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#139AIに古文書は読めるのか? 続報
#043 「AIに古文書は読めるのか?」において、古文書判読アプリ「みを」の使用感をレポートしましたが、今回は新たなソフトが頒布されたので、そのレポートを書いてみたい…
#139AIに古文書は読めるのか? 続報
#043 「AIに古文書は読めるのか?」において、古文書判読アプリ「みを」の使用感をレポートしましたが、今回は新たなソフトが頒布されたので、そのレポートを書いてみたいと思います。前回については下記のリンクからご参照ください。
今回使用した新たに頒布されたアプリは「古文書カメラ ふみのは」というものです。トッパンの開発、提供しているアプリになります。
前回「みを」で使用した史料の同じ写真で実
農業関係のデータベースを楽しむ
著者は下手の横好きで、いろいろな分野の研究、執筆を行っています。それも学芸員が「雑芸員」と言われるゆえんでもあるのですが、担当したテーマでの展示やレファレンスに対応をすることで、必要に応じてさまざまな分野について調査、研究をすることになります。短期間でその分野について調査をして成果を挙げることが求められるため、如何に様々なツールにアクセスできるかが勝負になると言えるでしょう。今回はそのような少し
もっとみる#164国立公文書館デジタルアーカイブを楽しむ(2)
前回に引き続き、国立公文書館デジタルアーカイブについて紹介します。
前回は「公家系図」が包括的に公家のことを調べることが出来る史料である旨を記しました。今回は「府県史料」について述べたいと思います。
「府県史料」は明治前期の各府県で作成された文書で、近世の各地域でどのように藩から府県に引き継がれたかなどを記した史料です。国立国会図書館憲政資料室の史料紹介によると、太政官正院歴史課の編纂で、
#163国立公文書館デジタルアーカイブを楽しむ(1)
昨年度まで、自治体史執筆の仕事を引き受けておりましたが、無事刊行され、次いで別件の余業を昨年から引き受けています。基本的に近代地域社会史を中心に研究していますが、たまにちょっと守備範囲外の仕事の依頼もあります。ただ、守備範囲外とはいえ、興味関心があればお引き受けしており、それが仕事の幅になって言っているのではないかと思っています。
さて、今回はその余業で調べものをしていた時のお話です。
最
#162いきものコレクションアプリ「Biome(バイオーム)」も使ってみた(2)
前回の「#161いきものコレクションアプリ「Biome(バイオーム)」も使ってみた(1)」では動植物の判別ソフト「バイオーム」を使って、実際に植物の判別を試みてみました。
今回はさらにこのソフトの特徴がどのようになっているかを実際に触ってみた感触を記したいと思います。
次にちょっと意地の悪い使用の仕方をしみてましょう。次に挙げる写真は、ヤブツバキとヒサカキが混植されている(混在して植えられ
#161いきものコレクションアプリ「Biome(バイオーム)」も使ってみた(1)
これまでに「#043AIに古文書は読めるのか?」、「#046どうすれば古文書が読めるようになるのかー続・AIに古文書は読めるのか?」、「#048くずし字判読AIはどのように作られているのか?ー続々AIに古文書は読めるのか?」、「#139AIに古文書は読めるのか? 続報」、「#140”みを”対”ふみのは”ーAI頂上決戦?!ー」、と何度か古文書判読ソフトについて述べましたが、AIで判別するソフトとい
もっとみる#160Important study achievements_010”The Election of High Taxpayers to the House of Lords and Early Parliaments: Osaka Prefecture as an Example”
先日、『史学雑誌 2022年の歴史学会 回顧と展望』を何気なしに見ていると、二〇二二年三月に刊行されました拙稿について紹介されていました。近年の『史学雑誌 2022年の歴史学会 回顧と展望』は、内容の良し悪しよりも網羅主義になっていると聞きます。研究史を考える上で、インターネットの普及に伴って、広く情報を集めることが可能となり、著名な学術雑誌だけでなく、地方の資料館の紀要などに掲載されているもの
もっとみる#159江戸時代の贈答品-どんな食べ物を贈っていたか
普段、調査の際に史料を読んでいると、つい食べ物の名前が出てくると気になってしまいます。史料の中で食べ物の名前が出てくる場合は、おおむね飲食費の支払いなどの際か、贈答品の場合が多いように思います。今回は史料の中で出てきた贈答品についてみていきたいと思います。何度も引用しておりますが、「#055武士と百姓の友情はあり得るか?-食と歴史にまつわる、あれこれ」において登場している、浜松藩の岡村黙之助につ
もっとみる#158戦争と食事-銃後の生活で食べられていたもの
「#129戦時下の生活と”普通の人々”」において、こうの史代「この世界の片隅で」を見たという話を書きました。普段から史料を見ている者としては、劇的な出来事などない「普通の人々」のことを史料で読むことの方が多いため、いわゆる戦争ものの映画のような劇的な出来事が起こるようなことより、こうの史代の描いた世界観の方がむしろ当たり前であるので、特に目立った感動は覚えなかった旨を記しました。この漫画原作およ
もっとみる#157どうやって金を借りるのか?ー大名貸しの不思議(二)
領主がどのようにして地域住民からお金を借りていたのかについて、引続き考えていきます。
先の例では、自分の居住地域の領主からの金策に対応している様子を紹介しました。自分たちの領主ではない場合、一応の利害関係はないため、金策に応じなかったために後に不利益を被るというということはないはずなので、わざわざ金策に応じる必要というのは無いように思われるため、今回は居住地域外の領主の金策についてアプローチし
#156どうやって金を借りるのか?ー大名貸しの不思議(一)
どうやって金を借りるのか、について、最近考えています。
もちろん著者の金策の話ではありません。史料調査をしていると、各庄屋の家から領主層へお金を貸しているケースが散見されます。その場合、概ね返済はされず、苗字、帯刀などの権利が認められるという、特権、名誉を付与することで返済の代替にされることが多いように見受けられます。
ここまで見ると、領主からお金の無心をされれば、領民からすると出さざるを得
#154飲食物の名前の起源
先日、ふと、「フェリシテ・ド・ラムネー」という言葉が頭をよぎりました。何だか気になって、少し記憶をたどっていると、どうやら高校時代の現代国語で習った文章であったような気がしました。インターネットで「フェリシテ・ド・ラムネー」と検索すると、下記のリンクにあたりました。
坂口安吾「ラムネ氏のこと」という作品で、高校の現代国語の授業で読んだものだったようです。青空文庫で無料で読めるので、久しぶりに
#153おばあちゃんからもらったおやつについて
以前に「#138菓子の名は…」の回で「奉天」という菓子がかりんとうの一種であることを初めて知った、ということを記しました。奉天やかりんとうは筆者個人の思い出としては、子どものころに祖母を訪ねた時にもらったおやつ、という印象があります。これらと共に、もう一つ、祖母からもらった菓子に「ハクセンコウ」というものがあります。
この「ハクセンコウ」、砂糖を固めたの菓子で、甘いけれども、食べると口の中の
#152”貧乏くさい食べ物”の歴史
どこの地方でも同じかもしれませんが、郷土の味というのがあり、その土地の出身者には大事なもの、郷愁を感じるものだと言えるでしょう。その味は、出身地を離れると非常に恋しかったり、あるいは他郷の人にけなされるとむっとされることが多いのではないでしょうか。
著者の周りに、職場の元同僚や、大学の先輩で愛媛出身の人が幾人かいます。愛媛出身の元同僚は、日頃から料理に松山揚げを使っていました。松山揚げは一般的