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上肢Fugl-Meyer。遠隔リハバージョン

📖 文献情報 と 抄録和訳

遠隔リハビリテーションにおける上肢Fugl-Meyer評価修正版の開発と予備的妥当性調査

📕Carmona, Carolina, et al. "Development and preliminary validity study of a modified version of the upper extremity Fugl-Meyer assessment for use in telerehabilitation." Journal of Neurologic Physical Therapy 47.4 (2023): 208. https://doi.org/10.1097/NPT.0000000000000447
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[背景・目的] Upper Extremity Fugl-Meyer Assessment(UEFMA、最大66)は、脳卒中後の上肢(Upper Extremity, UE)の障害を調べるために、診療所や研究研究で広く用いられている。本研究の目的は、遠隔リハビリテーションを通じて脳卒中後の上肢障害を調べるための遠隔版UEFMAを開発し、その有効性を裏付けるパイロットデータを提供することである。

[方法] チームメンバーは、UEFMAの下位尺度II~IVおよびVIIを用いて、遠隔リハビリテーションのための遠隔版UEFMA(tUEFMA、最大44)を開発した。

✅ 開発における必要要件
(1) 脳卒中患者が単独で実施可能であること
 (対側の腕でポジショニングの補助やサポートが可能であること)
(2) 安全に実施可能であること
(3) 体位変換が最小限であること
(4) 評価者が腕全体を視覚化できること
(5) リアルタイムで確実に動きを捉えることができること。

✅ 主な変更
・下位尺度IおよびV[反射]は訓練された評価者の物理的な存在が必要であるため、削除された
・下位尺度VI[手首]は検査者の手による安定化を必要とする可能性があるため削除された
・サブスケールVIII[協調性/速度]は、ビデオリンクを介した検査で問題があることが示されている時間測定項目が含まれているため、削除された
・下位尺度III[能動的運動混合シナジー]とVII[手]の手順を修正 (非麻痺側上肢の使用を追加)

中等度から重度の上肢機能障害(UEFMA、中央値=19)を有し、慢性脳卒中(発症後1年以上)を有する22名の参加者を対象に、UEFMA(対面)とtUEFMA(遠隔)を用いて評価を行った。tUEFMAからUEFMAを予測する関数を同定するために予測式を用いた。クラス内相関(ICC)を用いて、UEFMAとtUEFMAに含まれる下位尺度間の絶対一致度、および2つの正規化された合計得点間の絶対一致度を検証した。

[結果] UEFMAの総得点とtUEFMAに基づく予測値との間に強く有意な一致が認められた(ICC = 0.79, P < 0.05)。また、ICCテストでは、リアルタイムのビデオリンクを使用したUEFMAとtUEFMAの間で、下位尺度IIからIVでは良好な一致、下位尺度VIIでは不良な一致が報告された。

[結論] 本研究の結果は、tUEFMAが慢性脳卒中および中等度から重度の腕機能障害を有する人のUE障害を遠隔検査するための有望なツールであることを示唆している。今後の研究では、幅広い腕の障害を持つ脳卒中患者を対象に、tUEFMAの心理測定学的特性や臨床的有用性をさらに評価する必要がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

最近、遠隔医療医療のガイドライン、ステートメントを抄読していた。

その中で、だんだんと遠隔医療のための理念や、行動指針、法整備といったことが検討、進んでいることを知った。
そして、今回の抄読研究は、アウトカム評価の方法の1つを切り拓いた。
理学療法にとって、アウトカム評価は必須だ。
その方の問題点を明らかにし、その方の介入効果を知り、相手にも伝え、結果を共有する。

方法さえ工夫すれば、遠隔医療において信頼性の保たれた評価が可能となることを教えてくれた。
今後、そのほかの評価指標についても進むことだろう。
そして、それは遠隔医療のみならず、研究のアウトカム評価にも用いられるかもしれない。
世界は、前に進んでいる。

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