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学校に行かないという選択。「感じる数学と紅茶と、雨のキャンプ。④」

この「感じるシリーズ」(勝手にシリーズ化)、いつまで続くのだろう?と書いている本人も書きながら思っております・・・。もうしばらくお付き合いいただければ嬉しいです。


無事にワークショップに参加するまでの経緯はこちらから。


この日は、ワークショップとは別に展示されいてる体験展示があり、カオス理論であるとか、確率の理論であるとか、最速滑り台の理論などが、手作りの模型などの展示となっていた。時間制で解説ツアーも組まれていたが、子どもたちのワークショップと重なっていたので申し込むことが出来なかった。

長男と二男がワークショップに参加している間に、末娘と社屋内をお散歩しながら、体験展示を見てみる。

解説ツアーには参加出来なかったので、自分で展示パネルを読んでみようと思っていると、すーっと人が近寄ってくる気配がする。視線を上げると、解説ツアーを担当している方が、私の見ていたパネルや模型などの説明を丁寧にし始めてくださった。どのコーナーへ行っても、どなたかが静かに近くに来て、説明をしてくださる。

正直に言えば、今まで数学が好きだと思ったことがなかった。
最も不得意な分野だと思ってきた。

でも、説明を聞いていると、カオスの発見も、二重振り子も、数学を使って計算された放熱装置も、単なる数式ではなく、アート性を含んでいたり、人間の関係性に深く関わっていると感じる。

今、暮らしている日常でも、関係性が一対一であれば、スムーズなのに、もうひとり加わると、その関係性はまた違うものとなり、予測のつかない動きになる。これが数学的にも証明されていることに驚く。


そして、「何百年も研究を続けた結果、わからないことが発見されたんです!」という解説を聞いた時、私の思っていた〈数学〉とは、まったく違う世界が広がっていることに驚いた。

〈数学とは、ひとつの答えが必ずあるもの〉

私は、ずっとそう思っていたから。

どなたの解説を聞いても、とてもわかりやすく、数学とは、数式だけのことではなく、生きることの学問であるのかもしれないと思えてくる。

〈数学が好きでたまらない。〉

生き生きと解説してくださる方々を見ていて、そんな静かな情熱が感じられた。誰一人として、「数学が好きなんです。」と口にすることはないのに、好きでたまらないという熱が伝わる。その熱に触れる事ができたとき、私の心は喜びを感じる。

「数学の研究をしようと思うと、かならず、過去に遡らなくてはならなくなります。過去の数学者の研究をまず研究する必要が出てきます。数学は、歴史の学問でもあるんです。」


高校生の頃、世界史の授業が好きだった。

世界史の先生は、江戸っ子で、まるで小噺でもするかのように、教科書には載っていない、歴史上の人物の裏話のようなものに授業の大半を費やしていた。その時代に生きていた人々の人となりを感じ、その時代に起きた出来事に想いを馳せた時、時間という流れが、網目のように広がり、何処かでそれぞれが繋がり、線を辿りながら、現代の私たちの暮らしに繋がっていることが、不思議であり、面白いなと思った。

数学という世界にも、その感覚を見た気がした。

そして、やはり学びとは、国語、数学、社会、理科と分けられるものではない気がした。

便宜上、分けて考えることがわかりやすいとか、教えやすいとか、そういったこともあるだろう。

でも、学びとは、どこかで繋がっていて、ひとつ、なのだろう。

それは身体にも似ていて、身体の各器官が集まり、互いに補い合い、ひとつの身体として機能している。

どれかひとつが欠けても、何かしらの不都合が生じる。

生物学者・福岡伸一さんの著書のタイトル、
「世界は分けてもわからない」がふと思い浮かぶ。


子どもたちは、講師のお話の中で、「ピタゴラスは、自分よりも新しい発見した弟子を海に沈めたらしい。」という話を伺ったようで、「ピタゴラスの弟子にはなりたくないよね・・・」と、しみじみと話していた。

その話題から、ピタゴラスの生きていた時代の師弟関係や、時代背景や彼をとりまく環境に興味を持てば、そこから新たな学びの扉が開くのかもしれない。

「ガリレイからポレアンカまで 感じる数学」

このタイトルの元、子どもたちは、現代の数学に繋がる研究をしてきた人の人生に触れたのではないだろうか。

数学の世界も、人間の世界であるから、色々あったのだろうし、あるのだろう。

数学は、すべてを数式で表す学問。

そう思っていたけれど、数学を感じると、決してそれだけではない、ということを感じる。

わからないということが、わかる。

それも数学。

学びとは、自ら学びたい、感じたい、と思う限り、何処までも広がり、繋がっていく。

自分の中で広がっていく心地よさを、いくつになっても感じていたい。


続く。



「今は難しいかもしれないけど、もう少し数学がわかるようになったら読んでみたいから」という長男の希望で、ワークショップ会場で販売していたこちらの書籍を購入しました。



数学が苦手な私には、難しい部分もありそうですが、物語を読むようにゆっくり感じながら、目を通していこうと思います。

展示では、一つの物語を紡ぎました。本書の目的は、この物語をやさしく紹介し、筆者たちを感動させてきた(今も感動させている)数学の魅力を伝えることです。本書を通して無色透明な数学が見えるものとして、感じられるようになれば幸いです。

感じる数学・まえがきより


今回のワークショップを開催してくださった「数学みえる化プロジェクト」のHPはこちら。体験展示の説明をしてくださっている動画もあります!



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