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高齢者の“筋質”評価。What, How, Where?


📖 文献情報 と 抄録和訳

高齢者の筋肉の質: スコープレビュー

📕de Lucena Alves, Charles Phillipe, et al. "Muscle Quality in Older Adults: A Scoping Review." Journal of the American Medical Directors Association (2023). https://doi.org/https://doi.org/10.1016/j.jamda.2023.02.012
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar, ResearchGate (free)
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[背景・目的] このスコーピングレビューの目的は、高齢者における筋肉の質について、現在利用可能な定義と評価方法を明らかにすることである。

[方法] デザインスコープレビュー。設定および参加者利用可能なすべての研究。方法4つのデータベース(PubMed、EMBASE、Web of Science、Cochrane Library)を開始時から2022年5月まで検索した。タイトル、抄録、全文のスクリーニングは2名のレビュアーが独立して行った。60歳以上の高齢者における筋質評価について明確な記述があれば、観察研究および実験研究を組み入れる対象とした。

[結果] 合計96の論文が対象となった。筋質の定義と評価方法がいくつか同定され、(1)機能的筋質、(2)形態学的筋質の2つの主要な領域に分けられた。対象となった研究のうち、機能的筋質と形態学的筋質で筋質を評価した研究は、それぞれ70%と30%であった。機能的筋質では、ほとんどの研究が筋質を下腿除脂肪量に対する膝伸展筋力の比率と定義していた(45.9%)。形態学的筋質では、ほとんどの研究が筋質を超音波による大腿四頭筋のエコー強度と定義していた(50.0%)。

■ What:筋質の定義と評価方法は?
・機能的筋質:最も一般的な筋質の定義は、(1)下肢除脂肪量に対する下肢筋力の比率(45.9%)、(2)腕除脂肪量に対する握力の比率(18.5%)、(3)下肢または腕の除脂肪量に対する筋力の比率(14.3%)であった。
・形態学的筋質:筋質の定義として最も一般的だったのは、(1)エコー強度(50%)、(2)細胞外/細胞内水分(9.9%)であった。代謝、体温調節、および/またはシグナル伝達/ミオカイン産生の領域で筋質を明確に定義した研究は、検索されなかった。

■ How:筋力および筋量の評価方法は?
・筋力:最も一般的な評価方法は、(1)等速性ダイナモメーター(脚力)(45.3%)、(2)握力(25.6%)、(3)1反復最大テスト(1-RM;17.5%)であった。
・筋肉量:最も一般的な評価方法は、(1)二重エネルギーX線吸収測定法(DXA;69.5%)、(2)超音波法(US;13.1%)、(3)コンピュータ断層撮影法(CT;13.1%)であった。
・形態学的筋質:最も一般的な評価方法は、(1)US(53.3%)、(2)CT(23.3%)、(3)生体電気インピーダンス分析(BIA;13.4%)、(4)磁気共鳴画像法(MRI;10%)であった。

■ Where:各研究で評価された具体的な筋群は?
・機能的筋質:大腿四頭筋が45.9%と最も多く、次いで前腕筋(握力:18.5%)であった。また、大腿四頭筋と前腕筋の両方を評価した研究は15.7%であった。
・形態学的筋質:大腿四頭筋が最も調査された筋群(50%)であり、次いで傍脊椎筋(13.3%)、腹筋(9.9%)であった。図2は、対象となった研究で報告された、高齢者の筋質の最も一般的な領域と評価方法(テスト、ツール、身体部位)を視覚的にまとめたものである。

[結論] 高齢者における筋質の定義や評価方法にはかなりの異質性がある。ここでは、用語、領域、評価方法(検査、ツール、身体部位)を含む筋質の標準化された定義を提案する。このような標準化は、研究者、理学療法士、意思決定者が高齢者における「骨格筋の健康」の潜在的なマーカーとして筋質を使用するのに役立つであろう。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

近年、超音波装置を用いた筋質の評価によって、人体の仕組みについての新たな地平が拓かれた。
技術進歩によって、医学は進歩し続ける、というわけだ。
そんなわけで、筋質≒超音波、という頭になっていた。

だが、今回の研究は、「まあまあ落ち着け。他にもたくさん方法はあるし、そもそも筋質の定義を考えたことあるか?で、どこが調べられていると思う?」という、枝葉に覆われた筋質という木の幹に着眼させてくれた。
まず根幹を知り、そのあと枝葉へと至りたい。

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