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乳製品の威力:全骨折33%・股関節骨折46%減少

▼ 文献情報 と 抄録和訳

住宅型高齢者の股関節骨折および転倒に及ぼすカルシウムおよびタンパク質源の食事の影響:クラスター無作為化比較試験

Iuliano S, Poon S, Robbins J, Bui M, Wang X, De Groot L, Van Loan M, Zadeh AG, Nguyen T, Seeman E. Effect of dietary sources of calcium and protein on hip fractures and falls in older adults in residential care: cluster randomised controlled trial. BMJ. 2021 Oct 20;375:n2364.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的] 施設に入所している高齢者で、ビタミンDは充足しているが、カルシウムの平均摂取量が600mg/日、タンパク質の平均摂取量が1g/kg体重/日未満である者を対象に、栄養介入の抗骨折効果と安全性を評価する。

[方法] デザインは、2年間のクラスター無作為化対照試験。オーストラリアの60の認定された住宅型高齢者ケア施設で、主に歩行者を対象とした。参加者は、7195人(4920人)、68%が女性、平均年齢86.0(SD8.2)歳。介入 施設は所在地と組織によって層別化され、30施設は、カルシウム562(166)mg/日、タンパク質12(6)g/日を含む牛乳、ヨーグルト、チーズを入居者に追加提供し、総摂取量はカルシウム1142(353)mg/日、タンパク質69(15)g/日(1.1g/kg体重)となるように無作為に決定された。対照の30施設では、通常のメニューを維持し、入居者は700(247)mg/日のカルシウムと58(14)g/日のタンパク質を摂取した(0.9g/kg体重)。主要評価項目は、骨折、転倒、全死因死亡の発生率の群間差であった。

[結果] 27の介入施設と29の対照施設のデータを分析した。合計で324件の骨折(135件の股関節骨折)、4302件の転倒、および1974件の死亡が観察された。介入により、全骨折で33%(121対203、ハザード比0.67、95%信頼区間0.48~0.93、P=0.02)、股関節骨折で46%(42対93、0.54、0.35~0.83、P=0.005)、転倒で11%(1879対2423、0.89、0.78~0.98、P=0.04)のリスク減少が認められた。股関節骨折と転倒のリスク低下は、それぞれ5ヵ月後(P=0.02)と3ヵ月後(P=0.004)に有意になった。死亡率は変わらなかった(900対1074、ハザード比1.01、0.43~3.08)。

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図. 介入群と対照群における全骨折、股関節骨折、転倒、死亡の24ヶ月間のイベントの累積確率。各イベントのリスクがある2つのグループの参加者数を示している。

[結論] 乳製品を利用してカルシウムとタンパク質の摂取量を改善することは、高齢者介護の入居者によく見られる転倒や骨折のリスクを低減する、容易に利用できる介入である。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

いつもと同じことをしているのに、いつもより効果が大きくなる
そういう外的環境や事前準備が、ある

Copellist

まず、BMJである、信頼できる、n数が多い、良質な研究報告である。
全骨折33%、股関節骨折46%、転倒11%のリスク減少はすごい威力だ。
食事療法こそが、最強のエンパワーインターベンションの1つと言えるだろう。
リハビリテーション自体は、いつもとやっていることは変わらない、にも関わらず、効果が大きくなる。このようなエンパワーインターベンションのレンガを、1つ1つ、確実に積んでいこう。
いつか、家ができるかもしれない。

★ただし、何事も、偏りすぎには注意が必要である。以下を参照されたい!

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