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椎体骨折の保存療法。国際的コンセンサス

📖 文献情報 と 抄録和訳

骨粗鬆症性椎体骨折の非薬理学的および非外科的管理に関する国際的コンセンサス

📕Ponzano, Matteo, et al. "International consensus on the non-pharmacological and non-surgical management of osteoporotic vertebral fractures." Osteoporosis International (2023): 1-10. https://doi.org/10.1007/s00198-023-06688-9
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[背景・目的] 要約/理由我々は、骨粗鬆症性椎体骨折の非薬理学的および非外科的管理における知識のギャップを明らかにした。主な結果この国際的なコンセンサスプロセスにより、急性および慢性の椎体骨折患者に対する疼痛、栄養、安全な運動、および運動に関する集学的な生物心理社会学的推奨が確立された。意義:これらの推奨は、臨床実践の指針となり、今後の研究のための介入に役立つであろう。目的:骨粗鬆症性椎体骨折の非薬理学的および非外科的管理に関する推奨について国際的なコンセンサスを確立すること。

[方法] (1)文献検索と内容分析、(2)調査票の作成、(3)専門家パネルの選定、(4)評価プロセスの第一ラウンド、(5)評価プロセスの第二ラウンド。第1ラウンドには49の記述と8つの自由形式の質問が含まれ、第2ラウンドには30の記述が含まれた。パネリストは、各ステートメントへの同意を9点満点で評価するよう求められた。各ステートメントのコンセンサスは、評価が中央値を含む3ポイント圏外であったパネリストの数をカウントすることによって決定された。

[結果] 医学、理学療法、運動学の学位を有し、骨粗鬆症性椎体の管理経験のある76名の専門家を招き、第1ラウンドには31名(41%)、第2ラウンドには27名(36%)の専門家が参加に同意した。第1ラウンドと第2ラウンド後の平均合意率は、それぞれ76.6%±16.0%と90.7%±6.5%であった。急性および慢性の椎体骨折患者に対する疼痛、早期満腹感、減量、装具、安全な動作、運動に関する推奨についてコンセンサスが得られた。

[結論] われわれの国際的なコンセンサスは、骨粗鬆症性椎体骨折の管理を導き、将来の研究のための介入に情報を提供するための、学際的な生物心理社会的推奨を提供するものである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

以前の文献抄読において、椎体骨折の安静期間をテーマとしたものを扱った。

その際には、以下のような考察を行った。

■ 安静期間3日間の場合
・合言葉は「多少潰れても、問題ない」
・安静期間を長くとった場合より圧壊は進みやすい(Cho et al.の場合3日間と7日間で違いないので更なる検証は必要)
・廃用リスクは小さく、在院日数が短い(金銭コスト低い)などメリットが大きい
■ 安静期間14日間の場合
・合言葉は「潰さないでしっかり治す」
・安静期間を長くとった場合圧壊は有意に進みにくい
・その分、大きな廃用リスク、在院日数が長いというデメリット

これまでの臨床経験において、この安静期間の判断やコルセット使用に関する判断は、その医師の信念によるところも大きいと感じてきた。
だが、そうなると患者さんには、質の不均一な治療が提供されることになる(完全に一致することは難しいのだろうが)。
今回抄読したようなコンセンサス論文は、その部分に一石を投じ、世界的に共通の見解を作り出すことの一助になると思われる。

そして、その中でも特に目を引いたのは、『装具(テーピング、硬性装具、動的装具、軟性装具など)は推奨されない』であった。
装具を使用することに対しては、実はエビデンスが不均一で、しっかりとした結論を出せていないらしい。
「コルセットをつけて、そこから離床」というのが常識として、信念として、僕たちの中に凝り固まっている。
当たり前を疑うということは、大切なことだ。

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