「野茂から大谷へ」※循環の構築※



これはもう、言わずもがなだけど、敢えて書く。

大谷が今成功しているのは、野茂が露払いをしたからだ(断言)。
大谷が野茂より優れた選手であるのは間違いないだろうが、
人物として考えた場合、個人的には野茂に軍配が上がると感じる。

野茂の困難なルートを考えれば判る。
野球にリソースを割くどころじゃなかったはずだ。
あまりの逆境にほとんど持ってかれる、心もモチベもすり減らされる。
幾度となく彼の心を折ろうと苦難が生じただろう。
そこで散々自分を消耗して、残りの力でようやく成果を上げたわけだ。
その後、野茂が開拓した道を、イチローが舗装し通りやすくした。
口下手でアピールの乏しい野茂にはできない言語化を肩代わりしたと。
これでようやく大谷が活躍できる環境が整備された事になる。

大谷翔平は野茂やイチローが築き上げたお膳立ての上だから野球に全力を出せるのだ。
野茂の様に強烈な逆風の中で人のポテンシャルをすべて出せるワケがない。
運も含む様々な要因が無ければ道を開拓できなかったはずだ。
大谷翔平が完成するには野茂の前例があったからこそ、成長が阻害されずに済んだと思う。
イチローや野茂が20年以上かけて、大谷への追い風をようやく呼んだ。
大谷の活躍を観るにつけ、自分にはそう見えるのだ。


ここで自分の経験を書く。
自分は20年前にネットで「人と比べるな」「味方面した敵が一番怖い」と書いた時、散々かつての知り合いや有象無象のネット弁慶に叩かれた。
彼等の相対的アイディンティティを傷付けたのだろう。
直後から物理的な犯罪が周辺で発生し、因果関係も大体紐づいた。
当時の知り合いたちは自分をストーキングしてネタに笑い者にしたようだ。
PCはハッキングを食らい、内容は晒されたかもしれない。

その時PCから「マウンティング」というワードが盗まれた可能性があるが、
それが20年後の現在では常用されるくらい浸透している。
(当初、自分以外にこれを人間に当てはめた書き込みは見た事が無い。)
また当時ネットで怒りを買った「味方面した敵」は、「フレネミー」として現在では単語化し、浸透している。

物事というのはこうやって連鎖し、何年もかけて徐々に環境を変えるのだ。

更に辿るが元の自分の本分は造形で、
物心ついたころから何時間でも集中して粘土をいじっていた。
これが毒親の猛烈な怒りを買って、造形分野は叩き潰され奪われた。
就寝前に思いついたアイディアを書いたメモはズタズタに引き裂かれ、
怒り狂って眼を真っ赤にした親に理解不能な説教を受けた。
それからは絵も文章も何もかも、自発的な発想を禁じられた。
自分に与えられた成長の余白は脳内にしか存在せず、それ以外は親の支配下だった。
こうして何もかも奪い去った親父は息子に対する相対的万能感に溢れ、
一戦を越えてとうとう「お前の考えが判る」とニヤケながら言い出した。
廃人になりかけていた自分は暴れて親を殴り、そんな狂った家を脱出した。

しかし東京に出て出会った底辺グループでも、自分の全ては否定された。
彼等地域住民からも仲間外れに遭い、
仕方なくプロとして自分のコネクション、才能を発揮する場所を求めた時、
彼等は散々疎外したのを棚に上げ、こちらをダシに社会生活に割り込んで来た。
職場で悪口を流し、対立させ、創作環境を荒らし、ここでも多くのヴィジョンを潰した。
当時温めていたトレカはマジックザギャザリング、音ゲーはコナミに先を越された。
軸を他人に持つ人間というのは、何もかも全てを突き上げと感じるようだ。
ターゲットが何かをやれば、自分が否定された気分になるのだろう。

造型も絵もアイディアもメロディも、浮上する過程で有象無象の悪意によって潰される。
ならその原因を究明し、言語化して周知させ、全体の価値観のフォーマットを変えるのが現段階での自分にできる事だろう。
そうして変化を作り出せば、ようやく浮上の機会が生まれるはずだ。
物事が正常に働き、好循環を生む環境を作り出せばいい。

野茂英雄がそうであったように。


おしまい。

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