サルコペニア筋とミトコンドリア
📖 文献情報 と 抄録和訳
サルコペニアにおけるミトコンドリアの関与
[レビュー概要] サルコペニアは、骨格筋量と骨格筋機能の低下を加速させ、加齢や疾病に関連したフレイルの一因となるため、世界中の何百万人もの人々のQOLを低下させている。サルコペニアの治療法として証明されているのは身体活動だけであるが、運動ができない人がこの進行性の筋障害を管理するための代替療法が切望されている。ミトコンドリアはサルコペニアの病因に広く関与しており、骨格筋萎縮の根底にあるタンパク質合成と分解の間の動揺したバランスを回復させるのに役立つ魅力的な治療標的であることがますます示唆されている。現在の文献をレビューすると、サルコペニアにおけるミトコンドリアの生体エネルギーの変化は、一般に、筋細胞がタンパク質合成に必要なATPを十分に作れなくなる内在筋の機能障害と解釈されている。しかし、治療介入によるミトコンドリア効果の報告に基づいて、我々は、観察された生体エネルギーの変化は、代わりに、サルコペニア筋における病的に減少したエネルギー消費への適応を反映している可能性があると主張する。サルコペニアの管理を改善するためには、これらの機序の可能性を区別することが重要である。
■ サルコペニア筋におけるミトコンドリアの変化
・加齢に伴う骨格筋量と機能の低下は、活性酸素種(ROS)の産生増加、酸化的リン酸化、ミトコンドリア生合成、マイトファジーの低下、酸化還元シグナル伝達の不調によって特徴づけられる。
■ サルコペニア筋に対する介入の効果
・運動はミトコンドリアの品質管理を改善し、少なくとも部分的には酸化ストレスの減衰を通じて、酸化的リン酸化の能力と効率の両方を増加させる。
・いくつかの栄養補助食品には抗酸化物質が含まれており、分岐鎖アミノ酸、特にロイシンは、エネルギー要求性の同化刺激を通じてプロテオスタシスを改善する可能性がある。
・ミトコンドリアは治療標的として示唆されている。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
これまでも、ミトコンドリアについてはいくつかの文献抄読をしてきた。
ミトコンドリアと運動。
ミトコンドリアは速筋線維を育む場である。
アスリートのミトコンドリア。
その中で、ミトコンドリアというミクロな仕組みの奥深さに思いを馳せた。
そして、今回、高齢者の「サルコペニア」筋におけるミトコンドリアの関連、という興味深い論文。
約200の文献と美しい図によって、解説してくれている。
サルコペニアは、毎日の臨床で多く出会うので、その理解を深めることをは重要だと思う。
サルコペニア筋のミトコンドリアについて知りたいときは、この論文に立ち戻ってこよう。
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