楽太郎

主にマンション・公共施設などの共用部の床清掃をメインにしている清掃会社で働いております…

楽太郎

主にマンション・公共施設などの共用部の床清掃をメインにしている清掃会社で働いております。 23年間ぱちんこ業界人として生計を立て、ホール職域を離れたいまはホールさんの営業を支援したり、様々な業界内企業さん・業界人の方々と関わりを持ちながらコンテンツ制作のお手伝いなどを実施中です。

記事一覧

Encounter in the sky

ヴァルター・ベンヤミンは『複製技術時代の芸術作品』において、時間と空間とが織り成した独特で一回性の現象が纏う雰囲気や存在感を〈アウラ〉と表現している。 それは仮…

楽太郎
3か月前

学生運動終末期に大学生だった父親のことを想う

私の父親は、都内の大学構内で”学生運動”が展開されていたのを経験した最後の世代だ。 本人曰く、勉強するために大学に入ったのにガタガタドンパチやっていたのでとにか…

楽太郎
3か月前
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異物が宝石へと変わる場所に

エリザベス女王国葬のとき、キャサリン皇太子妃が身に着けた四連真珠のネックレスが話題になった。あれはかつて天皇家の御用達ブランドだったことでも名高いミキモト製との…

楽太郎
3か月前

イグアナの孤独

社会と折り合いを付けることが困難で生き辛さを感じている人というのはいつの時代も沢山居るわけだが、それは貧/富、後進/先進、地方/都市といった対比が色濃く反映される…

楽太郎
3か月前
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ビリヤード、サトウキビ、氷室京介

夜中にひとり資料整理や書き物をしていると、だいたいは1~2時間くらいでちょっと休みたくなりその際”心の琴線に触れる”ような音楽を聴きたくなるものである。 それは…

楽太郎
3か月前

できれば地下のジャズ喫茶で

高校時代の私の愛読書は、上下二巻のハードカバー仕立てになっていてクリスマスカラーが印象的な、あの『ノルウェイの森』だった。 同じ陸上部の田中君から薦められて読ん…

楽太郎
3か月前
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フレンチブルドッグは歩けない

私は内縁の相方と、ブリンドルのフレンチブルドッグと一緒に暮らしていた。 ブリンドルという世間的にはいまひとつ聞き慣れないワードは同犬種のオーソドックスな毛色であ…

楽太郎
3か月前
3

冒険ニーチャンは海へ

今回は、私が昔多かれ少なかれ関わって、記憶の中の何丁目何番地かの一角をいまだに陣取っていてなかなか出て行ってくれない一人の男のことを書いてみようかと思う。 その…

楽太郎
3か月前

「お前なら、気付くのか?」

大学生だった私が都内の某ホールにてアルバイトに勤しんでいた頃だから、おそらくは2000年前後のことだと思う。 Web検索しても出て来ないので記憶の限り書いていくが、静…

楽太郎
3か月前
1

冬暁にnote開設

先月下旬から都内では一気に冷え込み日中8℃前後の外気温になる日も多く、それに加えての強風だから文字通り身を切るような寒さに参っている人も多いことと思う。 特に東…

楽太郎
3か月前
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Encounter in the sky

Encounter in the sky

ヴァルター・ベンヤミンは『複製技術時代の芸術作品』において、時間と空間とが織り成した独特で一回性の現象が纏う雰囲気や存在感を〈アウラ〉と表現している。

それは仮に何かが模倣され今ここにあったとしても、実はオリジナルの本質を備えてはいないのだと解釈できるが、これは単に本物にはアウラが在るが複製には無いということではなく、複製が当たり前になっている・ありふれている世の中にあってはアウラという概念その

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学生運動終末期に大学生だった父親のことを想う

学生運動終末期に大学生だった父親のことを想う

私の父親は、都内の大学構内で”学生運動”が展開されていたのを経験した最後の世代だ。

本人曰く、勉強するために大学に入ったのにガタガタドンパチやっていたのでとにかく頭に来た、とのことだった。

機械の構造や内燃機関などに興味があったので理工学部に進学して、できれば自動車メーカーにでも入社したかったのだろうが、姉が三人で男が自分一人という家族構成だったこともあり両親から家督相続の必要性を説かれ、不満

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異物が宝石へと変わる場所に

異物が宝石へと変わる場所に

エリザベス女王国葬のとき、キャサリン皇太子妃が身に着けた四連真珠のネックレスが話題になった。あれはかつて天皇家の御用達ブランドだったことでも名高いミキモト製とのこと。

