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1 on 1 vs. グループ:どちらが体重減少につながる?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

体重管理のためのグループ対1対1の多要素ライフスタイル介入:無作為化対照試験のシステマティックレビューとメタアナリシス

Abbott S, Smith E, Tighe B, Lycett D. Group versus one-to-one multi-component lifestyle interventions for weight management: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. J Hum Nutr Diet. 2021 Jun;34(3):485-493.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景・目的] 体重管理には、食事、身体活動、行動変容を取り入れた多成分の生活習慣介入が有効である。しかし、グループでの実施と1対1での実施のどちらが体重減少の効果に影響するかは明らかになっていない。本研究では、体重管理のための多成分生活習慣介入を1対1で行う場合と比較して、グループで行う場合の効果に関するエビデンスを系統的にレビューすることを目的とした。

[方法] MEDLINE、EMBASE、CINAHL、CENTRAL、ISRCTNデータベースを、体格指数25kg m-2以上の成人の体重減少を目的とした多成分生活習慣介入をグループと1対1で比較した無作為化対照試験について、開始から2020年2月まで検索した。主要評価項目は、12か月後の体重減少(kg)、副次的評価項目は、12か月後に5%以上の体重減少を達成したこととした。バイアスのリスクは、Cochrane Risk of Bias Tool を用いて評価した。メタアナリシスは、ランダム効果と推定リスク比、連続逆分散法を用いた。異質性は I2 統計および感度分析を用いて検討した。

[結果] 7つの無作為化対照試験、2576人が対象となった。12ヵ月目の体重減少については、1対1の介入よりもグループ介入の方が有利であった(-1.9kg、95%信頼区間=-1.3~-2.6、I2=99%)グループ介入の参加者は、1対1の介入に比べて12ヵ月目に5%以上の体重減少を達成する可能性が高かった(相対リスク=1.58、95%信頼区間=1.25~2.00、I2=60%)。この差の理由の1つは、グループに参加した人のほとんどが、1対1で治療を受けた人よりも、臨床医(またはプログラムを提供した人)との時間が長かったことであると考えられる。グループに参加した人は12~55時間の治療を受けたのに対し、個人治療を受けた人は2.5~11時間だった。

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✅ 図. 体重減少(kg)のフォレストプロット

[結論] 成人の体重管理に関して、グループによる多成分のライフスタイル介入は、1対1の介入に比べて体重減少に優れている。グループ介入の特定の構成要素が、グループ介入における体重減少アウトカムの優位性を説明できるかどうかについては、さらなる研究が必要である。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

今回抄読した論文は、BMJでレビューされていた注目度の高い論文だ。

✅ Related review article
Saul H, Gursul D. BMJ 2021; 375 :n2771 >>> doi

病院を主戦場とする理学療法士は、介入と聞けば「個別(1 on 1)」。
一方、介護分野では介入といえば「グループ」のイメージがあるかもしれない。
重要なことは、「1 on 1とグループ、どっちが効果的かな?」と考えたり、選択したりする余地がないことだ。
余地がないというより、その引き出しが(少なくとも僕には)なかった。
病院におけるリハビリテーションだって、グループの方が効果的ならば、そちらを選択する方がクレバーだろう。
コスト効率だっていいに決まっている。
しかしながら、介入デザインにおいて「1 on 1 or グループ」を選択するためには、法整備が必要だ。いま、病院においては個別リハのみが算定対象となる(・・・だよね?、心臓リハは別)。
「1 on 1 vs. グループ」を自由に選択できる土壌があって、セラピストにその思考が芽生える。だが、その法整備のためには、適応やその効果を示せることが前提というパラドキシカルな現実が、ある。
勝てば官軍、なのである。だから、まず勝とう。
「1on1 or グループ」、介入デザインを規定する一要素、・・・新たな引き出しがつくられた!

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