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オステオサルコペニア。世界的な疫学と危険因子, 有害事象

📖 文献情報 と 抄録和訳

オステオサルコペニアの世界的な疫学的特徴と影響:包括的なメタ分析と系統的レビュー

📕Chen, Shanping, et al. "Global epidemiological features and impact of osteosarcopenia: A comprehensive meta‐analysis and systematic review." Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle 15.1 (2024): 8-20. https://doi.org/10.1002/jcsm.13392
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[背景・目的] オステオサルコペニアは、骨減少症/骨粗鬆症とサルコペニアの併発と定義される。本研究の目的は、オステオサルコペニアの世界的な有病率、危険因子および臨床転帰を明らかにするために、メタ解析を伴う系統的レビューを行うことである。

[方法] このレビューはPROSPERO(CRD42022351229)に登録された。PubMed、Cochrane、Medline、Embaseを、開始から2023年2月までに検索し、適格な集団ベースの観察研究を検索した。オステオサルコペニアの有病率を95%信頼区間(CI)とともに算出し、サブグループ解析を行った。オステオサルコペニアのリスク因子および臨床転帰との関連は、それぞれオッズ比(OR)およびハザード比(HR)で表した。異質性はI2検定を用いて推定した。研究の質は、研究デザインに合致した検証済みの尺度を用いて評価した。

[結果] 検索により55,158件の研究が同定され、48件の横断研究、17件のコホート研究、1件の症例対照研究を含む66件の研究(参加者64,404人、平均年齢46.6~93歳)が最終解析で解析された。

■ オステオサルコペニアの世界的有病率
・全体として、オステオサルコペニアのプール有病率は18.5%(95%CI:16.7-20.3、I2=98.7%)であり、男性では15.3%(95%CI:13.2-17.4、I2=97.6%)、女性では19.4%(95%CI:16.9-21.9、I2=98.5%)であった。
・サルコペニア+骨減少症/骨粗鬆症を用いて診断されたオステオサルコペニアの有病率は20.7%(95%CI:17.1-24.4、I2=98.55%)、サルコペニア+骨粗鬆症を用いた有病率は16.1%(95%CI:13.3-18.9、I2=98.0%)であった。
・世界のオステオサルコペニア有病率は、オセアニア22.9%、アジア21.6%、南米20.8%、北米15.7%、ヨーロッパ10.9%と地域によって差があった。
・病院(24.7%)と地域(12.9%)のサブグループでは、統計的に有意な差が認められた(P = 0.001)。

■ オステオサルコペニアの危険因子
・以下がオステオサルコペニアの危険因子として示された
フレイル(OR=4.72、95%CI:2.71-8.23、I2=61.1%)
栄養不良(OR=2.35、95%CI:1.62-3.40、I2=50.0%)
女性(OR=5.07、95%CI:2.96-8.69、I2=73.0%)
高年齢(OR=1.10、95%CI:1.06-1.15、I2=86.0%)

■ オステオサルコペニアの有害事象
・オステオサルコペニアが以下のリスクを有意に増加させることが示された
転倒(HR = 1.54, 95%CI: 1.20-1.97; I2 = 1.0%、3研究)
骨折(HR = 2.13, 95%CI: 1.61-2.81; I2 = 67.8%、7研究)
死亡(HR = 1.75, 95%CI: 1.34-2.28; I2 = 0.0%、5研究)

[結論] 様々な定義や基準から生じる異質性にもかかわらず、我々の知見は、オステオサルコペニアの著しい世界的な有病率と臨床的健康への悪影響を強調している。オステオサルコペニアの診断基準を標準化することは将来的に有利であり、この患者集団では早期発見と早期管理を重視すべきである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

平均年齢46.6~93歳の集団においては、その18.5%がオステオサルコペニアである。
これは、一般的な回復期リハビリ病棟においては当てはまる集団であろう。
約5-6人に1人は、オステオサルコペニア。
そして、その人々は転倒や骨折しやすく、死亡リスクすら高いという。

この疫学データが頭に入っていることで、入院患者に対して「オステオサルコペニアでは?」というアンテナを立てることができる。
そのことによって、検査値や筋肉量に注意を払うことにつながり、リスク者の場合には歩行自立へのハードルを少し高くしたり、転倒や骨折の危険性に関する患者教育に力を入れたり、ということにつながるかもしれない。
とにかく、知っていることはある種、力である。
今回の疫学的データをしっかり頭に入れて、その力を現実の行動を変えることに使いたい。

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