席、テーブルと椅子だけで構築して、テーブルの向きも合わせる台数も自由にできる席、対面のBOX席、4名テーブルを2台横並びにして、センターにパーテーションや簾などで区切り、4名でも8名でも利用できるような席、そしてカウンター席などいくつかのパターンがあります。
そのパターンの組み合わせで、座りたくなる席、お客様のモチベーションにあった席をレイアウトしてきます。

座りたくなる席を複数設定することは、繁盛ポイントの一つです。

逆に言うと、座りたくなる席が無いお店は、繁盛しません。


テーブルサイズの選定を間違えると席効率も坪効率も下がってしまいます。


テーブルサイズもさまざまで、これは商品との関係が選定の基準となります。

一度に何皿テーブルに乗せるのか、皿の大きさはどの程度かがテーブルサイズを決めるポイントになります。

この一度にテーブルに乗せる皿数を決めていないお店を、沢山見かけます。

一度に何皿乗せるかを決めておくと、お客様が商品を消費する時間をコントロール出来ますし、商品を作るタイミングもコントロールしやすくなります。

あなたは時々、商品が次々と運ばれて来てテーブルに乗らないという体験をしたことは有りませんか?
この現象がおきる理由は、テーブルに商品を何皿置くのかを決めていないからと、テーブルの状況を厨房に伝えていないこと、厨房から客席が見えないレイアウトになっているからです。

過去にチェーン展開しているカフェのテーブルサイズを小さくしたことがありました。
その結果、全店で最も坪当たり席数を確保出来ましたが、月商も坪効率でトップとなりました。

又、厨房から上がってきた商品をいち早く客席に届けるためにはサービス導線の構築も大事ですが、商品を提供する際のテーブルとの関係も大事になります。

サービス導線に対して、テーブルの小口が向いていれば商品はスムーズに提供が出来ます。
お客様の背中越しに商品を提供する場合は、テーブルのサイドに身体を入れて提供をしますが、テーブルとテーブルの間隔をどの程度の空きスペースを設定するかも大事になります。

2名テーブル2台を付けて4名席を作り、隣に同じ組み合わせがあるとします。
その組み合わせのテーブルが4セットあるとすると、中央にあるテーブルの間隔は極力狭くしてサービスとお客様の出入りの位置を限定してしまいます。

これによって、サービスを行う際の位置を限定して、スタッフの作業動線を限定させて無駄な動きを無くし、お客様もどこから商品が提供されるかがわかるので、テーブルを扱いやすくもなります。
誰がどこに座るかも、瞬時に理解出来ます。

時々すぐに着席出来ないお客様を見かけますが、この考え方が無いので、どこが上座でどこがサービスに近い席なのかが判断できない為に、着席出来ないでいます。

感覚的に瞬時にお客様に理解して頂くことは効率的にも重要です。

厨房の位置取りは最も重要な要素であり、厨房をどのように見せて、どのように扱うかで繁盛するか否かは左右されます。


厨房と客席の連動によって、導線もテーブルの扱い方も変わってきます。

厨房の存在は席効率に大きな影響を及ぼします。
そこを良く理解したうえで店舗レイアウトは検証する必要が有ります。

明日はこの厨房の広さを優先してしまう原因について、更に深く掘り下げていきます。


【無料セミナー】飲食店開業、失敗しないために絶対やってはいけない50の法則 @東京/目黒

世に溢れている飲食店開業の本には、たまたま成功した事例はたくさん書いてあっても、やってはいけないことは全く書かれていなかった。
成功するためのノウハウを学んだつもりでも、“やってはいけないこと”を知らず知らずのウチにやってしまっていることで待ち受けている結果は…。
飲食店経営にあたりやってはいけない「50の法則」について、失敗の実例とその原因、具体的な解決策とともにご紹介します。

セミナー詳細&お申し込みはこちらから↓



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?