📖 文献情報 と 抄録和訳

リハビリテーションにおける動機づけ要因に関する患者および理学療法士の認識に関する多施設共同説明的調査

[背景・目的] 患者のモチベーションは、リハビリテーションの成果を決定する重要な要素である。モチベーションを高める要因に対する患者と理学療法士の認識の違いは、患者中心のケアを阻害する可能性がある。そこで、患者のリハビリテーションに対するモチベーションを高めるために最も重要な要因について、患者と理学療法士がどのように認識しているかを比較することを目的とした。

[方法] この多施設説明型調査研究は、2022年1月から3月にかけて実施された。入院リハビリテーション集中病棟を有する13病院において、入院リハビリテーションを受ける神経疾患または整形外科疾患の患者479名と、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのセラピストと医師401名を、包括基準を用いて無作為に抽出した。参加者は、患者さんのリハビリテーションに対するモチベーションを高める最も重要な要因を、潜在的なモチベーション要因のリストの中から選択するよう求められた。

[結果]
■ 動機づけ要因に関する(A)患者群と(B)医療者群の回答
・調査の結果、患者群と医療者群の双方でそれぞれ最も多くの対象者に選択された動機づけ要因トップ 3 は両群で共通しており、「回復の実感」、「明確な目標の設定」、「患者の生活に関係する訓練」だった。
・一方、対象者の 5%以上が選択した要因の数は、患者群は 9 つであるのに対し(図 A)、医療者群は 5 つだった(図 B)。
・すなわち、何がリハビリテーションに対する意欲を高めるかは、医療者よりも患者間の個人差が大きいことが分かった。

■ 動機づけ要因と選択した患者の背景の関係
・探索的分析の結果、「回復の実感」と「明確な目標設定」は 65 歳未満の患者に重要な要因として選ばれていた。
・さらに、入院してから日が浅い時期の患者ほど「医学的情報」が動機づけに重要と考えていることも分かった。
・このように、患者背景によって重要と考える動機づけ要因が異なることも明らかになった(表)。

[結論] これらの結果は、動機づけ戦略を決定する際、リハビリテーション療法士は、両者が支持する中核的な動機づけ要因を用いることに加え、個々の患者の好みを考慮すべきことを示唆している。

🌱 So What?：何が面白いと感じたか？

自分自身の中にエンジンを持っていてこそ、例えば回復期病棟であれば退院後でも自走できるようになる。
そして、そのエンジンをつくる技術こそ『動機づけ』だと思う。
退院支援の重要事項として、患者さんの心の中にエンジンをつくる、がある。
その技術を、徐々に体系化していきたい。

今回の研究は、その重要なヒントを提供してくれている。
動機づけにおいて、医療者、患者ともに重要なベスト3が一致していた。
「回復の実感」、「明確な目標の設定」、「患者の生活に関係する訓練」。
このベスト3は動機づけにおけるデフォルト項目、と考えて良いだろう。
回復の実感を与えるようなフィードバック、明確に設定された目標の共有と合意、訓練内容は患者の生活に関する内容にしてそれを共有。
これまでもやってきたことだ。
だが、ことさらにデフォルメして、動機づけを高めるようにしてみたい。

⬇︎ 関連 note✨

https://note.com/super_human/n/n1cf3dedd8c17

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