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ノセボ効果。プラシーボ効果の兄弟

📖 文献情報 と 抄録和訳

プラシーボの見えない兄弟:ノセボ効果に関する生物医学文献の限定的スコープレビュー

📕Sweeney, Owen, et al. "Placebo's invisible brother: a restricted scoping review of biomedical literature on the nocebo effect." Pain (2022). https://doi.org/10.1097/j.pain.0000000000002629
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Not applicable

📗 ノセボ効果 (Nocebo effects)に関するミニレビュー
・ノセボ効果とは、治療に対する患者の否定的な期待によって、治療がそうでない場合よりも否定的な効果をもたらす場合に起こると言われている(📕Barber, 1961 >>> doi.; 📕Barber, 1968 >>> doi.)。
・例えば、患者が薬の副作用を予測した場合、その「薬」が実際には不活性物質であってもその効果が経験される(📕Barber, 1961 >>> doi.)
・補完概念としてプラセボ効果があり、これは、ポジティブな期待によって結果が向上する場合に発生すると言われている。
・また、毒物や電磁波などの有害と思われる物理現象にさらされたと誤って思い込んで体調を崩す場合にも、この効果が現れると言われている(📕Barrett, 1970 >>> doi.)。

🌍 参考サイト >>> site.

[背景・目的] プラシーボとその有益な臨床的・心理的効果はよく研究されているが、ノセボ効果は非常に好ましくないにもかかわらず、あまり注目されていない。この限定的なスコープレビューの目的は、ノセボ効果が生物医学の文献でどのように表現されているかを調べ、既存の知識における傾向とギャップを特定することであった。

[方法-結果] ノセボ効果または負のプラセボ効果に関する論文を5つの生物医学データベースと2つの臨床試験登録(その開始から2020年12月23日まで)で検索した結果、1161の適格な出版物が同定された。主な論文の種類は、非系統的レビュー(37.7%)と一次研究(35.6%)の2つで、系統的レビューとメタアナリシスは85報(7.3%)のみであった。非系統的レビューは、その多くが意見に基づくものであり、ノセボ効果に関する物語、態度、信念の増幅に寄与し、主要な研究を客観的に反映していない可能性がある。主要な研究論文は、調査中の主要な現象としてではなく、結果を説明するためにノセボ効果を使用することが多かった。ほとんどの出版物は、ノシーボ効果だけでなく、ポジティブとネガティブの両方のプラシーボ効果に関係していた。抄録の半数以上が神経学、精神医学、心理学、神経科学の分野であった(52.8%)。ノセボ効果は、痛みとの関連で最も多く研究されていた。研究対象はほぼ成人であり、患者よりも健康な被験者を対象とした研究が多かった。

[結論] 結論として、生物医学の文献では、非系統的レビューや専門家の意見が過剰であり、ノセボ効果に特化した一次研究や質の高い系統的レビュー、メタアナリシスが欠如していることがわかった。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

世にも奇妙な物語。
毎回、不思議な世界に誘ってくれる、とても好きな番組だ。
各コンテンツもさることながら、僕は、オープニングやつなぎのタモリさんが出ているミニコントみたいな部分に、いつも引き込まれてしまう。
その部分は、その回を貫くテーマに関して、なんと示唆に富んだ情報を与えていることか。
そんな世にも奇妙な物語の中でも、突出して引き込まれたオープニングを紹介しよう。

外国人の研究者2人が同じく外国人の男に目隠しをして実験用の椅子に縛りつける。
研究者「これから皮膚の反応に関する実験を行います。」
男「随分大袈裟だな。」
研究者「ではまず・・・氷です。」
そういって氷を男の皮膚に当てる。
男、冷たがる。
研究者「次は少し痛みがあるかもしれません。フォークです。」
そういってフォークを取り出す。
男「おい、ちょっと!」
研究者、フォークを男の皮膚に当てる。
男「痛い!ふざけんな!もうやめろ!」
男、実験用の椅子の上で暴れだす。
男「はずしてくれ!おい!」
何かの音がする。
男「何の音だ?」
研究者「次は・・・アイロンです。」
そういって熱い状態のアイロンを取り出す。
男「ふざけるな!おい!」
研究者、暴れる男にアイロンを近づける。
男「やめてくれ!」
タモリが登場。アイロンを引っ込めてボールペンを男の皮膚に当てる。
男は熱がり、ボールペンを当てたところに火傷を負う。
タモリ:セリフ
ただのボールペンだったのに、彼は本当に火傷を負ってしまいました。これと似た実験が昔アメリカで行われたと言われています。このように思いこみだけで体に有害な作用が起こる現象を『ノーシーボ(ノセボ)効果』といいます。人間の体とは不思議なものです。思いこむことで苦痛が現実のものとなる場合があるのですから。

🌍 参考サイト >>> site.

患者の疼痛に対して、どんな『期待』を与えることができるか。
「この人に触られたら痛くなりそう」と思われたら、そうなるだろう。
「この人なら、痛みを良くしてくれそう」と思われたら、そうなるだろう。
思われたことは、つくられた期待は、きっと、そうなるだろう。
期待をどうつくるか、そこに1つのサイエンスがある。

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