私は長らく、ぱちんこ業界団体がどうの組合の申し合わせがどうのと話題にしてきたが。ミキモト創業者である御木本幸吉は1932年(昭和7年)日本養殖真珠水産組合を設立し、初代組合長に就任している。

当時は財閥をはじめ横浜・横須賀などの

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イグアナの孤独

イグアナの孤独

社会と折り合いを付けることが困難で生き辛さを感じている人というのはいつの時代も沢山居るわけだが、それは貧/富、後進/先進、地方/都市といった対比が色濃く反映されるような場面で時に残酷なほどの様相を呈する。

誰からも顧みられず愛されたこともなく常に疎外されているように感じている、そのため自分という存在を自分自身が認められない、そういった文字通り独りぼっちの個人は、自死を選んだり、自暴自棄の結果とし

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ビリヤード、サトウキビ、氷室京介

ビリヤード、サトウキビ、氷室京介

夜中にひとり資料整理や書き物をしていると、だいたいは1~2時間くらいでちょっと休みたくなりその際”心の琴線に触れる”ような音楽を聴きたくなるものである。

それは生まれ故郷の山形県酒田市で過ごしていた高校生の頃にCD・MDウォークマンのイヤホンから流れて来て、うまく説明するのは難しいのだけれど「毎日なんだかつまらないな」「ダルいな」などと思って過ごしている自分に自転車のペダルを強く・速く漕ぐための

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できれば地下のジャズ喫茶で

できれば地下のジャズ喫茶で

高校時代の私の愛読書は、上下二巻のハードカバー仕立てになっていてクリスマスカラーが印象的な、あの『ノルウェイの森』だった。

同じ陸上部の田中君から薦められて読んだのだが、大学に入ってからも折に触れページをめくり、ちょうど主人公の〈ワタナベ〉が自分は多読ではなく気に入った本を何度も読み返すタイプで『グレート・ギャツビー』を最高の小説だと言っていたように、気付いたら印象的なフレーズをちょっと長めのも

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フレンチブルドッグは歩けない

フレンチブルドッグは歩けない

私は内縁の相方と、ブリンドルのフレンチブルドッグと一緒に暮らしていた。

ブリンドルという世間的にはいまひとつ聞き慣れないワードは同犬種のオーソドックスな毛色である「黒地に別の差し色が入った毛色」のことを指しており、彼女の場合はビロードのような光沢がある黒に落ち着いた茶色が少しだけ混じっていた。ブリンドルには遺伝子的に身体が丈夫な個体が多いのが特徴で、優性色という位置付けがされているとのことだった

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冒険ニーチャンは海へ

冒険ニーチャンは海へ

今回は、私が昔多かれ少なかれ関わって、記憶の中の何丁目何番地かの一角をいまだに陣取っていてなかなか出て行ってくれない一人の男のことを書いてみようかと思う。

その男は、まあ本名など知らないので当時の勤務ホール内での渾名なのだが、“冒険ニーチャン”と呼ばれていた男の話である。

どの業種店舗でも、外見や仕草などにちょっとしたクセがある常連客には渾名が付くわけだが、パチ屋は社会における印象を良くするこ

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「お前なら、気付くのか?」

「お前なら、気付くのか?」

大学生だった私が都内の某ホールにてアルバイトに勤しんでいた頃だから、おそらくは2000年前後のことだと思う。

Web検索しても出て来ないので記憶の限り書いていくが、静岡県熱海市のホールにて、暴力団員の男がスロットコーナーの過半数の台の下皿に数枚ずつメダルを置き、これらは全て自分が確保している台だ、文句があるならいつでもかかってこいと威嚇した上で、店から退出する交換条件としていわゆる“みかじめ料”

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冬暁にnote開設

冬暁にnote開設

先月下旬から都内では一気に冷え込み日中8℃前後の外気温になる日も多く、それに加えての強風だから文字通り身を切るような寒さに参っている人も多いことと思う。

特に東京湾に面したいわゆる湾岸エリアや隅田川・荒川・石神井川・善福寺川などの川縁界隈では、水面の上を撫でた風が吹き通るためより一層寒さが際立って感じられる。

東京に移り住んで26年になるが2月中旬に曇天から舞い来る雪を見上げた記憶がたくさんあ

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